第19話 時をかける🐱にゃん太郎

【にゃん太郎side】


 う~ん、頭がズキズキするなぁ~

 何処かに頭をぶつけたのかなぁ~ ………そうだ、思い出した!

 コロッケが久々に顔を出したらヤセテいたのにビックリしてひっくり返って頭をぶつけて気絶したんだな。


 ………うん、アレは悪い夢だな!

 あのデブ猫のコロッケがヤセテいたなんて、その証拠に今、俺の前に居るデブ猫が声をかけてきている。


「おい おい、大丈夫かい、#にゃんゴロー親分__・__#。

 さっき、凄い音がして頭を打ってたみたいだけど死なないよな! 」


 コロッケの奴、勝手におれを殺すなよな!

 うん、やっぱりアレは夢だったんだな!

 コロッケがヤセルなんてある訳がない!


「これくらい大丈夫だよ、コロッケ

 ボス猫は伊達じゃないのさ!」


 ………コロッケの奴、きょとんとしているけど寝ぼけているのか?


「なあ、にゃんゴロー親分よぉー

 #コロッケ__・__#って、誰のことだい?」


 なんだよ、コイツ! 自分の名前を忘れちまったのか?


「 コロッケは、お前の名前だろう!

 総菜屋さんのデブ猫コロッケさんよ、フラれ記録も忘れちまったのか?

 いくら、ガンモに彼女が出来たのがショックだとしても記憶喪失なフリはやり過ぎだぞ!」


「記憶喪失? 頭が可怪しいのは、にゃんゴロー親分の方だろう?

 俺の名前は『メンチカツ』だよ!

 コロッケなんて変な名前じゃ無いやい!」


 へっ? 今、コイツ何て言った!

 近くに居たウッシーに聞いてみたら、


「ウッシー。 コロッケの奴、フラれ過ぎて とうとう頭が可怪しく成ったぞ!」


 パシッ💥


 ウッシーに猫パンチで叩かれてしまった。


「 もー ! もー ! もー ! 頭が可怪しいのは、にゃんゴロー親分の方でしょう!

 ウッシーって、私の名前まで間違うなんて、酷すぎるわよぉー!

 私の名前は『ウッシッシー』よ、いくら私の柄が『牛』みたいだからって酷いわよぉー!』


「へっ?」


 俺がよほど変な顔をしていたからか、


「 本当に大丈夫? 寝ぼけて縁側から落ちたから頭を打ったんでしょう

 自分の名前を言える?」


 黒猫が心配そうに聞いて来たんだが、皆がグルに成って、からかっている訳では無いなら『オコゲ』じゃ無いんだよな。


「俺の名前は『にゃん太郎』………だと思う。

 君は『オコゲ』だろう?」


 恐る恐る聞いて見ると、皆がキョトンとした後に笑いだした。


「親分、いくら何でも自分のことを『にゃん太郎』親分を名乗るなんて、本当に記憶喪失にでも成ったみたいね!」

 ウッシー………では無くウッシッシーが笑いながらも応えると、


「そうよ! 貴方の名前は『にゃんゴロー』よ。

 伝説の大親分にゃん太郎の名前だけは覚えていたみたいね。

 それと、私の名前は『オハギ』よ」


 なんだって! いったい俺は どうなったんだぁー!


 ダレるような猛暑だった夏が、いつの間にか涼しく虫が鳴いている秋に成っていたことに気がつくのは、しばらく後に成ってからだった。


 ◇◇◇

【にゃん太郎side】


 モチつけ………いや、落ち着け俺。

 いくら何でも皆がここまで、からかうなんてあるハズが無いから本当のことなのか?

 とりあえず情報が必要だな。 だから、あらためて皆に聞いてみたんだが………


 今の俺の名前は 『にゃんゴロー』と云うらしい。

 一応はボス猫らしいが 『たなぼた』でボスに成ったらしく、にゃん太郎の時と違い 皆からは尊敬より心配をされている『新米親分』なんだそうだ。

 ………と、云うのも俺の前のボス猫候補たちがボス猫の『座』を争って共倒れしたから、俺にボス猫の座が転がり込んだらしいのだ。


「あの闘いは凄かったわ!

 まさに、世紀のボス猫争いだった」


 ウッシー………ウッシッシの話に由ると、にゃん太郎の曾孫の『にゃんオウ』と同じく曾孫の『にゃんシロー』がボス猫の座を巡り壮絶な闘いをしたんだとか。

 結果、にゃんシローが勝ったものの大ケガをしてしまい、恋猫の『ユリにゃん』に付き添われて隠居してしまったそうだ。

 一方、にゃんオウも負けたのにボス猫に成るのは、良しとせずにボス猫に成るのを固持したんだそうだ。

 他にもボス猫候補の『サウにゃあー』が居たらしいのだが………


「 #お猫様__・__#のタビ様とボンド様が、にゃんゴロー親分をボス猫に指名したからにゃんゴロー親分がボス猫に成れたんだよ」

 オコゲ……オハギが教えてくれた。


 お猫様?………いや、それよりもタビとボンドだって!

