16.後始末
のびている赤池の姿を見て、界はふと思う。
(今回、赤池を倒せたのは、完全に運だったとまでは言わないけど、運がよかった部分もあるのは確かだ……。ぶっつけ本番で
「えーと……、それでこの状況どうしよう……」
勢いあまって赤池をぶん殴ってしまった界であったが、後先のことを考えていなかった。
「界様…………申し訳ありません」
赤池が意識を失ったことで、鏡美の拘束が解かれていたようだ。
その鏡美は界に向かって頭を下げる。
「界様の家庭教師を受けた裏で、赤池の仕事を受けてしまったこと、深くお詫びいたします」
「あ……えーと……」
「白状いたします。この仕事を受けた時の
「……」
「どのような罰でもお受けする覚悟でございます」
「…………罰だなんて……」
界は困惑する。
「罰なんてないですよ……。でも……鏡美先生、一つだけ聞きたいです」
「はい、なんでございましょう?」
「僕に教えてくれたことは全力だった……と思っていいのでしょうか?」
「っっ……! も、もちろんでございます!
「……であれば、大丈夫です。僕は先生が鏡美先生でよかったと思っています」
界は微笑みかけるように鏡美にそう伝える。
「えっ……」
それを言われた鏡美は、はっとする。
頬は少し紅潮していた。
「はっ……、わ、
鏡美は顔をぶんぶんと振っている。
(……ん?)
界はそれを不思議そうに眺める。
と、脳内からも声がする。
【おい、小僧……】
(「ん……? なに……?」)
【この……あんぽんたん】
(は……!?)
ドウマから突然、小学生並みの罵りを受け、界は動揺する。
(まぁ、いい……。今は気まぐれドウマおじさんに構っている場合ではない)
「と、ところで鏡美先生…………これ、どうしよう……」
界は焦った表情で、自身がのしてしまった赤池を指差す。
「…………はい」
鏡美は少々、嫌そうに、赤池の状況を確認する。
「どうやら、気絶はしていますが、生きてはいるようです」
「そうですか」
界はそれを聞き、少しほっとする。
このような世界であっても、前世で絶対悪であった殺人は犯したくはなかった。
「では、界様………………証拠隠滅しましょうか」
鏡美はどこからともなく
「いやいやいや、鏡美先生、今は冗談言ってる場合じゃないですよ!」
「え……? ……はい」
鏡美は少し不思議そうな顔をしながらも、頷く。
(…………ひょっとして冗談じゃなかった?)
と、界が冷や汗をかいていると、
「おぉー、界~、巡~、今、帰ったぞー」
病院から呑気に父が帰ってきた。
「鏡美先生、ありがとうございましたー。幸い、真弓は大したことなく…………って、え? 何これ、どういう状況?」
父は道場でぶっ倒れている赤池を発見し、硬直する。
◇
それから、界と鏡美はつい先ほどあったことを父に話した。
「いや、えーと……すまない、理解が追い付かないのだが……」
父は強く困惑した様子であった。
「鏡美さんが実はスパイで、赤池殿が界を殺そうとした。しかも赤池殿は俺や真弓のことをそんな風に思っていたなんて……。いや、そんなことはこの際、どうだっていい……」
(…………どうだっていいとは父ちゃん、随分とおおらかだな……)
「そ、そんなことよりも……本当に赤池殿を…………界が……? しかも界が
「はい、白神様、間違いございません」
「っっ……。赤池殿は腐ってもクラス4〝能級〟破魔師だぞ? それを界一人で……?」
「はい、白神様、間違いございません」
「っっ……」
父は言葉を失う。
「い、いや、父ちゃん、一人じゃなくて鏡美先生もいたし……」
「いえ、
(えぇ……!?)
鏡美は完全否定する。
「界……まずは無事でよかった。本当に……」
父は界を強く抱きしめる。
(……)
「界、だが……一つだけ確認させてくれ」
「あい」
「なぜ、父が渡した人形を持っていなかったのだ?」
「へ……?」
「渡しただろ? 初めて鏡美先生が来た時に、
「え……? うん……。だから、持ってるけど……?」
界は折れないように大事にケースに格納した人形を父に見せる。
「っっっ……!? も、持っていた?」
「うん」
(ってか、いつも持ってろって言われてるけど、これ何なんだろう……)
「…………つ、つまり……式神はあの赤池を前にしても、界にとっては些細なこと。
父は何やらぶつぶつと呟いていた。
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【あとがき】
次話、ドウマ、ついに(ちょっと)許しを得る……。光と闇の融合の序章が始まる。
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