第10話ドラゴンの巣2

「あっつ・・・!」


のどが渇き、カイトはつい頻繁に水筒を口にしてしまう。


それを見たコバヤシは、「少しは我慢したほうがいい。直ぐ水がなくなるぞ」と注意する。


「わかりました」とカイトは水筒をしまった。


火山の最奥に向かって進んでいく。いまは火山の中腹くらいだろうか、魔物の強さも地上の比ではなかった。


強力な毒棘をもつ岩のような原生生物やゲリオス、と呼ばれる毒の牙を持つ中型のトカゲのような魔物もいた。


ところでエヴァは・・・熱いのは嫌だとカイトたちがパーティで選ばれた時もついてこなかった。


彼女はやる気が常にゼロだ。本当に経験値を取り戻す気があるのだろうか。


そして探索パーティ達は地形に気を付け・・・あるときは迂回して、ある時は魔術で道を切り開きすすんでいた。


順当に火山の最奥に向かっていく。


それは突然だった。


こちらが向かっている方向から一目散にゲリオスの群れが逃げてきた。そしてすぐに、


「グアアアア!」


大型の魔物の声がした。


そのあとすぐに大型の火球が奥から放たれる。


「・・・!?」


カイトは思わず両腕で顔を守る。


当たったと思った火球はすんでで弾かれた。


どうしてかはわからないが直撃は免れたようだ。


「ナイスだ。スラ子」


「わっ!」


「すごいね・・・!噂通りの実力者だ・・・!」


チャモロはスラ子が放たれた火球から防御魔術で皆を守るのを見ていたらしい。


「早く引き返すぞ!気づかれている以上、逃げるのが得策だ」


そこからは必死だった。


ドラゴンは大きな見た目に反するスピードで走り、カイトの後ろにいた上級パーティが食い殺される音がした。


「チャモロさんは平気!?」


「気にしてる余裕なんてないよ!とにかく走って!」


ひたすら生き残ったパーティでキャンプを目指した。
















「騒がしいわね。何かあったかしら」


キャンプでエヴァがのんびりしているとなにやら騒がしい・・・どうやら火山のほうでドラゴンに襲撃されたらしくその報告が責任者に届いたらしい。


「コバヤシが時間稼ぎしてる・・・!早くバリスタの準備をして・・・!」


コバヤシのパーティが心配そうに報告する。


彼が殿を務めたおかげで何とか何人かは生き残ることが出来たのだ。


「俺も行きます!お願いです!1人じゃ無理です・・・!」


カイトはそういうとチャモロさんの制止を振り切りドラゴンのいた方向に向かう。


「ドラゴンね・・・手伝ってあげる。たまには私の力、見せてあげるわ」














冒険者が総出でドラゴンの元に駆け付けるとコバヤシは地形・・・岩などを利用しながら、戦っていた。それはバリスタを準備できるまでの時間稼ぎのつもりだった。


「まったく、上手くいかないものだな・・・バリスタがなるべく早く準備できればこんな化け物と正面から戦うなんてゴメンなのだが・・・」


コバヤシは遠くから向かってくる冒険者を見て安心する。


(死ぬのはゴメンだからな)


「コバヤシさん!こっちへ!バリスタで迎え撃ちましょう!」


「ああ!」


カイトの言葉を聞き、コバヤシはアダマイト魔石を放る。


それは強い光を発し、ドラゴンの視界を奪う。


その隙にキャンプへと走った。












「バリスタ!用意!」


作戦通りバリスタ設置地点にドラゴンを誘導する。


その巨竜が頭にきているのはみればわかる。


エヴァは唐突にそんな巨竜の前に立ち、何も問題なさそうに眼を見て、魅了の魔眼を起動する。


「何をしてるんだ!こっちに来なさい!」


ギルド責任者は慌ててエヴァを呼ぶが無視した。・・・そして何のこともないように口にする。


「静かに・・・ね?」


_____シモベになりなさい。


静かになったドラゴンをみて、周りは呆気にとられる。


眼を合わせただけでドラゴンが静かにかしづく。


「いい子ね。さあ、家に帰りなさい」


そうエヴァが言うとドラゴンは最奥に帰っていく。


「少しは私の力、分かったかしら?」












エヴァはあっという間にドラゴンを追い払うと荷馬車に帰っていった。


ギルドの責任者は、カイトとチャモロに、


「君たちのパーティは何者だい?」


と言った。

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