第97話冬のテスト

暑さがなくなり皆冬服の制服姿に衣替えした11月半ば頃、姉さん達と学校に向かう為に歩いていた。


「昨日よりも少し寒いね。」


「そうね。私はさっさと春になってほしいわ。」


姉さんは冬が苦手らしく、冬というか寒いのが苦手らしくマフラーをしたりと防寒対策をしっかりしていた。

俺個人としては姉さんの防寒対策には何も言うことはないのだが、黒タイツを履いている姿は正直グッときた。


「薫ちゃん昔から寒いの苦手だしね〜。」


一子は一子で寒いのも平気らしくいつも元気だ。

皆が寒いと言う中で素足を見せているのは正直貴重だ。


「薫様、カイロが必要であれば差し上げますのでいつでもお声がけください。」


カオリさんはいつもの警護人の制服姿なのだが、少し生地の厚いスーツを着ているようだ。


まだ家からそう遠くない場所を歩いていると、下水工事の為に一部通行止めになっている場所があった。

そこを抜けると少しだけ近道になるのだが、工事中とは。


「・・・申し訳ありません。現在通行止めにさせていただいてます。」


俺達が工事中の現場を見ていると工事の関係者らしき人が声をかけてきた。


「あ、わかりました。回り道します。」


「ご迷惑をおかけします・・・失礼ですが、貴方は氷室咲夜様でしょうか?」


「えっと、そうですけど...」


何故か俺の名前を知っていた。


「あぁ、すみません。工事をする関係で近場に男性が住んでいると最大限の注意をしないといけないルールの関係でお名前を知ってしまったのです。」


俺はカオリさんに目線で「そんなルールあるの?」と会話したらカオリさんが頷いたので、本当の話だと理解した。


「10日程で工事が終わりますので、申し訳ありませんがご理解と御協力をお願いいたします。」


「わかりました。頑張ってください。」


俺は現場の人にそう言うと姉さん達と回り道をしながら学校に向かった。

...現場の人達がすこし蛇野先生に顔つきが似ていたのは気のせいだろう。


「おはよう!」


学校に到着し、教室に入り皆と挨拶をして自分の席に座った。

ふと周りを見ると真面目に自習をしている女子がちらほらといた。


「皆さんおはようございます。少し早いですが皆席に着いてください。」


いつもより10分程早く先生が教室に来たので、雑談もせずに皆席に着いた。


「...既に自習に励んでいる方もいますので理解している人もいるでしょう。残り一月もないうちに学期末テストが始まります。」


「この学校の学期末テストは特別な物だと皆さんは理解していると思われますがしっかりと取り組んでいただきたいと思います。」


「テストが始まるまでの間の授業はテスト対策と復習の時間として割り当てられることとなりますので皆さん良い成績を残せるよう頑張ってください。」


先生の話が終わり、先生が教室から出ていくのを見ながら静と姉さんに聞いてみた。


「学期末テストって特別重要なものなの?」


「...そうね。この学校に入った時点で重要ね」


「えっと、この学校の学期末テストの成績は三年間の合計点がそのままその人のステータスになりますの。名門のこの学校の卒業生ってだけでステータスなのですが、それプラス三年間の学期末テストの合計点がさらにその人の評価に加算されるのです」


つまりは、この学校を卒業したエリートの更にエリートを見分けるためのテストでもあるってことか。しかも生涯残るとなるなら皆やる気があるのも納得がいく。


「...ちなみに姉さんと静は勉強しなくて大丈夫なの?」


「私はいつも通りよ♪だから寂しがらなくていいのよ?ちゃんと咲夜の相手してあげるから♡」


「私もですわ!咲夜君に寂しい想いをさせませんわよ♡」


「・・・ありがとうね」


別に勉強を頑張るなら頑張るでしっかりしてほしかったのだが、前のテストでも二人は普段通りの勉強でトップ3に食い込んでいる。いらん心配だったな。


「私は大丈夫じゃない〜!」


「私も〜!」


一子と汐音が会話に交ざり姉さんと静に抗議していた。


「...一子、テストは1人でするものよ?頑張りなさい?」ニッコリ


「そんなあぁぁぁぁ」


一子も成績は良かった筈だがそれは事前に勉強をしてテストを受けた結果良かっただけで、姉さんみたいに普段の勉強だけで成績が良い訳でなく一子の努力の結果だ。地頭がいい人にはわからんだろう。


「一子、姉さんの言うとおりだ。だけど勉強が上手くいかないなら家に泊まりながら姉さんに勉強を見て貰うのはどうだ?俺も真面目にテスト受けたいから姉さんに教えて貰いたいし。」


「・・・それって、テストが終わるまでさく君の家に泊まっていいってこと?」


「母さんに許可貰わないとだけどな。それと姉さんのもね」


「・・・私は別に構わないわよ?ただし、静と未久も呼ばないと。私1人じゃメンドイわ。」


「私も咲夜君の家に長期滞在していいのですか!?

...汐音さん!頑張りますわよ!」


「えっと...話が良くわからないんだけど...。」


姉さんに呼ばれた未久が話に付いていけずにいたので一子が説明していた。


「あーでも人数分の布団あるかな。」


「だったら寝る時はウチに来なよ!」


せんちゃんが会話に交ざり寝場所を提供すると申し出た。


「お母さんにはもうOK貰ったし♪」


「そうなると...後は俺が母さんに許可貰うだけか」


「咲夜様、室長から許可が降りましたよ。」


いつの間にかカオリさんが母さんに連絡していたみたいで許可を貰っていた。


「んじゃ、勉強合宿をやるか!」


「「「やった〜!」」」


その後予定を皆で決めて明日から合宿することになった。

テスト迄二週間弱あるが、それまでの間氷室家と北城家を使った同居生活が始まるのだった。


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