幼馴染が事あるごとに「小説のネタにさせて!」と頼み込んでくるが、時折見せる照れ姿が可愛いので素直に従います。
せにな
第1話 幼馴染に小説のネタを提供をします
「最初の”ネタ提供”がこんなのでごめんね?」
ベッドで仰向けに寝転ぶ少女の髪が、有象無象に広がる。
枕の横にある手をキュッと握り、俺の瞳を一心に見つめてくるのは幼馴染。
けれど、その顔に恥じらいなんてなく、頬に浮かべるのは『早くっ』と言わんばかりの笑み。
「……本当に、いいのか……?」
「もちろんっ!」
眉を顰める俺に反し、大きな頷きを披露した
「……っ」
言葉を詰まらせ、思考が停止してしまう脳とは別に、体はされるがままに朝花の体へと落ちていく。
「幼馴染だからちょっと抵抗ある?」
「……いや、大丈夫……」
「そっか。それなら早くっ」
俺の気も知らずに、急かすように、「うー」っと唇を尖らせてくる。
……なぜこうなったのか。
些か俺も状況を把握しきれていないのだが、ことの発端は数十分前、朝花に『
そこからもう意味が分からないのだが、幼馴染の
……頷いた結果が、『じゃあ早速キスしよ!』ということで今……。
朝花に恥じらいはないのだろうか?キスごとき軽いものだと言いたいのか?
そんな思案がグルグルと脳裏を回るが、朝花の唇があるのは目と鼻の先。
高を括った俺は――
「唇尖らせてるの可愛いな」
「んぇ!?――んっ!」
――突然顔を真っ赤にさせた朝花の、これまた真っ赤な唇に唇を重ねた。
バタバタと手足を暴れさせるが、いつしかその動きも止まり、やがて背中に腕を回された。
それが、俺達の一風変わった関係の始まりだった。
この日以来、俺は事あるごとに朝花に『ネタ提供お願い!』と頼み込まれ、幼馴染として……1ファンとして……好きな人として!俺はその『小説のネタ提供』に付き合うことになった。
「
声の振動に感化されてか、ポチャンっと髪の毛から水滴が落ちる。
「よっ、っと……。ほん、と……もうちょっと……!」
モザイクガラス越しに見えるのは、”紺と白色が交じる姿”。
踏ん張るように轟く声は、”俺の嫌な予感”を駆り立てる。
「…………はい」
水面に唇を付けた俺は、ブクブクと泡を立て始める。
「よしっ」
不意に扉から聞こえてくるのは朝花の喜び声。
そして屈めていた腰を上げ、ドアノブを捻る。
「おまたせ〜」
……そうして、”入ってきた”。
俺がいるのは朝花の家の風呂場。
別に雨で濡れたわけでもなく、汗をかいたわけでもないし、寝る前でもなんでもない。
俺は、朝花にとあることを頼まれたのだ。
「これまた随分と……すごいもん身につけてるな……」
水面から唇を上げた俺は、扉を閉めた朝花を見上げる。
そうして1番に目に入ってくるのは、背中とお腹にでかでかと書かれてある『3年2組19番
紺色をベースにし、輪郭をなぞるように縫われた白色が……スラッとしているはずの肉をきつく絞っていた。
「流石に”中学の水着”はピチピチだね〜」
照れた様子もなく、高らかに言う朝花は食い込んだ”スク水”を弾き取った。
「そう……だな……」
今にもスク水を破いてしまいそうな、大きな胸を見る。
そして食い込まれた太もも。その太ももと太ももの間に挟まれた――
「あのー?幼馴染の水着姿を拝むのもいいんだけど、まずは”私の頼み事”だよね?」
「あ、え?あぁ、うん、そうだった」
慌てて首を振り、いつの間にか下がっていた視線を強引に上げる。
「よしっ!じゃあ今から始めるね!」
恥ずかしがる様子もなく、仁王立ちする朝花は……パチンッと手を叩いた。
――刹那、仁王立ちしていた膝は内股になり、身を隠すように自分の体を抱きしめ始める。
「そ、その……。私、やっぱり
顔こそ赤くはない。
だが、か細い声は恥じらう少女のそれ。
「別にしなくていいだろ……」
朝花の”演技”に続くように、こめかみに指を添えた。
(あぁ……クッソ……!)
