第一話【悲報】もう半年経ってるのにぼっち

 高校の面接で、こんな事を聞かれた。それは「高校生活を色で例えると何色か」という質問だ。俺は「虹色」と答えた気がする。理由は確か、「たくさんの人と関わって色々な経験を身につけていくから」だったような。またかつての友人は「何となく薔薇色!」と答えたそうだ。その友人は落ちたが、俺はその高校、谷上高等学校に受かった。

 初めは嬉しくてたまらなかった。これから薔薇色の生活が始まるんだと、たくさんの友達ができるんだと、胸を躍らせた。

 しかし、現実はそう甘くはなかった。


 (今日もまたひとりかぁ──)

 脳内に、そんな俺の切ない呟きが響いた。口に出すと同級生に馬鹿にされるかもしれないので、実際に声に出したことはない。俺は今、昼飯を終え教室に戻るつもりだった。昼食を終え、教室で本を読む。そんな30分間は俺にとってこの世で最も大切な時間のひとつであった。今日も同じように本を読もうと思ったのだが、それは「ヤツラ」によって阻止されたようだ。

「ううぇぇえええい!!」

「おいヤーメーローよ笑」

 扉を少し開けると、窓際で謎の絡みをしている3人組が目に入った。

 話したことはない。アイツらが俺の存在を知っているかどうかも怪しい。

 わざわざ昼休みに俺の席を陣取って、よく分からない絡みを始めるコイツら、いわゆる陽キャ達にも、このモノローグを聞かれたら笑われるんだろうか。いや、それは無いだろう。俺は今、コイツらの事を散々ディスっているが彼らはこのクラスの中心的人物だ。教師からの評価も高いだろうし、俺みたいな日陰者とは格が違う。

「ウェアッザバッシュ‼︎ウェアッザバッシュ‼︎」

「何語だよ!腹いてぇっ」

「おいお前エアー頭突きやめろ笑」

 どちらにしろ、俺には関係のない話だ。陽キャ様は陽キャ様同士で、勝手にやっていればいい。隠キャは隠キャ同士で、ひっそりと生きているのだから。まあ、といっても俺は最下層、逃げるようにゆっくりとその場から立ち去った。


 結局、俺は図書館で読書をすることになった。別に図書館でなくても良かったのだが、教室にいたくなかったので、どこでもいいから逃げ込んだ。

 外では部活に励む野球部員やサッカー部員の声がする。しかし図書館にはその喧騒も届かない。周りにいるのも俺と同じような生徒達だけ。教室よりもずっと居心地がいいのかもしれない。


 そして放課後。

 時刻は5時を過ぎており、教室にいるのは僕1人になった。7時になると先生達も退勤するので学校は閉まってしまう。けれどこの穏やかな時間が俺は好きなので、いつも6時くらいまで残っているのだ。


「そろそろ、帰るか」

 そう呟き、俺は教室を出た。

 昇降口までの道程、特に面白い事もなく淡々と歩く。

「ん?あれは──」

 夕陽を見ながらゆっくり歩けば、ふと人影が目に入った。第二校舎の屋上に女子生徒らしき人が佇んでいる。

 よく見てみれば、あれは一部の男子から人気がある天音さんではないか。


 吸い寄せられるようにして、俺は第二校舎に向かった。

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