こたつ姫――「誰でもいい……姫をこたつから出してくれ!!」
卯月 幾哉
第1話 はじまり〜タツコ姫、こたつと出会う〜
これは、むかしむかしに北の王国で起こったできごとのお話です。
北の王国の冬はひどい寒さで、国中が雪におおわれてまっしろになります。また、そんな寒い冬がとても長く続くのです。
「寒い……寒いわ……」
そんな北国で生まれ育ったタツコ
大きくなれば、そのうち体がなれるだろう。父親の王さまはそう思っていましたが、タツコ
「かわいそうにのう……。そうじゃ! だれか姫の寒がりを解消できる者がおらぬか、ふれを出してたずねてみよう」
王さまはそんな思いつきから、国中におふれを出すことにしました。
数日後、おふれを見てやって来たのは、ちまたで人気の
「
「ほう……。これはめずらしいテーブルじゃのう」
その職人が、最近開発したという
それが「こたつ」というものでした。
四角いテーブルにふとんを取りつけたようなその
「あたたかいわ……。まるで日だまりの中にいるみたい」
こたつの温かさを体験したタツコ
「パパ。わたし、これ気に入ったわ!」
「おぉ、そうか! 良かったのう」
王さまはそれを喜び、その場で
「ありがとう、パパ!」
こたつの中で顔をほくほくとさせる
これにて一件落着――……とは行きませんでした。
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