ため息混じりに口にした言葉とは違って、心のなかでは堪えるように叫ぶ。
今、俺の中にあるのは”煩悩”。
その煩悩を振り払うためにもグリグリとこめかみを押さえているのだが、薄目から見えるスク水が興奮を駆り立ててくる!
「い、いえ……!せっかく水着も着ましたので、お背中ぐらいは洗わせてください!」
「……俺は着てないんだが?」
「大丈夫です!しっかりと小さいタオルは持ってきていますので!」
どこに隠していたのか、背中から白いタオルを取り出し、突き出してくる。
「……背中だけだぞ?」
「も、もちろんです!」
輝かせた瞳で、何度も元気よく頷く朝花に苦笑を向けながら、タオルを受け取って湯船から体を上げた。
「で、では!まずは頭から洗います!」
大事な所にタオルを掛けながらバスチェアに腰を下ろすと、膝を立てた朝花が言ってくる。
「背中だけじゃないのか?」
「いえ!やるなら徹底的に、です!」
言ってることが二転三転しているのだが……このまま進めるつもりなのだろう。
突然背中に押し付けてくるたわわな胸に肩を跳ねさせながらも、ジト目を鏡に向けた。
「その……なんと言いますか、五季くんの背中って大きいんですね……」
手のひらにシャンプーを乗せた朝花は、俺のジト目などお構いなしに鏡越しに目を合わせてくる。
「それなりに鍛えてるからな」
「えっ!?鍛えてるんですか!?」
「……意外か?」
「意外です!」
「……そっすか」
間髪を容れずに言ってくる朝花に素の言葉を零す。
そうして、頭に手が乗せられた。
指先を立て、丁寧に泡を立てるその仕草はまるで美容院のよう……なんだが、それよりも押し付けられてる胸が気になって仕方がない。
これもただの演技に違いはないはず。ただ俺の反応を楽しみ、”観察”しているだけに過ぎない。
……そんなのは分かってる!分かってるけど!気にだろ普通に!!
悶々とする思考とともに、タオルが持ち上がってきている気もする……が!気のせいだ。誰が何を言おうが絶対に気のせいだ!
「あっ、すみません五季くん」
俺の立ち上がる棒に気づいたのか、ふと声を上げてる朝花に目を見開いた。
「ち、違うんだ!違うんだこれは!」
「え、な、なにがですか?」
慌てて前かがみになった俺が鏡に向かって手を振るのだが、ポカンと目を丸くした朝花が首を傾げる。
「……ん?もしかして、気づいてない……?」
シワを寄せながら鏡に映る朝花と目を合わせ、再度首を傾げられたことに安堵の息を吐く。
「すまん……。俺の早とちりだった……」
「い、いえ……」
相変わらず丸くなった瞳は、キャラではなく本心からなのだろう。
前かがみを保ったまま、鏡を見やる。
「それで?何に対して謝ったんだ?」
「それなんですけど……」
不意に、上げられていた眉根が、伏せられていく。身を捩らせながら、泡を立てる手を止めて。
首を傾げてしまう俺なんてお構いなしに、朝花が口を開いた。
「その……肩から水着が落ちそうで……」
「落ちそう……?」
思わず眉間にシワを寄せてしまう。
だってそうだろう?
