.

暴れる心臓に声を震わせながら、私なりに精一杯に気持ちを伝える。


油断するとまた、ほろほろと流れそうな涙を飲み込むべく、私は寺田さんに向かってヘラリと笑ってみせる。



「わ、私、頑張ります!


お嫁さんになるって彼女になるのとまた違いますよね、多分。お料理とか、家事とか色々、私今までずっと自己流でやってきたから、自信ないけど…でも…、あの、


ちょっとでも、寺田さんの力になれるように頑張ります!」




両手で拳を握り、小さくガッツポーズをしてみせる、私。




「…い…てくれればいい…」




絞り出したような彼の苦しそうな声に、私は「はっ」として目を見開く。



……えっ?



と、思ったその瞬間、彼はずいと私に身を寄せて、自分のオデコを私の肩にコテンとのせた。




「ただ側にいてほしいだけなんだ…

どこにも、行かないで」




息をひそめて聞いていないと、聞き取れないほどの情けなく掠れた声。


小さく呟いた直後、彼が、ぐっと私の肩に押し付け、もたれて、深く息を吐き出す。



甘えているような、すがりつくような……

そんな彼の仕草に、ぎゅっと胸が苦しくなる。





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