間話 龍神烈火

「トドメだ!クリムゾンドラゴンで攻撃!」


「ぐわああぁぁぁあああああ!?バカなああああ!?」


相手の最後のソウルを砕き、この戦いに勝利する。


「はあ・・・・・・はあ・・・・・・」


なんか最近俺に挑んでくる暗黒のカードーバトラー増えてないか?


「やったな烈火!」

「おう!負けねえぜ!・・・・・・でも、コイツら最近来る回数が増えてねーか?」

「俺がこっちに来ていることが知られてしまったのかもな・・・・・・」

「なんなんだよ、『破滅の精霊カタストロフ』って・・・」


最近、俺―――龍神烈火の元を訪れる暗黒のカードバトラー――――『破滅の精霊カタストロフ』が押し寄せていた。前までは多くても1日1回だったけど、今では多いときは3回くらい戦ってる気がする。


「俺にも、詳しいことは分からねえ・・・・・・」


俺の周りを飛んでいるクリム―――火龍王クリムゾンドラゴンは自分にもヤツらの詳しい事情は知らないという。


「俺たちの世界・・・・・・精霊界は、人間が多く存在する基本大陸の他に、火、水、風、土、光、闇の領域が存在するんだ。各領域には『龍王』と呼ばれるその土地を統治する王と、その土地を守護する『守護龍ドラゴンコア』が存在するんだ。そして100年に一度、全ての土地を管理する役目をもつ者を決める『神龍王祭』が開かれる。『破滅の精霊カタストロフ』と名乗る組織はその祭りの最中に現れた」


たしかクリムが自分のことを『守護龍ドラゴンコア』だって言ってたな。


「お前、守護龍なのにこの世界に来て大丈夫なのか?」

「別に守護龍って物理的に守護するって訳じゃねーよ!そうだな・・・・・・世界が滅ばないようにしているくびきってところだな。この世界の言葉で言うと」

「くびき、って何だ?」

「まあ、要は俺がいれば本当の意味で世界が滅ぼされることはないってことだな」

「へー」


聞いてもよくわかんねーや。


「なんで世界を滅ぼしたいんだろうな?」

「知らねーよ!狂人の考えてることなんてのはな!」


フン、とクリムはそっぽを向いてしまう。

よほどヤツらが嫌いなんだろうな・・・・・・。


「ところで、クリムがいた精霊界ってどんなところなんだ?」

「いいところだぞ!俺は自分がいた火の領域くらいしか詳しく知らないが、火山からマグマが噴き出したりして暖かいんだ!」

「・・・・・・俺には暖かいで済みそうもねーけどな」


火の世界怖え。


「てか、精霊界にも人間っているのな」

「まあな。火の領域にはあまり見かけないがな」


そらマグマが噴き出すようなところにいたくはないだろうなあ。


「それにお前らの世界――――地球から来た人間もいるんだぞ?」

「そうなのか!?」


知らなかった!


「魔力の力で扉を開くことは出来るが―――基本的には魔力災害だな。俺たちの住む世界――精霊界と、お前達が住むここ――地球はかなり密接な関係にあってな。魔力災害で世界を渡ってしまうこともあるんだ。ほら、この地球にもいるだろ?本で読んだんだがカッパっているだろ?」

「カッパ?妖怪のか?」

「そう!そのカッパだよ。もともと昔水の領域で暮らしてたらしいんだが、魔力災害でこの世界に来ちまったようだな。それがカッパの正体だ」

「すげー」


まさかカッパが精霊界のスピリットだったなんてな。


「もしかして、他の妖怪とかもそうなのか!?」

「全部は知らないが・・・・・・大体そうなんじゃないか?・・・中には本物の妖怪もいるかもしれないがな」

「ひぃ」


い、いるわけねーだろ!妖怪なんか!

いたとしても別に問題なんかあるわけないだろ!


クリムははぁとため息を吐いて、「話を続けるぞ」と言った。


「・・・・・・どこまで話してたっけ?」

「『神龍王祭』に『破滅の精霊カタストロフ』が来たってとこまでだ」

「そうだったな。確か全部の領域を管理するヤツを決めるのが『神龍王祭』だったな」


「そうだ。神龍王は誰よりも気高く、強く、そして思いやりに満ちてなければならない。そんな神聖な儀式にヤツらは現れ、世界を支配すること宣言した。当然、俺たちも黙ってみているつもりはなかったがヤツらを率いるリーダーの力が不気味で、強大すぎた。俺はなんとか命からがらこの世界に逃れて、世界を守る才能を持つ少年、つまりお前と出会ったってわけさ」


へへ、才能なんて言われると照れるぜ。


「ソレでヤツらはお前を狙ってるって訳だな」

「ああ。正確には俺だけじゃなく、広美や海人、風花が持っている守護龍のこともな」


そこまで話してから、クリムはしゅんと項垂れた。


「・・・・・・正直、俺たちの世界の問題に巻き込ませて悪いと思ってるよ」

「なーに言ってんだ!」

「・・・・・・?」

「俺たち、友達だろ!」

「・・・・・・!」

「助ける理由なんて、それだけで十分さ!」

「れ、烈火・・・・・・!」


ズビズビ、とクリムは鼻水をすするような仕草を見せると、目から涙を流した。


「俺、お前が相棒でよがっだよ~!」

「お、おい!その顔で近づくなよ!」


霊体であるため鼻水とかはつかないと分かってはいても汚いものは汚いのだ。

追いかけ回すクリムから逃げる烈火。


その2人の前に1人の男が現れた。


「ひひっ!お前が龍神烈火だな~?」


男は黒色のローブを被り顔がよく見えない。

だが顔が分からずとも、どんなやつかは知っているのだ。

なぜなら先ほどもバトルしたばかりだったから。


「・・・・・・」

「・・・・・・」

「・・・・・・」

「・・・・・・・・・・・・違うのか?」

「・・・・・・いや、そうだけど」

「おい、焦らせるなよ!人違いかと思ったじゃねーか!」


くそっ!と地団駄を踏む男を見て、今日2回目だなとため息を吐いた。


「それで?狙いはクリムでいいのか?」

「ひひっ!よく分かってるじゃねーか。俺が勝ったらそのカードをよこせ」

「俺が勝ったら、この世界から手を引け」

「いいだろう!『絶対契約コントラクト』!ひひっ!これで決して破ることのできないルールは結ばれた!始めようか!」


「ああ!『世界の壁を越えてアクセラレーション!』


再び烈火はバトルフィールドへ行くことになった。

数十分後・・・・・・。


「バカなあああああああ!?この私が負けるだとぉおぉおお!?」


ふぅ・・・・・・・・・・・・。


「お疲れ!烈火!」

「おう、どんなもんよ!」


いえーい!と霊体ながらもハイタッチを行う。

そこに黒ローブの男が一人・・・・・・。



「ガハハ、お前が龍神烈火だな・・・・・・?」


――――。


「お前らいい加減にしろよ!?」



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