第2話 アイプチ

 一重瞼か、二重瞼か。若い時分にはかなり重要な問題である。特に女性にとってはそうだろう。かくいう私も小学六年生頃からだろうか、この瞼に線が一本あるかないかがとても深刻な問題だった。そしてアラサーに差し掛かった現在もそれは続いている。

 6歳上の姉が長年のアイプチ 使用で二重の癖がついていたことから、中学に上がった時から自宅にいる時のみアイプチをして癖をつけようと試みた。何故学校ではしないのか?もちろんバレるのが恥ずかしいからだ。第一話を見てもらった人にはもう知られているとは思うが、私はとても見栄っ張りである。

 まあ私の性格は置いておいて、学生が自宅にいる時間なんてそう多くはない。つまり、全然癖などつかなかったのである。私がいわゆる標準体重の割に人よりも肉付きがかなり良く(体脂肪が高かったのかも知れない。今となっては真実は闇の中だ)瞼がやや厚いこともあったと思う。浮腫みやすい体質も。

 しかし、高校を卒業し大学に入学するまでの1ヶ月間は毎日癖づけのため一日中アイプチをした。アイテープも試し、夜はそちらの方が相性が良さそうだったので夜はアイテープをした。その結果、中高ではアイプチを外してもただの瞼でしかなかった瞼が変わったのである。癖が完全についたのではない。アイプチを外したら数時間は二重の線を保つことができたのである。これはきた、と思った。

 しかし人生とはそう簡単にうまくはいかないものである。左目に瞬きを集中したら、左目はかなりの時間二重を保てた。しかし、右目はからきしである。右目も二重を保とうと意識すると左目の線が消える。ちなみに右目の線もそうはもたない。理不尽な話である。

 整形手術をすれば、という意見もあるだろう。しかし、何度も言うが私は見栄っ張りである。整形をしたなんてもしバレたら生きていけない。ちっぽけなプライドを守るために日々せっせとアイプチに励んでいるのだ。

 歳を重ねるごとに瞼は張りを失い、昔より癖がついてきているのだとは思う。幸いなことに皮膚が強いからか瞼が腫れたり被れたりびろびろに伸びたりすることはなかった。目を見開くと二重の線がくっきり出てくるようにもなった。この線を元にアイプチをするとかなり食い込む。

 瞼の筋トレというものをご存知だろうか。瞼を見開いたりぎゅっと閉じたりを繰り返すことや眼球運動を行うのだ。そうすると、二重になりやすいらしいというのはYouTuber談である。とりあえずこれをしてみようということで、大学入学してからは、日中アイプチ ができない分、筋トレに励んだ。社会人になっても永遠に目を見開きガンギマリの状態で仕事している。なんて怖い社員だろう、びっくりする。しかしそうせねばならぬのだから仕方ない。

 仕事中の日中は筋トレし、夜帰りお風呂から出たらアイテープをする。仕事がない日は日中アイプチをし、夜アイテープする。こんな日常を続けている。つらい。しんどい。しかし、もうすぐで跡がつきそうなものだから整形に踏み切ることとはできない。バレたくないし。良い癖付けの方法などあれば誰か教えて欲しい。

 糸ではない、何かさくっとレーザーでも当てて二重にできる施術でも出てきたら試してみたいものである。是非とも美容医療業界の人たちは技術の進歩に励んで欲しい。できれば私が若いと言われる年齢のうちに。

 

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