第26話 足の裏からパルメザンチーズ

昔、サイババっていたじゃないですか。アフロヘアの聖人。

サイババは何もないはずの手から聖なる灰を出す、というのが奇跡だと信仰されていたものですが、私はね、足からパルメザンチーズを出せるんですよ。そして、きっとアナタもね・・・!!!


 香港といえば、足裏マッサージ、そして上海ペディキュアというものがあります。

ペディキュアと言っても、ネイルアートとかではなくて足の角質をヤスリで削ったり爪をナイフみたいので削ぐもの。

大抵、足裏マッサージをやってくれるとこでオプション追加できます。

このセット、本当にオススメ!!!

日本でも足裏マッサージは増えたけど、上海ペディキュアの技術はなかなか・・・。


女性はサンダル履く季節に足の裏のガサガサは気になるし、男性だって、足の裏がカチカチで割れると痛かったり、臭いの原因になるらしいんです。


 まず、足裏マッサージ。

茶色くて何だか木とか草とか浮いてるお湯張った桶に足を入れろ、と言われる。

それがちょっとビビるくらい茶色い。


「・・・でもこれ、何なんですか」と聞くと「お茶だ」


あ、お茶。これ、お茶っ葉かー。

お茶エキスで、洗浄、殺菌、皮膚を柔らかくということか。


で、マッサージがイッテェ〜のよ。悪いとこが痛いとこらしい。

足裏と言っても、膝くらいまでにも効くツボがある。


片足20分づつ合計40分、うどん生地のように揉まれます。

計40分、結構な力で長時間マッサージ。


「まって・・・!!おっちゃん・・・ゔぃででででてでッッッ!!!!」

「目も悪い。首、肩、ここも悪い。お前、腰痛持ちか。ここまでずーっと悪い。坐骨神経もやっちまってるぞ。婦人科も弱いか。腎臓も、泌尿器も悪い」

「いたぁあああっ。ヘルニア持ちでっ、婦人科系弱くてっ、寒いと膀胱炎もしょっちゅう・・ッ」

「やっぱりな。ここも、ここも悪い!」


・・・・逆にいいとこどこだよ。

まあ、私、体力はあるけど、基礎は虚弱。

ちょっと離れたソファでは、友人があまりの痛みに半分意識を飛ばしてました。

「痔が悪い!」と言われた時だけ「正解!!!!」とデッカイ声で返事してた。

そして、マッサージも終わり、足のむくみもスッキリした頃。


結構な後期高齢者以上と思われるおじいちゃんが小さい大工道具や手術道具みたいの持って現る。

手が震えてるぞ・・・・。

ひとみ婆さんじゃないんだからぁぁぁぁ。刃物持ってるぅぅぅぅ。


「こちらは、名人だ。無問題!!!」


ほ、ほんとかいな・・・。


「日本娘、足!!!」

「は、はい・・・」


よろしくお願いします、と頭を下げると。

いきなり、ナイフを取り出し、爪に・・・。


イャャァ、指切れるぅぅ・・・。

と思ったら、おじいちゃんの手の震えがピタッと止まり。

見事に足の爪をナイフで一回で削いでいく。


・・・すげぇ。名人ってこういうこと????

そのうち、じっと足の裏を観察され。


「あー、昔、日本にこういうのあったのー。足裏診断で、あなた死ぬとか言う宗教。最高ですかーー!?とか言うの」


と思い出して言うと、何じゃそりゃ、と爺ちゃん大笑い。


「歩き方の癖とか、合わない靴とか履いてる人、多いから、それで体調悪くなることはあるかもね」


じいちゃん、ヤスリで、かかとを、しゅっ、とすると、ものすごい大量の、木屑のような・・?


「・・・何これ・・・????」


溜まったものを見せてもらうと、パルメザンチーズ・・・・????

一体、どっから出てきたの、この粉チーズ・・・・。


じいちゃんの顔色が悪い。


「・・・お前・・・、いつからやってない・・・????」

「は???上海ペディキュア???いつも何も、今日が生まれて初めてよ、名人」

「なんつう・・・!!日本の女は、上海ペディキュア行かないのか?!」

「だって、日本に無いんだもん」


名人、まるで木材にカンナ削るかのように鬼の形相で削ってくれました。

すごいのよ・・・。あのよくある、緑色の粉チーズのボトル2本はあった。

どうやら、友人も大収穫だったらしく、じゃあこっちはどうだと様子見にきた他のスタッフも悲鳴を上げる。


「・・・汚くてすいませんでした・・・」


思わず謝罪。

スタッフもちょっと異常事態にナーバスな顔になっちゃって。


「・・・ねえ、これ男もやるんだけどさ。日本の男はもちろんやんないのよね」

「・・・足臭い男多いだろ・・・。夏は蒸れるだろ。清潔にした方がいい」


友達がその話を聞いて「夏に蒸れるのは足だけじゃ無い!!!」と、デリケアエムズのCMの再現をしてスタッフを笑わせていた。いつも体張って笑いを取ってくれてありがとう。


レジで会計時、「見た?超ウケた!」と喜んだ友人から、次は、彼女の飲み会芸の十八番である「プリッツを鼻の下に入れて、どじょうすくい」または「ストッキングをかぶって引っ張って魔人ブー」を香港人に見せて笑わせてみたい!!と言う野望を語られる・・・。


うん、ちょっと心の準備するから、やる前に言って、急には、やんないで、とだけお願いしておきました。


 さて。足裏マッサージと上海ペディキュアの効果と言えば。

ちゅるんちゅるんのすべっすべになるのはもちろん。

施術前は、歩きすぎと冷えで足パンパンだったのに、靴を履いたら、するっ・・と足が抜けてしまう。歩こうと思うと靴から足がパカパカ浮く。

え・・・っ?!・・・足のサイズが小さくなってる!とびっくり。

これが浮腫みが取れたと言うことか?!と感動。


そして、ホテルに帰って。もうね・・・油のような尿がじょろんじょろん止まらないわけよ。


「ちょっとッッッ、次、私っ!早くしてッッ!!!」


と代わる代わるトイレへ駆け込む。


老廃物が出た、と言う事なんでしょうね。


足のサイズは翌日には戻っていたけれど。歩きすぎで疲れていた足もスッキリ。

本当にオススメです。

足からパルメザンチーズ、出してみませんか?

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