第4話 剣士
「ご主人様、おはようございます。昨日は私が寝ている隙に、酷いことしませんでしたか?」
「酷いことはしていない。」
「それでしたらいいです。」
酷いことはしていないが、寝てしまったマリアの体をマッサージして血行を良くさせただけだ。マリアは布団の中から出るとメイド服をゴソゴソと着始めた。真っ白な肌が艶めかしい。
窓から外を見るとまだ日が昇ってから間もないようで、薄暗い。
食事をとってすぐにダンジョンに向かった。
▼▼▼▼
「あー、疲れたー!」
ゴブリンを倒すのに夢中になってしまい、昼に宿に戻ることも忘れてしまった。
ゴブリンは一日で30匹倒すことができた。
討伐後のステータスはこんな感じ。
力 57
防御 4
素早さ 15
知力 6
魔力 1
運 6
シール化
盗賊Lv11 戦士Lv1 魔法使いLv1
鑑定Lv1
力ばかりが上がった。【ゴブリンシール】で得たステータス力+30だが、実質+33あがっていることから戦士による力補正は+10%といったところだろう。
力57だと自転車は軽くこぐだけで恐ろしいスピードが出るし、ゴブリンも簡単に両断できる。
ステータスが上がっていく感覚がたまらなく面白く、次の日も、その次の日もダンジョンに通った。
「あれ、なんだ?」
草原の遠くの方に何か見える。
「洞窟?ダンジョンの中にダンジョンの洞窟がある。ひょっとして……」
自分のステータスを確認してみる。
力 128
防御 4
素早さ 15
知力 6
魔力 1
運 6
シール化
盗賊Lv11 戦士Lv1 魔法使いLv1
ゴブリンLv1
鑑定Lv1
ゴブリン 力補正 生殖能力+1
生殖能力・・子孫を残すか残さないか任意に決めることができる 他種族との交配も可能
「ゴブリンLv1…?生殖能力補正って……便利だな。力補正は昨日の結果と照らし合わせると+10%かな。何がトリガーになったんだろうか。とりあえず洞窟に入ってみよう。」
「草原じゃないか!」
また草原だった。
「ひょっとしてゴブリン以外のモンスターが?」
またゴブリンだった。
「また、ゴブリンかよ!……ん?ちょっとまてよ。何か剣持ってるな。鑑定」
ゴブリンソルジャー
力30
防御30
素早さ10
知力1
魔力0
運2
「こいつひょっとして戦士か!」
俺は圧倒的にステータスが低いゴブリンまで走っていき、いつものように胴を両断した。
「シール化」
【ゴブリンシール】【戦士シール】
「【戦士シール】出たー!やったー!しかもこれアイアンソードだ!」
アイアンソードをシール化し、カバンに入れる。
この地下2階にいたのは、ゴブリンソルジャーだけだった。しかも1階よりも数が多い。
午後からは楽しくなりすぎて、シールをすぐに使わずにストックしておいた。
【ゴブリンシール】×37
【戦士シール】×35
戦士シールを9枚使ったところで新たなシールをゲットできた。
【挑発シール】・・注意を全て自分に向けることができる。
「何人かで戦うとき、盾役になるとき使えそうだな」
シール使用後のステータス
力 214
防御 39
素早さ 15
知力 6
魔力 1
運 6
シール化
盗賊Lv11 戦士Lv36 魔法使いLv1
ゴブリンLv1
鑑定Lv1 挑発Lv1
次の日も早朝から草原ダンジョン2階をひたすら自転車で探索する。
探索というかなんだか、弱いもの虐めのようにも見えるが。
その日の成果は
【ゴブリンシール】×73
【戦士シール】×70
ほくほくで宿に戻ってくる。
「おかえりなさいませ、ご主人様。本日も無事に戻られて何よりです。私に会いたいからと言って、そんなに慌てて帰ってこなくても大丈夫ですよ」
「そうだね。会いたくて仕方なかった」
最近はマリアのツンの部分に乗ってあげることにした。乗ってあげると頬を少し赤くしてかわいいからだ。
モカにすり寄られながら、その日集めたシールを剥がしていく。
「あれ?なんかあるぞ」
【剣士シール】・・力+2 防御+2 剣術+1
