第8話 デメリット

最近になると、とても便利な魔法アイテムが沢山ある。例えばこのカバン、明らかに入り切らないであろう荷物を収納することが出来る。

例えばこの水筒、飲みたい時に飲みたいものに内容物が変化する。


このように便利なアイテムは沢山存在する。

その中でもとても気に入っているものがこの2枚のガラス板である。商品名は忘れたが、このガラスは収納したいものを挟むと、押し花のように物が縮んで1枚の板にすることが出来る。


とても便利なので教科書類などを挟んでカバンに入れていた。


そして……あの本も挟んでいたのだが……


ない……2冊とも挟んだはずのガラス板がない……


「おっ落ち着け、まず落ち着くんだ……スー……ふぅ〜」


深呼吸をして考えてみる。


なんでなくなったんだ?あの二人か?いやカバンに開けられた痕跡は無いし、あの二人からするとこのカバン自体目にしてないはずだ。


するとなんだ?いつだ?


顎に手を当てながら早歩きで部屋を無意味に回る。


コンコン


するとノックの音がひびきドアが空く。


「おいアラン……俺の枕……知らないか?」


扉の奥からアルバートが顔に汗を浮かべながら、走ってきたのか少し息が上がっている様子で現れた。


「……無くなったのか?」


「あぁ……お前もなにか無くなったのか?」


全て並べられた俺の荷物と焦っている様子から察したらしい。


アルバートもか?何故だ?どこで?いつだ?


「お前……確か転移魔法は距離が離れれば離れるほど難しくなるって言ってたよな?あの森がどこか知らないが学校までかなりの距離だよな?なんのデメリットもなく転移できたのか?」


「あっ……」


便利な魔法や強力な魔法にはそれ相応のデメリットがある。消費する魔力が多かったり、体の一部に変化が現れたりなど、様々なものがある。


転移魔法も例に漏れずデメリットがある。

近場なら問題ないのだが距離が遠くなれば遠くなるほど消費魔力が増えたり、座標がズレたり、最悪体がバラバラになったりすることもある。


あの二人に列車の個室ごと転移させらたことを考えると、あの森はあの場所からさほど遠いところでは無い。そしてあの地点では学園まで10km以上も離れている。


そんな距離をデメリットなしに転移できるほど俺は優れた魔法使いでは無いそれに'今の状態'だと尚更だ。


「もしかして俺たちの大切なものだけ転移できなかったんじゃないのか?」


「……」


顔があおざめる。


予言通りなら近いうちにこのアストラに7冊全てが集まるはずだ。しかし手元に1冊でも持っていないといつどこで7冊が揃うのかわかったものでは無い。


「……」


「……」


お互い無言になってしまう。


「まっまず整理しよう。俺は'薬'が無くなった。あれがないと落ち着いていられないんだ。」


本のことは言えないので適当に嘘をつく。

しかし薬があることは事実だ。定期的に飲まないと色々と不安定になってしまう。


「俺は枕が無くなった。」


「……枕?」


少し恥ずかしそうにアルバートが話す。


「実はあの枕じゃないと……寝れないんだ……」


普段なら笑い転げているところだが、ことがことだけに全く笑えない。


「なぁ……転移のせいなのか?」


「……すまん……」


「……」


「……」


またお互いに無言になり、気まずい雰囲気が流れた。

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