マフラーを巻いたら

とんでもまわっても時計

毛糸のマフラー


私立エインセル女学園。

あまり耳にしたことはないと思うが、この学園では、姉妹という制度がある。

学年を越えた、二人のより強い結びつきのことである。


いつの頃から始まったのかは定かではないが、何年もの間途切れることなく、生徒から生徒へひっそりと伝わっている。



校舎裏手にあるもみの木の下で、相手に毛糸を渡し、もらった生徒はその毛糸でお揃いのマフラーを編むことで姉妹の契りを交わす。


よく晴れた冬の穏やかな日。

ここに、一組の姉妹が生まれようとしている。




「あ、あの、あの、お姉さま……これ、受け取ってください!!! 」


「あら……」


「お、お姉さま……?」


「あ、ご、ごめんなさい。びっくりしてしまって……私も来週あたりに毛糸を選びにいこうかと思ってたところだったの」


「ふふふ。お姉さまも同じ気持ちだったなんて、すごく嬉しいです!」


「袋の中、見てもいいかしら?」


「もちろんです!」


「この毛糸……いくつもの青が重なって、まるで静かな冬の湖のようね」


「凛とした佇まいや、いつもまっすぐに相手の目を見るところとか……お姉さまっぽい色だなぁと思って……」


「素敵な色を選んでくれて、ありがとう。あなたもきっと似合うわ」


「ありがとうございます……では改めまして……………私のお姉さまになってください!!」


「はい」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る