「【剣士カード】!今日狩ったゴブリンの中に剣士がいたのかな。いや枚数を数えた時には確かに無かった。戦士のレベルがを100枚超えたんだ。なるほど、ジョブがレベル100になると1枚報酬でもらえるのか。剣士がレベル100になったら、さらに上のジョブが解放されるのかな。楽しみだ」
力 453
防御 122
素早さ 15
知力 6
魔力 1
運 6
シール化
盗賊Lv11 戦士Lv106 魔法使いLv1 剣士Lv1
ゴブリンLv2
鑑定Lv1 挑発Lv1
剣士 力補正 防御補正
剣士の補正は+20%くらいだろう。力と防御がかなり上がっている。ゴブリンのレベルも上がっていた。明日ダンジョンの地下3階にいけるようになるのかもしれない。楽しみだ。
「ご主人様、アイアンソードが大量に売れたおかげで、所持金が金貨10枚になりました。この村の武器屋では在庫が余ってもう買い取れないと言われています。」
「そうか。どこか違う町に行くことも考えないといけないな。アイアンソードは俺がしばらく持っておくから、もう少しこの村で過ごそう。」
しかし、次の日、地下3階への洞窟は現れなかった。がっかりしながらゴブリンソルジャーを淡々と狩った。おかげで目標のゴブリンソルジャー100匹を達成できた。
「力と、防御以外も上げたいな。」
ダンジョンを出て、次の街のことを考えながら歩いていると、何人かに待ち伏せされていることに気がついた。
「おじさん、最近、随分と稼いでるみたいじゃねーか。俺たちに少し分けてくれよ」
見たことのない顔だが、恰好からして冒険者のようだ。
鑑定で確認すると戦士、戦士、戦士、魔法使いの4人組、ステータスは最大20、平均10前後といったところだ。俺の力は400オーバー。少しは考えて喧嘩売れよな。
「あんた、このまえ登録したばっかりなんだろ。まだEランクのくせにいい剣もってるじゃねぇか。」
ああ、この鋼鉄の剣のことを言っているのか。
絡んできた4人は俺の前に立ちはだかり、剣を抜き、杖を構えた。
「剣を抜いたからには命の覚悟ができているんだよな」
「ぬかせ!」
真ん中のリーダー格っぽい戦士の男が剣を上から振り下ろしてきた。俺を殺す気だ。
振り下ろされる剣を親指と人差し指で受け止める。やはりステータスは噓をつかない。
「ひっ、なんだお前!ば、化け物!」
4人は一目散に逃げていった。
「何だったんだ。あいつら。」
今日は久しぶりに冒険者ギルドに寄ることにした。シール集めが楽しくて全然来ていなかったからだ。
「あ、テツオさん、本日はどのような用件でしょうか。」
「討伐証明がたまっているのと、さっき、冒険者のような奴に命を狙われたのですが。」
「えっ、それって戦士3人魔法使い1人のですか?」
「あぁ、そうです。」
「あの人たち、Dランクですよ。大丈夫でしたか?」
「ええ、まあ。」
「このことはギルドでも共有させていただきますが、冒険者同士の争いにはギルドは一切口をだせないんです」
「そうでしたか、それなら俺があいつらを殺しても問題ないということですね」
「冒険者ギルド的には問題ありませんが、身内から恨みを買うかもしれませんね。」
「ふーん。まあいいや、これたまっていた討伐証明ね」
「ちょっと!なんですかこれ!」
「えっと、ゴブリンの耳。」
「こんなにたくさん……テツオさんEランクですよね。」
「そうですね。」
「確認してきますね。少し時間かかりますが、よろしいですか?」
「いいですが、疲れたんで明日また来ます」
時間がかかりそうだったのと、あることを片付けにギルドを出て、表通りを外れたところへと歩を進める。
「おい、さっきはこけにしやがって。こいつです。」
「ただの中年じゃねぇか。こんな奴のために俺を呼びやがって。」
剣士 Cランク
力 50
防御 50
素早さ 15
知力 10
魔力 0
運 10
あ、こいつ剣士だ。ステータスも少し高いかな。Cランクだし。他に5人ほど戦士と魔法使いが追加されている。随分大げさにしたもんだな。
そう思っていたら剣士が剣を抜いた。あれ?見たことのない材質だ 。
ミスリルの剣・・使用者の魔力に応じて切れ味が変わる剣
あれがミスリルか。黒く光ってかっこいいな。でもこいつ魔力0だし、宝の持ち腐れじゃないか?
