新人さんは我慢ができない!
白菊
新人さんは我慢ができない!
はじめに——雷鳴轟く神の世界
ゴロゴロ、ゴロゴロ……穏やかならざる空模様。
ここは
かなり賑やかな場所ですが、みなの関係は良好で、穏やかな場所でもあります。
それが今はちょっと様子が違って、神々の暮らす雲の周りの空が暗く
「なんだい、ずいぶんと雷がうるさいね」白い髪を撫でつけた、白装束に身を包んだ
それに最初の老爺よりは若い老人が返します、「さっき
「いや、
「ああ」ちょっと若い方の老人がうなずきます、「たしかにそうだね。問題の厄介者がなかなか現れない」
「これはほんとうに、人間のくる前兆なのかね。もっと物騒なことが起ころうとでもしているんじゃなかろうか?」
「
「
老人は顔を引きつらせます、「いいえ、今回だってきっと、問題のある子が連れてこられているだけですよ、ええ、そうに違いありません、そうに、そうに……」
と、空が弾けるような凄まじい音が響いたのと同時に、太陽でも飛んできたのかと思われるような光が、老爺と老人の間の雲に穴を空けました。老人はひいひいと悲鳴をあげてそそくさと逃げていきます。
現れたのは黒っぽい洋服に全身を包んだ黒髪の青年。
「くそっ、なんの騒ぎだよ⁉︎」
雲に着いた青年が喚きますが、騒ぎを起こしたのはこの青年本人です。
老爺は愉快そうに笑いました。「いやあ、よかった、よかった。ほかのやつらの喧嘩じゃあどうしようかと思ったぞ。おまえさんが新入りかい」
「なんの話だくそじじい、ふざけんな、ここはどこだよ!」
「口が悪いのう、それじゃあよくない」老爺は雲に空いた穴を塞ぎながらいいました。それから青年を見ます、「そんなことだから、ここに連れてこられたのじゃよ」
「ああ?」
老爺は手元に視線を落として雲の修復に努めます。「まずは気を鎮めなさい、いらいら、いらいらしていては、いつまで経っても人界へは帰れぬぞ」
「ああ?」
「ここは神界、おまえさんのような問題児を更正させる役割も負っている」
「ああ?」
「おまえさんは、ここで食い、ここで眠り、ここで時を過ごす。その時が長いか、それほどでもないかは、おまえさん次第じゃ」
「ああ?」
「ほかにいうことはないぞ。あるとすれば、神界へようこそ、くらいのものかのう」
「ああ?」
「それじゃあ名前をつけてやろう。おまえさんがくるまでの間、ずっと空が鳴っておったから、
「ああ?」
「こだわりを捨てて気を鎮めるのじゃ。人界へ帰りたければな」
「ああ?」
老爺はちょっと笑って、雲の修復を終えました。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます