第113話 人気ライザー?
「はむ……うーん、冷たくて美味しい……」
地下4階層の攻略を進めていたとある日。
最近は活動終わりに、ユグドラセンターにあるジェラートのキッチンカーに立ち寄ってクールダウンするのが日課になっていた。やっぱ暑いんだよな、あのフロア。
「あっソラさんだ! おーい!」
「コハルさん? お疲れさまー」
「お疲れ様です! 美味しそうなの食べてますねー!」
ジェラートを食べながらのんびりしていると、ユグドラタワーから出てきた桜ヶ丘コハルさんがこちらに気付いて駆け寄って来る。
うん、今日も暑いのに元気いっぱいだな……いや暑いのは俺だけだったな。
基本的にユグドラタワーの地上階層は寒くも暑くもないから。
「見てたら私も食べたくなっちゃいました! すいませーん! パネトーネとノッチョーラとアーモンドクロカンティーノのトリプリカーレくださーい!」
「かしこまりましたー」
「えっなにその呪文」
スタバ並みに長い注文を普通にこなすコハルさんと、平然と対応する店員さん。
モスドの注文が10個くらい一気に入って慌てて捌くときよりも難しそうなんだけど……ちなみに俺のジェラートはシングルのストロベリー。
ざわ、ざわ……
「ほら、あの人この間ユグドラバトルに出てた……」
「ああ~、下剋上の……」
「う……」
郷原くんとのユグドラバトル以降、さすがにライブ中継が配信されていただけあってユグドラセンター周辺にいるとたまに他の人からの視線を感じるようになった。
俺が自意識過剰だったり幻聴が聞こえてたりしない限りは多分、ユグドラバトル観戦が好きな人やライザー界隈の中ではちょこっとだけ認知度が上がったということだろう。
「ソラさんすごい人気ですねー。さっきジェラート屋の店員さんにも『知り合いなんですか?』って聞かれましたよ」
「うーん……人気、なのかなあ」
郷原くんに勝っちゃったせいでギャンブルに負けた人たちにはだいぶ嫌われてる気がするけどなあ。
ざわ、ざわ……
「一緒にいる女の子、可愛いくね?」
「ライザー仲間かな……もしかして彼女とか」
「でも前にギャルっぽい制服JKと一緒にいたって聞いたぜ……」
「…………」
一緒にいる人にまで興味がいっちゃうのはちょっとなあ……
容姿端麗で人気が高いライザーはアイドル扱いで異性と一緒に行動するのもヘイト買うとか聞いたことあるけど、そんな他人の事ばかり気にしてどうすんだか。
「ソラさん、アオイちゃんとデートしたんですか?」
「いや、デートとかそんなんじゃないよ……男女で行かないと食べられないパフェをアオイが食べたいって言うから付き合ったっていうか」
「アオイ……ふーん」
「な、なんですか」
「いえいえ、なんでもございません」
3種類のフレーバーがミックスされた特盛のジェラートを食べながら探偵のような仕草で何かを考えているコハルさん。
美味そうだけど、その量のジェラート食べたら地下4階層帰りの俺でも身体が冷えそうだ。
「リュ、リュウト先輩~。最近ユグドラセンターで遊んでばっかですけど、タワーの攻略とかユグドラバトルはしないんすか……?」
「うるせえ!」
「……あ、郷原くん」
「……ちっ」
ユグドラセンターのアミューズメントエリアから現れる郷原リュウトくんと越野ギンくん。
ユグドラバトル以来の遭遇で少し緊張するな……
「ママー、ユグドラバトルで格下に負けた人がいるー」
「こらっ! 指さしちゃいけません!」
「「…………」」
いや気まずいってこれ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます