ガチャ屋開店!

「さあ、早速店を開けるとしますか」



ギルドマスターに用意してもらい無事に店を構えることができたわけでその期待にも応えるためにもさっそく店を開けることにする。



これまでは冒険者ギルドにガチャを置かせてもらっていたためどうしても冒険者が多かったが、これからは街の住民達も沢山来てくれるだろう。

そんなことを考え店を開けるために1階に降りて準備をするとなにやら外が騒がしい。


なにかあったのか?

警戒しながら様子を見るとそこには店の前に並ぶたくさんの人がいた。

ガチャをよく引きに来ていた常連のお客さんもいれば今まで見たことがない冒険者ではない普通の住民のような人もいた。


「おお!ガチャの兄ちゃんやっときたな!早く店開けてくれ」


「あれがガチャとかいう珍しいスキルを持ってる奴か、初めて見たな」


「前までは冒険者ギルドにあったから入りずらかったけどここなら通いやすいわね」


こんなにもたくさんの人がガチャを引くために待っていてくれたのかと思うと嬉しくなる。

感傷に浸っていると今回お店を用意してくれたギルドマスターが話しかけてくる。


「よう!開店前なのに凄い人気だな、これなら店を用意したかいがあるってもんだ」


「マスター、こんないい店をありがとうございます!でもどうしてこんなに並んでるんでしょうか?」


「そりゃ冒険者ギルドで昨日のうちに宣伝しといたからな、当たればいいもんが手に入るのにやらない奴はいないだろ、

それに前から気になっていて今回記念にやろうとするやつもいるだろうしな」


「なるほど、だからこんなに並んでるんですね」


「そういうことだ、まあなにか困ったことがあったら気軽に相談しに来てくれ」


じゃあな!

そう言うとマスターは高らかに笑いながらギルドへと向かっていった。

それにしてもすごい数だな、これは早く開けないと。


「では!本日より開店します『ガチャ屋』これからよろしくお願いします!」


そういい店を開くと同時に我先にとガチャに向かって人が並び出す。

こんなにもガチャに夢中になってくれる人がいるのかと思うと少し感情深いものがあるが昨日新しく出たばかりのボーナスガチャの前には初めて見たために少し戸惑っている人達がいるので説明をする。



「えー、本日より新しいガチャが追加されました。

このガチャはボーナスガチャと言いまして1日100回限定のため1人1回とさせてもらいます、SSRやURのでる確率は通常のガチャより2倍になっていますので宜しければ引いてみてください!」



「2倍なのは嬉しいが1人1回なのはかなり厳しいな」


「でも普通に引くより当たる確率が大きいなら引くしかないだろ」


「スキルの種や魔剣が当たる確率が少しでも高いならそっち行くしかねえな」



説明を終えると2倍という言葉にみんな我先にとボーナスガチャに並び始める。

1日100回と限定されているため1人1回としたが中にはそんなことを守らない客もいるのは日本にいた時に学習済みなので、予めスキルで設定してあるから心配はないだろうがまあ大丈夫だろう。


店がかなり大きいためお客さんの出入りもかなりスムーズになっているので余裕を持ってガチャを見ることが出来る。

そんなんで爆死した人を見たり、運良くSSRを当てて仲間と喜んでいる人たちを見たりしているとボーナスガチャの方からなにやら歓声が聞こえる。



「おお!ヨッシャア!!虹色に光ってるぜ!」


「これはスキルの種が出た時と同じ光だそ!」


「まさか初日でURがでたのか!?」


どうやらボーナスガチャの方で運良くURを当てた客がいたみたいで周りにいたお客さんも盛り上がっている。

今回は何も確率を弄っていないので単純にその人の運がよく当たったのだろう。


「おお!スキルの種の方か!」


「前当てたやつは聖騎士のスキルを手に入れたらしいからな、今回は一体なんだろうな」


「頼む!金なら払うから俺に売ってくれ!」



魔剣ではなくスキルの種を当てたようで自分で使うかどうか悩んでいるようだ。

周りはどんなスキルが手に入るか気になっていたり、中には当てた人から買取を希望する人までいる始末だ。

まあこちらとしてはどちらでもいいのだが実際どんなスキルが手に入るかは気になるところだ。



「よし決めた!俺も自分に使うぞ!これでレアスキルを手に入れてやる!」


「おお!よく言ったぞ!やれやれ!」


「待ってくれ、頼むから売ってくれよ…」



どうやらスキルの種を使うことに決めたらしい、スキルの種も実際使うまでどんなスキルが手に入るかわからない一種のガチャのようなものだ、早速使うと身体が一瞬光ったあと男は嬉しそうな声で話し始める。



「ヨッシャア!『大魔法使い』のスキル手に入れたぞ!」


「『聖騎士』と同じ当たりスキルじゃねえか、あいつの人生もう勝ったも同然だな」


「『大魔法使い』ていったら普通の1属性の魔法使いより威力が高い上に複数の属性の魔法を使える最高のスキルだ!

俺のパーティーに入ってくれねえかな」



話を聞く限り今回のスキルも当たりの部類のスキルだったようで早速彼を自分のパーティーに勧誘する人達や自分も当てようとガチャを回す人たちで店は一気に賑やかになる。


初日にURがでたのはかなりいい宣伝効果になったのは間違いないだろう。

彼がこの先冒険者として活躍してくれればこの店の名前も知れ渡りもっと多くの客が来てくれるはずだ。

願わくば彼がどうかいい仲間と巡り会って活躍しますように。

俺はそんなことを静かに願う


それにしても俺も異世界に来たからにはそういう魔法使って無双してみたかったな…

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