剣士はゆっくりと俺に近づいてきて、剣の間合いに入った瞬間、一気に距離を詰めてきた。
ここなら周りからも見られていなさそうだし、いいか。
距離を詰める剣士の胸のあたりを殴りつけると、剣士の胴体に丸く風穴が空いた。
「ぐはっ……なんだお前……」
剣士の剣を奪い取り、周りの戦士と魔法使いを次々と斬り捨てる。
これまでのゴブリンとの闘いで返り血をなるべく浴びないような戦い方をしてきたのが功を奏した。
地面に横たわる亡骸、装備品をすぐにシール化させて回収した。
あんなクズみたいな人間でも、ゴブリンをゲームのように倒したのとは違って後味が悪い。
今日狩った100匹以上のゴブリンのシールと絡んできた剣士、戦士、魔法使いのシールを剥がしていく。
魔法使いのレベルが10になったところで新たなシールを手に入れた。
【水魔法シール】 ウォーターボール ウォーターウォール
「ようやく魔法覚えたな。しかし、魔法……どんな性能何だろう。ウォーターボールか水の玉を出すのか?楽しみだ。」
力 767
防御 250
素早さ 15
知力 16
魔力 12
運 6
シール化
盗賊Lv11 戦士Lv219 魔法使いLv1
剣士Lv3
ゴブリンLv3
鑑定Lv1 挑発Lv1 水魔法Lv1
宿に帰りモカに癒される。
「マリア、この村以外のダンジョンを教えてくれないか」
「はい。近い所ですと、このウーメラから見て
東 カトゥーンの街 鉱石ダンジョン 出現する魔物イビルアイ
北 オルベリーの街 洞窟ダンジョン 出現する魔物インプ
西 ゴスフォードの街 森林ダンジョン 出現する魔物ミノタウロス です」
「魔法を使ってくる魔物だとどこだ」
「オルベリーのインプが魔法を使いますが、魔法を多用してくることから難関なダンジョンだとされているようです」
「それじゃ、その、オルベリーという街にいこうか」
「かしこまりました」
「ん?何?」
「当然のことと思いますが、私も連れて行っていただけるんですよね。」
「当然だ」
マリアの顔が笑顔になりかけたように見えたが一瞬で冷たい表情になった。
その日の夜
「マリア、今日はいつもの薄い透けてる服は着ないんだな。」
「ご主人様、そんなに透けているなんて言わないでいただけますか。今日は洗濯して干してありますので、仕方なくこのまま寝るだけです。」
マリアはパンツ1枚しか履いておらず、手で胸を隠しながらベッドの横に立っている。
「あまり、私の胸ばかりジロジロと見ないでいただけますでしょうか。下着もあまり見ないでください」
「どうしろと……」
マリアはろうそくの火をフッと息をかけて吹き消すと、暗闇の中、静かに俺が入っている布団に入って来た。
「ご主人様、お休みなさいませ。私はこれから寝てしまいますが、寝相が悪いので、気にしないでくださいね」
「ああ、わかってるよ」
しばらくすると俺の背中に柔らかく温かな感触があたった。
「あたってるぞ」
「くー」
「寝相として扱うつもりなんだ。じゃ、寝てたらわからないよね」
俺はマリアのほうを向いて、寝顔にキスをした。
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