第17話 日常

 ある休日のこと、その日、食事の準備を手伝っている最中、おばあさんがふと思いついたように言った。


「魔法を使ってみるかい? ちょっと手伝ってくれると助かるわ」


「え、魔法で手伝う?」 と、綾は驚きながらもうれしそうに頷いた。


 老夫婦の家で過ごしながら、彼女たちは日常生活の中で魔法をどのように使うのかを学ぶことにした。この世界で魔法は、戦いのためではなく、日々の生活を便利にするために使われていた。料理を手伝ったり、掃除をしたり、ペットと遊んだりするのが当たり前の日常だった。


「まずは水を使う魔法でお手伝いよっ」とおばあさんが言うと、綾は水を汲む手伝いを頼まれた。


 手を軽く広げ、心を落ち着けて魔法をかけると、家の中の水道から、ちょうど良い量の水が自動的に流れ出して、洗い物の準備が整った。


「わぁ、こんな風に水を無駄にせずに使えるんですね!」 と、綾は感動しながら洗い物を始めた。


 絵里香と竜はその様子を見守りながら、次々に食材を準備していた。


「綾、うまくいってるね!」と、竜が声をかける。


「うん、魔法が生活にこんなに役立つなんて!」 と、彼女は嬉しそうに返事をした。


 その後、竜は風の魔法で掃除を手伝うことにした。掃除機を使う代わりに、竜は手を広げて風を操り、部屋の隅々までホコリを吹き飛ばしていった。


「おお、こんなに簡単に掃除できるんだな!」 と、竜は楽しそうに笑いながら風を操っていた。


「すごい! こんな風に家の中をキレイにできるなんて!」 と、絵里香も驚きながら風に吹かれて掃除を手伝っていた。


「家事が楽になるって最高だよね!」 と、沙羅も満足そうに言いながら床を拭いていた。


 その日の夜、沙羅はペットのリリィをお風呂に入れることにした。リリィは遊びすぎて汚れてしまっていたのだ。


「リリィ、今日はお風呂だよ」と、彼女は軽く微笑みながらリリィを浴室に連れて行った。


「これも魔法でできるかな?」と、閃いた沙羅は、すぐに魔法を使うことにした。


 水の魔法を使って、浴槽にぬるま湯を作ると、リリィが入れるくらいの温度のお湯がきれいに浮かんだ。


「すごい! これならお湯を無駄にせずに使えるね!」

 

 リリィが湯船に入ると、嬉しそうにゴロゴロと喉を鳴らし始めた。チワワのような見た目をしているが、お風呂に入るのが大好きだった。


 その後、沙羅がリリィをお風呂から出すと、次はペットたちのおやつを作ることになった。今回は火の魔法を使って、焼き菓子を作ることにした。


「さて、みんなにおやつを作ってあげようか?」 と綾は微笑みながら、火の魔法を使ってコンロを優しく温めた。


「おやつ、楽しみだな!」と、竜がピコを撫でながら言うと、メロンが足元でぴょんぴょん跳ねながら待っていた。


 火の魔法はほんの少しの魔力で食材を素早く焼くことができ、普通の調理よりもずっと早く仕上がった。すぐにおやつが完成し、焼きたての香り高いおやつをペットたちにプレゼントした。


「メロン、どうぞ!」 と、綾がメロンにおやつを差し出すと、メロンは耳をピンっと持ち上げプウプウと嬉しそうに鳴きながらそれを受け取った。リリィもぴょんと飛びついておやつを食べ、みんな大満足だった。


 その後、竜は風の魔法を使って遊ぶことにした。竜のペット、ピコはフクロウで飛び回るので、風を使って一緒に飛べたら楽しそうだと考えたのだ。


「ピコ、こっちに来て!」 と、竜が声をかけると、ピコは嬉しそうに駆け寄ってきた。


 竜は風の魔法で自分の周りに風を巻き起こし、ピコと一緒に空を飛ぶように楽しんでいた。


「風に乗るの楽しそうだね、みんなでしてみようよ!」 と、絵里香も笑って、風に吹かれながら見守っていた。


 その後、ペットたちと一緒に庭で遊ぶ時間が続いた。魔法を使うことで、ペットたちとの絆も深まり、楽しいひとときが過ぎていった。


「こんなに魔法が楽しいなんて、毎日使いたいな!」 と、綾はメロンを抱き上げながら笑顔で言った。


「うん、魔法で遊ぶのって最高だね!」


「みんなで遊ぶ時間、楽しいな!」


「魔法が生活をこんなに豊かにしてくれるなんて、嬉しいよね」


 全員が満足そうに言いながら、その日を振り返った。


 この日、綾たちは魔法が日常生活にどれだけ便利で楽しいものかを改めて実感した。料理に使う火、水、掃除に使う風、そしてペットたちとの遊びまで、魔法を使うことで生活が豊かになっていくのを感じながら、彼女たちはますます魔法を愛するようになった。


「日常に魔法を使うって、こんなに楽しいんだね!」 と、沙羅が言った。


「もっといろんなことに挑戦してみたいな!」 と、綾は心から思った。


 老夫婦の家で過ごした時間は、魔法の楽しさを教えてくれる貴重な思い出となった。

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