.
暴れる心臓に声を震わせながら、私なりに精一杯に気持ちを伝える。
油断するとまた、ほろほろと流れそうな涙を飲み込むべく、私は寺田さんに向かってヘラリと笑ってみせる。
「わ、私、頑張ります!
お嫁さんになるって彼女になるのとまた違いますよね、多分。お料理とか、家事とか色々、私今までずっと自己流でやってきたから、自信ないけど…でも…、あの、
ちょっとでも、寺田さんの力になれるように頑張ります!」
両手で拳を握り、小さくガッツポーズをしてみせる、私。
「…い…てくれればいい…」
絞り出したような彼の苦しそうな声に、私は「はっ」として目を見開く。
……えっ?
と、思ったその瞬間、彼はずいと私に身を寄せて、自分のオデコを私の肩にコテンとのせた。
「ただ側にいてほしいだけなんだ…
どこにも、行かないで」
息をひそめて聞いていないと、聞き取れないほどの情けなく掠れた声。
小さく呟いた直後、彼が、ぐっと私の肩に押し付け、もたれて、深く息を吐き出す。
甘えているような、すがりつくような……
そんな彼の仕草に、ぎゅっと胸が苦しくなる。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます