社獣ハンター -社会の闇を狩る者-

第13話 社獣ハンター 自動車教習所の闇をあばけ

登場人物

堀部映理（ほりべ えり）

社獣ハンターのメンバーで格闘技の天才。必殺技『飛燕真空回し蹴り』で数多くの悪人を沈めてきた。オフィスでは筋トレを欠かさず、日々身体を鍛えている。冷静沈着で、どんな状況でも動じない。

五十嵐いづみ（いがらし いづみ）

社獣ハンターのスタッフ。女優・山岸あや花似の美女で、身長175cmの痩身。メガネをかけた知的な雰囲気を持ち、巧みな話術と策略で社獣を罠にはめるのが得意。冷静な分析力を持つが、時折大胆な行動に出ることも。

藤堂葵奈（とうどう あいな）

社獣ハンターのアシスタント。一見クールに見えるが、小心者である。強くありたいと努力するものの、極度の緊張や恐怖に襲われると嘔吐してしまう体質。自分の弱さを克服するため、日々奮闘している。

AI先生

社獣ハンターに確実な情報を伝える、モニター上のクリーンなインターフェース。客観的なデータを提供し、作戦の成功率を高める。

チャプンド

情報工学の専門家。盗聴や盗撮を駆使して堀部映理たちを援護する。デスクはモニターと機材で埋め尽くされ、最新の情報を解析する。性格は軽妙で、状況を和ませる役割も担う。

肉田剛一（にくだ ごういち）

埼玉自動車教習所の教官。暴力的かつ横暴な態度で受講生にパワハラ・セクハラを行う悪質な人物。

鮫島鮫朗（さまじま さまろう）

新車自動車販売会社の社長。教習所の不正と関係があると言われているが、その実態は謎に包まれている。

教習所は地獄

埼玉自動車教習所の教官・肉田剛一は、業界内で悪名高い存在だった。屈強な体格に鋭い目つき、威圧的な態度で受講生を支配する。彼の暴虐ぶりは日常茶飯事であり、受講生たちは毎日、恐怖の中で過ごしていた。

この教習所では、どの教官に当たるかはアプリで自動決定されており、受講生が肉田を拒否することは不可能だった。彼の支配は絶対であり、逃げ場はなかった。

【肉田のパワハラ・セクハラ行為】

判が欲しいなら、土下座しろ

「お前の運転には魂がこもってねえ！」

肉田は受講生の前に仁王立ちし、威圧的に睨みつける。震える受講生が反論しようとすると、「文句があるなら出て行け！」と怒鳴りつけ、退路を断つ。そして、ニヤリと笑いながら言うのだ。

「どうしても判が欲しいなら、土下座しろ」

躊躇する受講生。しかし、試験をパスしなければ運転免許は取れない。意を決して膝をつくと、肉田はさらに追い打ちをかける。

「足りねえよ。もっと額を地面につけろ」

土下座する受講生の頭を、自分の汚れた靴で踏みつける。その瞬間、嘲笑混じりの声が響く。

「お前は犬か？ ワンと鳴けよ」

女性受講生への執拗な誘い

「おデートしようぜ」

女性受講生が指導を終えて席を立とうとした瞬間、肉田がしつこく声をかける。顔を背けて拒否すると、途端に態度が一変する。

「ふざけんな。教官の誘いを断るなんて、生意気なやつだ」

冷たい声で言い放ち、次の技能試験の予約を意図的に遅らせるなどの嫌がらせを始める。泣く泣くデートに応じた女性もいたが、肉田のケチぶりは救いようがなかった。

「俺の分も払っといて。お前の運転、俺が見てやってるんだからな」

彼に付き合ったとしても、待っているのはさらなる屈辱だった。

【YouTuberとしての肉田】

YouTubeで自動車運転のコツを配信している。

-配信状況の描写-

この教官は、自動車販売会社と深く癒着しており、「○○車のハンドリングは絶品！」とべた褒めしながら試乗動画を連発する。見た目には一般的な車レビュー動画だが、その裏には黒い企みが潜んでいた。

彼の配信にはもう一つの特徴がある。視聴者の目を引く衝撃的な事故映像だ。「危険運転の実例」「初心者がやりがちなミス」と題した動画には、まるでドラマのようなスリル満点の事故シーンが映し出される。その映像はあまりにリアルで、視聴者たちは「CGではないか？」「どうやってこんな完璧な瞬間を撮影したんだ？」と疑問を抱く。しかし、誰もがその裏に隠された恐るべき真実には気づいていなかった。

実は、教習生たちが意図的に危険な状況へ追い込まれていたのだ。

「このカーブでブレーキを踏まずに行ってみろ」「アクセルをもっと踏め」

そんな指示を受けた教習生たちは、恐怖に怯えながら運転し、やがて制御不能に陥る。その瞬間を高性能カメラで捉え、まるでリアルドキュメントのように編集され、配信される。事故寸前のスリリングな映像は、視聴者の目を釘付けにし、再生回数を爆発的に伸ばした。

視聴者は純粋に運転技術の向上を目的として動画を見ているつもりだったが、実際には誰かの恐怖と犠牲の上に成り立つコンテンツだったのだ。

【肉田の人間としての異常性】

夜の公園に、静かな足音が響く。帽子にサングラス、黒いマスクで顔を隠した男が、闇の中を静かに進んでいた。手には一本のバット。その男、肉田剛一の狙いは決まっていた。

「働かざる者は死ね！」

怒声が夜の空気を切り裂く。その瞬間、ホームレスたちは本能的に散り散りに逃げ出した。だが、年老いた者や体力のない者はすぐにつまずき、転ぶ。荒い息遣いの中、絶望に満ちた視線を送る彼らの前に、肉田はゆっくりと歩み寄る。

「逃げられると思ったか？」

獣のような眼光が光る。そして、バットを振り上げる。迷いはない。振り下ろされたバットが、鈍い音と共に背中を直撃する。苦悶の声が闇に吸い込まれた。

だが、それだけでは終わらない。彼は何度も、何度も、執拗に振り下ろし続ける。そのたびに、肉田の表情は次第に恍惚としたものへと変わっていった。

痛みと恐怖に歪む顔、懇願の声、弱々しく上がる腕──それらすべてが、彼にとっては何よりの娯楽だった。彼にとって暴力とは、ただの手段ではない。支配し、蹂躙することこそが、彼の唯一の生きがいなのだ。

この男に、人間らしさなど微塵もなかった。もはや鬼と化した彼の行為を止める者は、誰もいなかった。

【自動車販売会社との癒着】

高級料亭の一室。薄暗い明かりの下、肉田剛一と鮫島鮫朗が向かい合って酒を酌み交わしていた。酒の入ったグラスを揺らしながら、鮫島がニヤリと笑う。

「君のところの受付嬢、田所美恵子くん。献上しろよ。」

肉田は唇の端を持ち上げ、低く笑った。

「いいですよ。」

翌日、美恵子は鮫島に呼び出された。「教習所の皆もいるから安心しろ」と言われ、飲み会へ向かった。だが、そこにいたのはたった一人、肉田だった。逃げる間もなく、美恵子は彼の暴力と欲望に飲み込まれた。

翌日、ことの顛末を鮫島社長に訴えたが、

「そのくらいいいじゃないか。処女でもないんだろ？ 減るものじゃないだろう。」

そう言い放ち、鮫島は美恵子の頬を平手打ちし、冷たい視線を向けた。

「それに、今度は俺が受付嬢にしてやったんだ。この豚女が。」

翌日から美恵子は会社を休んだ。一ヶ月が経つと、勝手に解雇されていた。

【教習生たちの不満】

教習所では最初、誰もが沈黙していた。だが、一人の勇気ある女性が社獣ハンターに依頼したことで、抑え込まれていた声が次々と溢れ出した。

「あの教官、バック駐車のときにわざと胸に手が当たるようにサポートしてきた。」

「狭い道の脱出練習のとき、腰を触られた。」

最初は噂話程度だった証言が、次第に具体的な証拠とともに明るみに出ていく。社獣ハンターの介入によって、教習所に隠された闇が徐々に暴かれていった。

【社獣ハンターが手動】

五十嵐いづみと藤堂葵奈は、社獣ハンターの極秘任務として埼玉自動車教習所に実習生として潜入した。目的はただひとつ、悪名高い教官・肉田剛一の悪行を暴き、制裁を下すことだった。

