第3話

「ただいま...」




シーンという音さえ聞こえない家の中。その空間に足を踏み入れた私はそう呟いた。


だが「おかえり」という言葉はどこからも聞こえず。


誰もいないのだから返事がない。そう分かっていたから別に驚いたりはしなかった。



ピカピカの廊下を渡ってリビングルームに入ってみれば、

私が朝用意した母へのコーヒーが、

ほとんど口をつけられていない状態でテーブルの上に放置されてて。



朝はコーヒーを飲まないと始まらない。

って言うのが口癖の母のために毎朝淹れているコーヒー。


今日も『また』残している。



「....不味い」




インスタントコーヒーでも、やはり淹れたてのほうが美味しい。


でも捨てるのは勿体ない。



そう思ってなんとか苦手なコーヒーを飲み干す

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