 やっと知っている猫の名前が出て来たよ。

 何年経っているか知らないが、まだアイツらが生きて居るなら、そんなに経って無いのかも知れないな。

 そうだ! アイツラに話を聞けば状況が、より解るかも知れないぞ、情報は大事だからな。


「なあ、ウッシッシ。 タビとボンドは、今でも大江戸さん家に住んで居るのかい?」

 俺が聞くと、何故か皆が怒りだした。


「失礼だよ、にゃんゴロー親分!

 タビ様とボンド様は、#お猫様__・__#なんだよ!

 呼び付けで『様』を付け無いなんて、罰当たりだよ!」


「そんな大事な事まで忘れちまったのかい、にゃんゴロー親分!」

 ウッシッシとオハギに怒られたり心配されたりしてしまった。


「そもそも『お猫様』とは、何なんだよ?

 悪いが教えてくれるかい? 」

 俺は、素直に質問した。

『聞くは一時の恥、聞かぬは一生の恥』と、誰かが言っていたからな。


 そうすると、ウッシッシとオハギが代わる代わる教えてくれた。


 神様に使つかえるキツネが『お稲荷様』や『お狐様』と呼ばれるように、神様に使える『猫』は『お猫様』と云うらしいのだ。

 そして、大江戸さん家は『神々の住む家ゴッドハウス』と、呼ばれていて聖域に成っているんだとか………


 うん、これは やっぱり『夢』だな、夢!

 神様なんて、簡単に顕現けんげんする訳が無いもんな!

 夢から目を覚ますには………

 俺は壁に向かって頭をゴチゴチぶつけるが、ショックが弱いのか目が覚めないんだよな。


「なあ、コロッ………メンチカツ!

 記憶が戻るかも知れないから、俺にショックを与えてくれないかい?」

 俺が頼むと、メンチカツがニヤリと笑い


「お安いご用だ! …………絶・天猫抜刀牙ぁー! 」


 メンチカツが縦に回転しながら俺に向かって来ている。

 うん、やっぱり『夢』だな!


 ゴッチーン 💥


 強い衝撃で俺は気絶したようだ………った………のだ。


 ◇◇◇


【にゃん太郎side】



 痛ってててて、殺す気かよ! 何が『絶・天猫抜刀牙』だよ!

 何処の熊犬だよ、登場する所が違うだろう!


 俺の顔を覗き込むせたメンチカツに、

「やい、メンチカツ!

 俺を殺す気か、やり過ぎなんだよお前は!」


 メンチカツの奴、不思議そうな顔をして、

「メンチカツって誰だ?

 俺はコロッケだよ、にゃん太郎親分。

 やっぱり頭の打ち所が悪かったかなぁ~」


 ………コロッケ? と、云うことは『夢』から覚めたのか?

 否、まだ判断するのは早いな。


「貴女は『ウッシッシー』だよな? 」

 念のために聞いて見ると、


「 ウッシッシー ? ………何よ、そのフザケタ名前は!

 もー ! もー ! もー ! 私の名前は、ウッシーよ!

 心配して損をしたわ、にゃん太郎親分のバカァー!」

 ウッシーが怒って行ってしまった………うん、後で謝っておこう。


 そうすると呆れたように見ている黒猫は、


「私は、オコゲよ。

『夢』でも見ていたんでしょう………『夢』の私は、何て名前だったのにゃん太郎親分」


 オコゲは冷静だよなぁ~、


「『オハギ』だよ………」


「 ………オコゲよりマシな気がするわ。

 まあ、どちらでも良いんだけどね」


「なっ、なっ、 なっ、それなら おいらの名前は何だったんだい? 」

 ガンモの奴が質問してくるが………居たかなぁ~、居なかったよな。


「ガンモ、お前は登場しなかったよ………代わりに俺が名付けをしてやろう。

 ………ガンモドキはどうだ?」

 冗談で場をなごませようと思ったんだが、


「ヒデェー! モドキって、何だよ! モドキって!」

 いじけたガンモをオコゲがなぐさめている。


「ケッ! 見せ付けやがって!

 俺だってヤセタんだから直ぐに彼女くらい作ってやるんだからな!」

 コロッケが負け犬の遠吠えを言っていた。


 あぁ、戻って来たんだなぁ~

 アレは夢だったのか未来だったのか解らないが現実に戻ってこれて良かったよ。


 そうだ! 念のために未来の子孫や後輩達の為にタビとボンドに挨拶あいさつがてら頼みに行こう。




 俺の名前は、にゃん太郎。

 未来の子孫や後輩の心配までするボス猫だ。



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