いづみは冷静に観察しながら、巧みに肉田の信頼を得ることに成功した。そしてある日、ついに罠が仕掛けられる。

【肉田の罠】

「今夜、ちょっと話があるんだが……」

夜の教習所の駐車場で、肉田は五十嵐いづみを見つめながら、不気味な笑みを浮かべた。

「よかったら、食事でもどうだ？」

いづみは作り笑いを浮かべ、わざと戸惑うような仕草を見せる。

「でも、実習生の立場でそんな……」

「いいんだよ、俺に任せておけ。」

肉田は低く囁き、強引にいづみの腕を引いた。

「安心しろ、ホテルのスイートを予約してる。」

彼の顔には狡猾な笑みが浮かんでいる。いづみは内心、怒りを抑えながらも、計画通り彼の誘いに乗るふりをした。

ホテルの部屋に入ると、肉田は上機嫌だった。

「実習生の仕事なんて大変だろ？ 俺が君のこと、いろいろ教えてやるよ。」

いづみはソファの端に腰掛け、冷静に彼の動きを観察する。

肉田が彼女に近づこうとした瞬間——

【社獣ハンター堀部映理の制裁】

バタン！

突然、ドアが激しく開かれ、そこに立っていたのは堀部映理だった。彼女の目には怒りが燃えていた。

「貴様の悪行、ここで終わりだ！」

一瞬のうちに、映理の身体が宙を舞う。

「必殺——飛燕真空回し蹴り！！」

高く跳び上がり、勢いよく回転したその足が、正確に肉田のこめかみを捉えた。

「ぐはっ！」

肉田は抵抗する間もなく、床に倒れ込んだ。瞬時に意識を失い、その巨体が無様に転がる。

五十嵐いづみは静かに立ち上がり、藤堂葵奈と共に映理を見つめた。

「さすがね……」

「これで、この腐った教習所も終わりね。」

社獣ハンターの手によって、また一つの悪が裁かれる。

【剛田と鮫島の末路】

剛田が目を覚ますと、そこは密閉された車の中だった。鋼鉄の鎖でがんじがらめに縛られ、手足でできるのは車の運転だけ。後部座席には、同じく拘束された鮫島がうめき声を漏らしていた。

突然、スピーカーから響く冷静な声。

「今までのことを全部白状しなさい。」

堀部映理の声だった。

「この車にはダイナマイトが仕掛けてあるのよ。スピードが40キロ以下になったり、停車すると……その瞬間にドカンよ。さあ、Ready Go！」

剛田の額に汗がにじむ。手が自由ならばハンドルを握る手は震えていただろう。アクセルを踏み込むしかない。

「ふざけるな！」

猛スピードで道路を駆ける車の中、剛田は叫ぶが、映理の冷徹な声が追い打ちをかける。

「おしゃべりする時間はあるのかしら？」

耐えきれず、剛田は口を開いた。

「俺がやった！ 教習生を脅して、女をホテルに連れ込んだ！ 全部俺の仕業だ！」

「俺のことは何も言うな！」

鮫島が叫ぶが、剛田は恐怖に負けた。

「すまん！俺が全部やった！でも社長もグルなんだ！」

次の瞬間――

告発の結末

剛田がすべてを白状すると、車はゆっくりと停車した。しかし、何も起こらない。

「……？」

剛田と鮫島は恐る恐る顔を見合わせた。ダイナマイトの爆発はない。

「まさか……」

スピーカーから再び映理の声が響く。

「お疲れさま。嘘だったのよ、その爆弾の話はね。」

剛田の顔が青ざめる。

「でも、今の会話……すべてライブ配信されてるわ。」

剛田と鮫島の顔が凍りつく。彼らの悪事の告白は、すでに世界中に拡散されていたのだ。

【SNS大炎上】

爆発の瞬間が配信されたことで、SNSは瞬く間に大炎上した。

「映画みたいな結末だけど、現実だぞ……」

「教習所の悪事を暴いた正義の制裁か？」

「社長まで巻き込まれてて草」

ハッシュタグ「#社獣ハンター #悪党の最期」がトレンド入りし、視聴者は興奮と恐怖に包まれた。

一方で、爆発の真相を巡って議論が白熱した。

「これって本当に仕掛けられてたのか？」

「社獣ハンターがやりすぎじゃない？」

「悪人が報いを受けた。ただそれだけのこと」

世論は賛否に分かれたが、確かなことはひとつ。この一件によって、教習所の腐敗は完全に白日の下にさらされたのだった。

【エピローグ】

朝の光が差し込む病室。美恵子は静かに目を開けた。長い闘いの果て、ようやく彼女は病院から退院する日を迎えた。

窓の外には、いつもと変わらぬ街の景色が広がっている。しかし、美恵子の胸の内には、これまでとは違う決意が宿っていた。自分が受けた傷は深く、簡単には癒えない。しかし、彼女は前を向くことを決めたのだ。

病院のロビーには、社獣ハンターの仲間たちが待っていた。堀部映理、五十嵐いづみ、藤堂葵奈──それぞれが安堵の表情を浮かべ、美恵子を迎え入れる。

「これで終わりかしら？」

いづみが問いかけると、映理は微かに笑みを浮かべた。

「いや、戦いはまだ終わらない。」

藤堂葵奈が拳を握りしめる。

「社獣は次から次へと湧いてくる。私たちの戦いは、これからも続くのよ。」

美恵子は頷いた。彼女はもう、ただの被害者ではない。新たな一歩を踏み出し、彼女もまた、戦いの一員となることを決意していた。

社獣ハンターの戦いは、まだ終わらない——。