魔剣少女と幽霊剣聖の二週目英雄譚

輝響 ライト

序章

プロローグ

 昔、人々は魔王と呼ばれる存在によって脅かされていた。

 迫りくる魔の軍勢は町を破壊し、国を危機へと陥れる。

 人々が絶望し未来は暗雲に閉ざされようとしたその時、一人の英雄が現れる。


 名を、ルーシー・ガラット。


 勇者と称されたその英雄は、幾度もの戦いで軍勢を退け、人々に希望を与えた。

 その希望は、絶望を貫く一本の矢となった。


 聖剣を賜った勇者は剣聖、魔女、聖女と呼ばれた三人の英雄と共に、魔王の討伐を目指し国を出る。

 数多の軍勢を乗り越えて、ついに魔王の元までたどり着いた彼らは、激しい戦いを繰り広げ……夜が明けるほどの戦いの末、聖剣は見事に魔王を貫いた。


 しかし、魔王もまた勇者を貫いていた。

 魔王を倒した勇者はその場で倒れ、自らの命と引き換えに世界を救ったのだ。


 国民は魔王の討伐を喜び、勇者の死に涙した。

 その献身が未来永劫忘れられることの無いように、人々は彼の話を語り続けた。

 魔王討伐の英雄譚と――。



~~~~~~~~~~



「んん~よく寝たぁ……あれ、私抜かれてる?」


 静謐な洞窟に、明るい女性の声が響く。

 そこに居るのは一人の少女だけだった。

 銀髪の少女は、青の瞳をきょろきょろと動かしながら辺りを見回し……手に持っていた一本の剣に視線を落とす。


 次の瞬間、剣から光の粒子が流れ出し少女と向かい合うようにその光が形を成す。

 目の前の少女に向けて、現れた彼女はこう告げた。


「驚かせてごめんね! 私はクレス・ペイドラン、この魔剣の前の持ち主です!」



 ――これは、終わらなかった英雄譚の続き。

 一人の名も無い英雄と三百年の時を超えて目覚めた英雄が紡いだ。

 二度目の魔王討伐の物語である。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る