どこをどう見てもピチッと固く縛った水着は体に食い込んでるし、そもそも水着はあまりズレない生地を使っているはずだ。
「俺からは食い込んでるように見えるが?」
「……」
率直な疑問を投げかけると、ふと朝花の瞳が鋭くなった。
素直に従えと言われているんだろうが、元の位置にある水着をどうやって戻せと言うんだ。
負けじとシワを寄せ続けていれば、小さな息を漏らした朝花がおもむろに紡ぐ。
「……分かった。ちょっとまって」
俺の目を見てだろうか、それとも”実際に体験をしてみたい”という好奇心が勝ったのだろうか。
キャラ設定を捨て、素に戻った朝花は頭の上にあった手でスク水をズラし始めた。
「これでよしっ。ってことで再開ね」
先ほどと同じように手を叩いた朝花は……一瞬で身を捩らせ始めた。
「その……肩から水着が落ちそうで……」
同じことを口にする朝花は、手が離せないと言わんばかりに頭に戻した手を見つめる。
「……俺に戻せと……?」
色々とツッコミたい所はあるが、俺の尊厳を守るためには早々にこの”ネタ提供”を終わらせなければならない。
先ほどとは違うシワを向ける俺は、朝花と目を合わせた。
「だ、ダメです……か?」
「まぁ……位置を戻すくらいなら」
伏せた目で言ってくる朝花に苦笑を浮かべた俺は、鏡を頼りに肩に手を近づける。
「え?こ、こっち向かないんですか?」
「向くわけ無いだろ」
(俺の息子を見せないためにも)
心のなかで一言を加えた俺は、朝花の体に触れ――
「いいからこっち向いて」
素に戻った朝花が肩を掴み、椅子ごと体を回した。
「……はい」
そうして、目の前にある張り出された胸を拝みながら、小さく頷く。
もちろん前かがみをキープしたまま。隠すようにタオルを押さえつけたまま、片手で朝花の肩に触れる。
「……んっ」
はたしてそれは演技なのだろうか。
息子と一緒に肩を跳ねさせながらも、スク水を摘み――
「あっ……」
朝花が水着にシャンプーを付けたのが悪かったのか、パツパツなスク水が悪かったのか。俺の手からは、スク水が”滑ってしまった”のだ。
ゴムのように弾き返されたスク水は肩と腕の間で留まっているが……次第に下がっていく。
「え?」
朝花の困惑した言葉が頭上に落ちる。
俺も慌てて落ちていくスク水を止めようとするが、
けれど、不意にそのスク水は動きを止めた。
というのも、この大きな胸がストッパーとなったから。
「え、ちょ、ま、え?五季?」
「……なるほど。これも”物語通り”ってやつか……?」
スク水を止めることを諦めた俺は顎に手を当て、この上なく息苦しそうに潰された上乳を眺める。
「違う!こんなの物語でもなんでもない!」
途端にボフッと爆発するのは朝花の顔。
先ほどまでは恥じらいなんて感じさせない顔だったのに、今では耳まで真っ赤。
クルクルと回す瞳と、パクパクと開け閉めする口は俺を見たり上乳を見たり。
「ねぇ!戻してよぉ!」
そう叫んだ時だった。
バスルームいっぱいに響き渡るのは『バチンッ』というゴムが弾かれたような音。
そうして俺の視界いっぱいに広がるのは、真っ白な大きなお山の頂上に立てられたピンク色の旗。
国旗掲揚のように、さらに俺が高く掲げてやってもいいんだが、この絶景を汚すわけにもいかない。
「おぉ……」
初めて生で見るおっぱいに、思わず歓喜の声が漏れる。
「う、うぅ……!」
不意に、頭上から落ちてくるのは何かを堪えるような声。
恥ずかしさでも堪えてるんだろ、という軽薄な考えを浮かべ、目と鼻の先にあるおっぱ――
「見ないでぇぇぇーー!!!」
「――待って!?シャンプー!!シャンプー付いた手で目を抑えるな!!!」
突然視界が暗くなったかと思えば、目の中がヒリヒリと痛み始める。
慌てて顔を背けた俺は、シャワーを出して目を洗い、ものすごい音を立てた朝花は勢いよくバスルームを出て行った。
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