第7話 永遠の壁
リゼたちは共鳴の森を抜け、ついに旅の終わりを告げる試練の地、「永遠の壁」へとたどり着いた。それは天空へとそびえる巨大な壁で、どこまでも続くように見えた。表面は滑らかで、一見して登るのは不可能に思える。壁には無数の光の模様が浮かび上がり、触れる者の内なる心を映し出すという。
「これが最後の試練……どうやって超えればいいの?」
リゼは圧倒されつつも、自分の中に芽生えた決意を忘れず、壁を見上げた。
すると、壁から声が響いた。
「この壁を越えるには、お前の内なる強さを試される。過去のすべての試練を思い出し、自らの手で未来を切り開け。」
リゼは、これまでの旅で得た教訓を胸に、壁に手を伸ばした。しかし、壁は冷たく、滑りやすく、何度も手が滑り落ちてしまう。隣では仲間たちもそれぞれ壁に挑んでいたが、同じように何度も失敗を繰り返していた。
「何度やっても無理なんじゃないか……。」
そうつぶやくカインに、リゼは静かに微笑んだ。
「失敗するのは当然よ。でも、それでも進むのが私たちの旅だったでしょう?」
彼女は膝をつき、深呼吸をした。そして、これまでの試練を思い返す。夢の形を見つけたこと、情熱を燃やし続けたこと、失敗から学んだこと、仲間たちと力を合わせたこと――それらすべてが、リゼの心を支えていた。
「諦めない限り、道はあるはず。」
リゼは再び壁に向かい合った。そして、心の中で大きく声を上げた。
「私は自分の夢を叶える!何度でも挑戦する!」
その瞬間、壁の模様が彼女の心の強さに応えるように光り輝き始めた。手が滑りやすかった表面が少しずつ変化し、掴める足場が現れたのだ。
一歩ずつ、リゼは壁を登り始めた。最初は難しかったが、少しずつ足場が増え、彼女の決意が形となって壁に現れているようだった。仲間たちもそれぞれ、自分の心に向き合いながら登り始めていた。
長い時間をかけて、ついにリゼは壁の頂上に手をかけた。そこから見えたのは、信じられないほど美しい景色だった。青い空と広がる大地、そして彼女がこれまで歩んできた道が光となって浮かび上がっていた。
「これが……私の夢の先にある景色……。」
リゼの目には涙が浮かんでいた。これまでの試練、仲間たちとの出会い、何度も心が折れそうになった瞬間――それらすべてが、この景色を見るための道だったのだ。
彼女の後ろから、仲間たちも頂上に到着した。セリナが歌を口ずさみ、カインが感嘆の声を上げる。エルノは微笑みながらこう言った。
「リゼ、君の強さが私たちをここまで導いたんだよ。」
リゼは静かにうなずいた。そして、自分の胸に手を当ててこう誓った。
「どんな壁が現れても、私は決して諦めない。この景色をもっと広げるために――。」
こうしてリゼたちは、永遠の壁を超え、新たな未来への第一歩を踏み出したのだった。
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