第2話

「こんにちは、彩月(サツキ)。今日は天気が優れないね」


「…そうね。朝から雨が降ってる」






─────季節は梅雨。





黒に近い灰色の雲から、雨粒が降ってきている。


真っ青な空は見えず、ただ重たそうな雲が視界に広がり。





だが、側で色とりどりの紫陽花が咲き誇っていて。


モノクロな空とは逆に、とても美しかった。







「傘、新調したの?」







鮮やかな朱色の傘を持った私に、

ちょうど家を訪ねてきた恋人、雪(セツ)がそう聞いた。





柔らかな茶髪に、優しそうな目元。


少し線が細すぎる気がするが、華奢でいい。





私はにっこり、と微笑んで。




「うん。素敵でしょう?」


「ええ、とても。貴女によく似合ってる」




私なんかよりもずっと綺麗な彼にそう言われると、

柄にもなく頬を染めてしまう。




「あ、ありがとう…と、ところで、今日は…?」


「…もう一度、貴女のご両親と話がしたくて…」

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