ももんがですがなにか

ももんがですが

僕は、この人は頭がおかしくなったんだ、そう思って物陰に隠れた。


雪の降る2月だった。


冷たいフローリングにうつ伏せでじっとして眠った。


目が覚めると助骨模様に赤く、骨盤の出っ張ったところには青いアザが増えた。


今日のキッチンに差し込んだ陽射しはいつもと違う。


母は注射器を刺したまま「おはよう」と言う。


僕も「おはよう」と言う。


僕の赤切れだらけの指、中指と薬指の間に母は注射針を刺した。


ルカの福音を口付さみながらピストンを動かす。


「ありがとう」


僕は、この人は頭がおかしくなったんだ、そう思って物陰に隠れた。

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