第50話
「実はさ、探してたの、昨日。咲弥のこと。」
月野は、屋上に入って開口一番にそう言った。
「・・・・・・は?」
意図がわからないその言葉に、顔が歪んでいくのが分かる。
月野は同級生で、俺ほどではないけれど、それほど目立っている奴だ。美人なのに口が悪いとか、一匹狼だとか、なんとか。噂は俺も聞いたことがある。
そんな月野は一昨日、ここにやって来た。その日は、ほとんど何も言わずにしばらく過ごして、帰って行った。
「嫌なことがあって。心地いい場所にいたくて。咲弥がいるかな、って思って。けど、さすがに朝にはいなかったね。」
「・・・・・・あっそ。」
そっけない態度を取って、視線を逸らすと月野は笑った。
ここが心地いいのか。俺と同じだ。
「咲弥は嫌?もしかして、一人でいたい感じ?なら、あたし戻るからさ。それだけ教えて。」
「・・・・・・別に。誰がいようが関係ない。」
屋上に来て俺がいることを知った奴は、もうここには来ない。特別望んだわけじゃないけれど、俺は独りだ。
「なら、しばらくいさせて。」
「好きにしろ。」
そう言うと、月野は人一人分離れて、俺の隣にやって来る。ぼろい柵に背を預けて目を閉じた。絵になる、と思った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます