チャリティバカ!!

淡舎游丁

第1話 燃えるゴミの日


 花城モトイの期待と不安に満ちた新生活は、地面に散らばる生ゴミという形で最悪のスタートを切った。

 使い古したタオル、食器用スポンジ、コンビニおにぎりのフィルムにバナナの皮、漢方薬の袋……一軒家が建ち並ぶ通りには、今朝に出したゴミ袋が無情に中身をあたりに散乱している。そのうえで目の前にわらわらと居る猿の一匹と目が合い、鼻を鳴らして笑われるように顎を引かれる。

 視線の先では数匹の大人の猿が平然と未だにゴミを漁り続けていた。痩せ細って小さな猿がゴミ袋の影に、何やらグチャグチャの皺のついた紙束を抱えてカタカタとモトイを見上げ怯えている。

「は?……さる!? あいっ! なんで!? え……えー!?」

 モトイの声がデカいからだろうか。小柄な猿は目を大きく開くと飛び跳ねて、しかし――その紙を握りしめる力を強くする。白い紙に中央大きく、水色のインクでマークが書かれている。それは家主であるいとこの≪知海≫の勤め先のロゴであり、おそらくは彼女の書き損じた書類だろうと解った。

 緊張するサルと相対して、モトイは混乱と困惑のまま固まっている。互いに動揺のまま、怯えた顔で睨み合う間が流れた。

「……え……もしかして、ゴミ袋ごと持っていこうとしてる……? 駄目だよ、ただのゴミだよそれ」

 モトイがゴミ袋の取っ手を引っ張ると、猿の顔は一瞬ためらったように見えた。それから手に持った紙を胸に抱きかかえるようにして猿は一瞬のうちに駆け出し、身軽に塀を跳び越えてすぐに姿が見えなくなった。

続いて周りの猿たちも、小猿が去った後を追いかけるように飛び去っていく。一瞬だけ、塀の上から見下ろすように猿たちと目がかち合う。しかしそれは気のせいかと思うくらいにすぐに逸らされて、まるで幻影だったかのように猿たちの姿は消えていった。

 地面に散らかったゴミを前にあんぐり唖然と口を開けたまま、モトイは猿の飛び去った方向を眺めていた。

「な、なんだったんだ……?」

 風に煽られ、破れたゴミ袋がカサカサと音を立てている。

「福岡デハタマニアルヨ、猿ノ出没情報。最近特ニ多イノダッタ!」

「へえ……人生で初めて猿見たな……思ってたよりフワフワなんだね……」

 立て続けにキャパオーバーな出来事が起こりすぎる。モトイは一度首を振り、気持ちを切り替えるようにした。なんだか頭も感情も雲の上にあるような浮ついた気持ちで、散らばったゴミをテキパキとまとめていく。

 そしてふと気が付いた。朝に出したゴミが、回収されないままに漁られていた事実を。

「……ナーグトーや!? そもそもなんでまだここにあるわけ!?」

 閑静な住宅街に地声のデカいモトイの驚きはよく響く。足下で機械的な冷笑が沸いた。

『モトイ、オロカ。オロカ。ハハハハハハ』

「ちーちゃんは黙っときなさい! もー! 朝ちゃんと出しとるばーによー! なのになんでよー!? お猿さんにも漁られて……」

 モトイは冷や汗が止まらない。家主の与那嶺知海(よなみね ちひろ)は数日前から研究所でこもりきりになっていて、モトイは居候としての務めを果たせと、彼女に指令を受けていたのであった。さながら上官の命令は絶対の、軍人のような恭順さでモトイは彼女に怯えている。ミッションは福岡に引っ越して初めてのゴミ出し。燃えるゴミの日。月曜日のことであった。

 知海は明日に帰ってくる。モトイが混乱しながらなんでー! と叫んだのをきっかけに、カッとちーちゃんの機械的でつぶらなイエロー・アイが七色に光った。さながらその強さ、ペンライトのごとし。ちーちゃんの輝きはいつでも過剰にモトイの顔を照らすので、此度もモトイは瞬間的に渋い顔で目を閉じた。

 ちーちゃんは先ほどまでのあからさまな機械音声とは違って、人のように滑らかにしゃべり出す。

『説明しようッ! 福岡県では他県と違い、夜にゴミ回収がくるのである!』

「ワッ、ワッ!? な、なによー!?」

『モトイ、安心シテ。ソノゴミハ、回収サレテイナイダケ……貴方ニハ、弁解ノチャンスガマダアルワ……』

「……もっと早くに教えてくれる?」

『ハハハハハハ』

 脱力したモトイはちーちゃんのユーモアによって計らずとも緊張を解かれた。なにせ知海の怒りはブリザードよりも低い温度で、理知的な眼鏡の奥から冷たく凍え、そのいたたまれなさは痛いほどなのだ。昔から知海のマイルールを乱して、モトイは知海に号泣させられていた。たとえば借りた本の順列を乱して本棚にしまうと、それからしばらく知海はモトイが遊びに来る度にかの有名なノニジュース(恐ろしく癖が強く、モトイのトラウマである)を出した。モトイは礼儀正しいバカなので、律儀に毎回もだえ苦しみながらも飲み干す。すると知海は薄らと微笑んで言うのだ。

『そんなに喉が渇いていたのかモトイ。ノニジュースはまだあるぞ。キミのために買ったんだ。なに、遠慮するな。……おかわりするだろう?』

 彼女の攻撃は陰湿極まりないが、もとより正統的な反撃なので、モトイ達が抵抗することが不当になるのだ。たとえば彼女の部屋の掃除をして、一度その配置を間違えたら元の場所に『モトイが』戻すまで許してもらえなかったりもする。

 しかもこれでもずいぶん軽いほうで、理詰めで人を絶望させる知性の怪物である。

 長い手足をがっくりと落ち込ませながら、のろのろとリュックに手を入れ『さわりん』のキーホルダーが揺れる鍵を差し込んで回す。そして盛大なため息を吐いた。

「……だめだ! 何にも解らないよー!」

 猿がゴミを漁るなど、地元では考えたこともない。モトイの知っている光景にはどこに行っても広がるのはヤシの木と綺麗な海で、山に囲まれた場所の現実など知らないのである。

 そもそもモトイは沖縄を離れたくなかったのだ。

 入学からそれほど立ってない時期に何をうっかりしたのか、母が提出してしまった『地域交換留学プロジェクトの書類』……それによってこの夏からモトイは地元を離れる羽目になってしまったのだ。口先を尖らせて、むくれた子どものようにくしゃくしゃの顔をした。だからといって、暖かく送り出してくれたみんなの気持ちを無碍にするわけにもいかない。

「それにさ、チヒロもさ、ゴミ出しの時間が違うことくらい教えてくれても良いのにさー……」

「マスターハ、オ忙シイノダ。モトイミタイニチャランポランナ『アホ学生』トハ違ウノダヨ」

「そーねー……でもさっきも言ったけどさー、それならちーちゃんが教えてくれたらよかったのにー」

「ちーちゃんモ忙シイノ! モトイト違ッテ、頭ガ良イカラ沢山考エ事シテイルシ……世界平和ノコトトカ……」

「なんか、しにバカっぽい受け答えしてるばー?」

「仕方ナイカラ教エテアゲルワネ。マスターハ湯船ガ大好キダカラ、ゴ機嫌取リタイモトイハオ風呂場掃除デ、ゴマスリ頑張レ!」

「ちーちゃん……嫌なロボットだな~……」

「モット褒メナ」

「褒めてないしがよー」

 モトイは肩を落としながらリビングへ向かう。この家は広い。妙齢の独身女性が一人で住むには部屋数が多すぎる。なにせ二階建ての6LDKだ。ちーちゃんに部屋をあげたとしても三部屋は残る計算である。何を思って、こんな掃除も一苦労な家を選んだのだか。ただでさえ留守にしがちなのにさぞかし大変だろう。見ればどの部屋にも本が入った段ボールが積まれていて、そのほかは工具がたまに散らかっている以外は空だった。

 モトイはため息を吐いて、気持ちを切り替えるように制服から着替えると、エコバッグを手に近所のスーパーに向かった。明日の朝、きっと疲れて帰ってくる知海のために、故郷の沖縄料理でも振る舞おうと思ったのだ。ねぎらいと感謝である。そしてちょっぴりのゴマすり感情だった。何せ彼女は沖縄から出てきたモトイを自宅に迎えるなり言ったのだ。

『今から研究所に向かうが、火曜には帰ってくる。その日にキミの書類を提出するから、それまでに社会目標を決めておけ』

『え? 社会目標?』

『……沖縄を出る前に学校で教えてもらわなかったのか? 福岡でキミは社会奉仕するんだよ。自分で決めたテーマで、滞在中』

『え……』

 モトイが困惑で返したときの、知海の顔が忘れられない。

 一か月前のことだ。一度夏休み中にこの家をモトイは母と訪れていて、それは引っ越しの予行練習的なことであったのにモトイと言えばすっかり旅行気分を満喫して終わっていた。収穫はちーちゃんとの友情くらい。いっそ怒ってくれる方がよっぽどマシな失望というのが、世の中にはあるのだ。

『キミがあれから変わっていないなら、沖縄でやっていたような善行で良いはずだけれどね。なにせ、キミはずいぶん"お人好し"だからさ』

 その「さ」の響きが、とびきり嫌みったらしかった。

 スーパーは徒歩五分の距離にある。バス停も住宅街を抜けて徒歩二分だし、コンビニは道路を挟んで目の前にあって、郵便局も近かった。博多までもそれほど掛からないし、那覇に飛行機で移動する距離の離島に住んでいたモトイはその利便性に圧倒されたものだった。当然まだ慣れていない。

 ちーちゃんと一緒に賑やかなスーパーを物色する。しかしモトイは店内を一周してひとり、深刻な顔で眉間に深く皺を刻んだ。

「シークヮーサーも豆腐ようも無いさー!?」

 モトイの声は本当に大きいので、一瞬で周囲の注目を集めた。モトイは信じられないと言った様子で冷蔵庫を何度も開け閉めする。周りの子どもがおかあさーんと言いながらモトイを指さし、ちーちゃんはやれやれと肩をすくめた。

 だがモトイはそれどころではない。

「おかしいさー! こーれーぐーすーが見当たらんばーよ! ゴーヤーも、冷凍のしりしりも海ぶどうも無い……無い……! SPAMしか無いわけ!?」

「SPAMシカナイコトハ無イ」

 デカい独り言を言いながら百九十センチ近くの巨体が挙動不審なので、買い物に来ていた奥さん達は遠巻きにひそひそしていた。ちーちゃんは仕方なしにモトイのお尻をつつき、そっと教えた。

「沖縄ノ食材ハ、ソノ辺ノスーパーデハ、手ニ入ラナイサー」

「じゃあ、どこで買えばいいわけ!?」

「検索中です……しばらくお待ちください」

 ちーちゃんが滑らかに喋り、サーチエンジンでの検索を試みる。

「ヒット。天神ニ沖縄アンテナショップガアルゾ」

「それだー! ちーちゃん、案内してくれ!」

「合点承知ノ助」

 意味がわからず遅れて首をかしげるモトイにもちーちゃんは動じない。ちーちゃんの心は鋼鉄で出来ているのだ。空のかごを戻すとスーパーを出て、丁度止まっていたバスに向かって走る。扉が閉まる直前、ギリギリ気づいてもらえて間に合った。そこから広い後部座席をふたりは占領して、車体に揺られながらに駅に着く。駅員さんに戸惑われながらも大人と小人一名ずつの切符を持った。ちーちゃんは製造年月日で計算して現在四歳である。

 三日前に福岡にたどり着いたばかりのモトイはこれで電車に乗るのが人生で二回目で、座席でガチガチになっていた。自分の意志ではどうにも出来ない鉄の塊が高速で移動するので、意味も理屈もよくわからなくて怖かったのだった。

 天神は電車の中以上に人がごった返していた。モトイは緊張した面持ちで駅のホームに降りると、不安げな子どものように先導するちーちゃんの背中から飛び出した長いアンテナを握って進む。博多駅はクロワッサンの甘い匂いがしていたが、この駅からはしない。そんなことを考えながら外に出ると、何やら近くでイベントをやっていた。アカペラライブのようだった。モトイは無意識にノリノリで身体を揺らしながらお洒落なビルを抜けてちーちゃんについて行く。ちーちゃんは自信満々に進んだが、とあるビルに入った病院の前で立ち止まると憮然として無言になった。モトイは彼の様子に気が付かず、しばらくその場で何が起こるかちーちゃんをのほほんとした顔で待った。ちーちゃんは期待しながら待機するモトイを見上げて、瞬きするようにイエロー・アイを点滅させた。

「モトイニ残念ナ、オ知ラセデス。アンテナショップ、トックノ昔ニ閉店済ミダッタ」

 ちーちゃんのスピーカーから、寂しげな『蛍の光』が流れてくる。モトイはひどく落ち込んだ。

「そんなー……」

「デモ大丈夫! ちーちゃんハ、モウ一店舗、検索済ミ」

「おおっ!?」

「検索結果に基づき、次の店への最短ルートを案内中……モトイ、着イテキナ!」

 ちーちゃんはバス停に向かった。運賃二人で四百二十円也。およそ十分程度の距離で到着したそこは、交差点のすぐ側にある店だった。沖縄そば、と筆文字で書かれた旗が風で揺らめいている。

「ちーちゃんすごぉい!」

「フフン」

 木製の扉の横にはかわいらしいシーサーが二体笑顔でお出迎えしてくれた。モトイは心を弾ませながら店内に入る。知海は辛口で、酒が好きだから、つまみになるモノを作ってやるつもりなのだ。

 いらっしゃいませ、という声に反射的にぺこりと頭を下げると、白を基調として温かな内装の店内をちーちゃんと見渡して、モトイは目的のモノがあるか物色する。ひとまず漠然と目の前にあった品を手に取って、値段を見て慌てて元の場所に引っ込めた。

「うっ……」

 高い、と口に出そうになって慌てて口を塞いだ。さすがにこういう場所で地元価格とはいかないことはモトイにも解っていた。さながら気分は通販を頼んだときに発生する『離島・一部地域は別途送料』の冷酷さである。心で泣きながらもお財布を開き、こーれーぐーすーとゆし豆腐、ぬちまーす……そしてお店に入った勢いで照喜名そばを購入した。ひとまずこれで明日のつまみと朝ご飯は用意してやれそうだった。しかしモトイは明日から慎ましく生活することになるだろう。こんなことなら沖縄から食材を持ってくればよかったとモトイは小さくつぶやく。

 奥の棚には沢山のお酒が並んでいた。知海が暇なときにでも、一緒に来るのも良いかもしれないとモトイは思った。袋を片手にさげて店を出る。モトイの編入はサクサク進んで明後日で、今日はちーちゃんを保護者とした校長先生との面談だったから、外はまだ明るかった。

「なあちーちゃん、せっかくだし、散歩して帰るか?」

「イイネ。コノ辺ハ、池ノ周リニ大キナ公園ト美術館ガ有ルカラ、学生サンニハオススメダヨ」

「へえ、いいなー! 天気もいいし、散歩日和だなー!」

 二人はのんびりと歩き出す。周りには犬の散歩をしている人や、親子連れ、一人でバスから降りる制服姿のちいさな子どもの姿もある。彼らは見慣れない装いの二人にちらちらと視線を向けていく。ただしモトイもちーちゃんも気には留めない。視線が合うと誰であってもニカリとモトイは笑顔を返す。

「それにしてもお洒落な街だー! 都会だけど見渡しても目がチカチカしないし」

「高級住宅街ダカラネ」

「お母さんがよく歌ってたから知ってるさー! 百道浜って、この辺にあるんだよね~?」

「近イハ近イ、車デ十五分クライ」

「なんか、微妙な距離だったー……あ! ゴミ!」

 モトイはその場でしゃがみ込み、煙草の吸い殻をつまむと嫌そうな顔をして周りを見渡した。

「街並みが綺麗だなって思ったけどさー、こういうのはたまに落ちてるね……」

「モトイ、ちーちゃんノ背中ニ、ポチットナ、シテ」

「ん? ここー?」

 モトイが小さなボタンを押すとちーちゃんの身体からゴミ箱がスライドして生えた。

「わ……」

「ちーちゃん、オ掃除ロボットナノ。ゴミヲエネルギー二シテ動イテルンダヨ」

「そうだったんだ……」

「ミナギル! ミナギル! 便利デショ?」

「じゃあ、ゴミ見つけるたびに、ちーちゃんのここ押せばいいのー?」

「ちーちゃんノ身体ハゴミ箱ジャアナイ!」

「使われたいの使われたくないの、どっちなのー?」

 苦笑してそんな風に言いながらも、モトイは立ち上がると、ふと遠い目をした。

 知海の住む住宅地もこの場所よりゴミが断然多かった。数日前にひとりで沖縄から出てきたとき、緊張しっぱなしで空港から地下を通る地下鉄などという意味不明な乗り物に乗った。恐怖で頭も真っ白なまま、知海の代わりにちーちゃんの待つ目的地のバス停がようやく見えたときの安心感を、まだ思い出せる。

 なのにバスから降りて真っ先に目に入ったのは、バス待ちの乗客が捨てたであろうジャンクフードのゴミだった。紙袋と、その横には中身の入ったドリンクのカップが地面に置いてあって、モトイは目を疑った。島でも観光客はゴミを持ち帰らない人が多く居た。でもきっと、アレを捨てていったのは地元の人だと直感的に思った。地元が汚れて、悲しくないのだろうか。モトイはいつも悲しかった。モトイの生まれ育った場所は、本当に海が透き通って綺麗な島なのだ。だからそんなうつくしい土地を汚さないように、よく地元のみんなでゴミ拾いをした。アレを捨てた人はそんな風に、暮らす街を誇ってはいないのだろうか。

 つらつらと考えながら、モトイは散歩を続ける。福岡の風は、沖縄にはない冷たさと爽やかさがあった。遠くには福岡タワーが見えていて、その手前にはちーちゃんが説明してくれたように大きな池がある。おだやかな日差しの中、公園ではピクニックしている親子の姿も見えた。のどかな光景に思わず口元が緩んだ。彼らの手元にはゴミ袋があって、そういったマナーの良さが、この街を守っているのだろうと思った。それを見ると、きっと福岡の人も多くは自分の住む街を大切にしているのだろう。モトイの地元より人が多いことが原因なのか、あるいは都会というのは、モトイが知らないだけでどこもそういうものなのか。

 公園から出てしばらくして、気が付くと天神の方まで戻って来ている。赤になった横断歩道の前で停まり、ふと足下を見た。ジリジリと焼け付く日差しと蝉の声が響く。煙草の吸い殻が、モトイの指では足りないくらいにぺしゃんこになって落ちていた。


 三度目の電車では時間帯の問題だろうか、人が多くて座れなかったので、モトイは扉の前で小さくなったつもりになってちーちゃんにつかまっていた。体幹が良いので車体が大きく揺れてもモトイは体勢を崩したりしなかったが、怯えは膨らんだ。そんなモトイを見てちーちゃんは呆れていた。

 バスから降りた途端、動物病院からときはなたれて自由になった犬のようにモトイは元気になった。先ほど何も買わずにわめくだけわめいて出てきたスーパーにもう一度寄って、当分の食材を買った。大きな袋はモトイが、知海へのお土産をちーちゃんに持たせて帰る。坂を下りていく過程で、ちーちゃんが何かに躓き、突然大きな音を立ててこけた。ちーちゃんは見た目通り、ドラム缶のような音を鳴らした。

「ちーちゃん!?」

「モトイ、ヒッタクリ!」

「え!?」

「走ッテ! 猿ガ持ッテッタ! ちーちゃんノ袋ー」

「えええええ……!?」

 視線を前にバッと向ける。帰宅直後に見かけた猿では無い、眼つきの荒い大柄な個体だ。彼は自分の身体ほどの袋を手にして走りながら中を吟味しているようだ。妙に人間染みた動きに困惑しながらもモトイはちーちゃんに訪ねる。

「猿、怖がるんじゃないかー? 近づいて大丈夫なわけ……?」

「モウ! モトイノオタンコナス! ワカッタ、ちーちゃんガ独リデナントカスルモンネ!」

「え」

「捕縛モード起動。沈静コースで稼働します」

「え、えっ!?」

 瞬く間にちーちゃんが立ち上がり進んでいく。彼は車くらいの速度で動き、それを察知した猿は冷静にちーちゃんに視線を向けたあと、あざ笑うように塀にジャンプして走る。自転車にぶつかりかけながら、ちーちゃんは迷い無く猿を追いかけた。モトイも慌てて一匹と一機を追いかける。本当に予想外のコトの連続だった。

 猿は狡猾で、賢かった。塀に上れないちーちゃんを煽るように、猿がおちょくる動きをする。そのたびにちーちゃんが怒り狂って併走するので、通行人にぶつかりそうになる。後ろからモトイが謝る。横断歩道でもふたりは赤信号すら無視して進み、車のクラクションも高らかに鳴らされた。モトイも大声で謝罪した。

 猿とロボット。人間とはまるで違う俊足である。モトイのそれなりに早い足ですら追いつくのは至難の業だった。息を切らしながら公園に入ったふたりに必死の思いでついて行く。開けた場所で誰にも危険が無く、見失わないのは良かった。しかし良かったのは本当にそれだけだ。猿が公園の立ち入り禁止区域に飛び込んで、続いてちーちゃんも迷いなく突っ込んだ。

「嘘~……」

 そこは林の奥のように、薄暗く急な坂道になっている。

 モトイはパンパンに重い買い物袋を両手に持っているというのに。

 

 日が暮れ始めていた。気温が下がる瞬間には、光が消えて影が差し込む後ろめたさに似た重さがある。

「ちーちゃん~……お猿さん~どこ~?」

 いくら緊急事態と言え、こんな場所に許可無く侵入して良いのか? いや、良くないだろう、モトイの目は立ち入り禁止の看板を、入り口にバッチリ目視していた。申し訳ない、ちーちゃんを説得したらすぐに立ち去りますから……と誰ともなく謝りながらモトイはちーちゃんの姿を探す。危険な坂を抜けた通りに、平坦で開けた場所が見えた。そこにちーちゃんが停止しているのが見えてモトイはホッと息を吐きながらちーちゃんの側に駆け寄る。

「もー……ちーちゃん、こんなとこ入ったらダメ……」

 モトイは言葉を切った。彼の視線の先、奥の崖になった石の上に、複数の猿の姿を認めたからだ。

「――……」

 崖の下にはたくさんのゴミ袋や、ビニール袋、食べ物の容器が散乱している。言葉を無くしてモトイは立ち止まった。家の側でゴミに抱きついていた、あの小さな猿も居た。ちーちゃんの袋をひったくった大きな猿はそばの袋を歯で破ると中身をその小さな猿に差し出した。小さな猿はちまちまと両手で麺を食べている。周囲の猿たちもそれを見て大きな猿の周りに集まった。

「アーアーマスターヘノオ土産ナノニー」

「……」

 ふと幼い頃に見たウミガメの死と、記憶の中の潮風が、肌にピリピリと痛んでよみがえる。己の無力さに泣きわめく自分と、命の点火が消えていく、かすんだ目からこぼれ落ちた静かな涙を思い出した。

 ちーちゃんの声で猿たちがモトイに気が付いたようだった。多くの猿たちが奥に一斉に逃げていく中、小さな猿と大きな猿の二匹はモトイをジッと静かなまなざしで見下ろしていた。




「はあ……疲れた……」

 家に帰ってしたことは、まず手洗いうがいに、その次が冷蔵庫を開けることだった。

 結局ちーちゃんは猿から袋を取り戻せなかった。猿は更に険しい路に引っ込んで、あの崖もちーちゃんの足では登り切れなかった。意地でも追跡しようとしたちーちゃんをなだめながら、周辺に散らばったゴミを彼の焼却機に詰め込んでいたら、いつの間にか辺りは暗くなっていた。

 現在リビングの窓から外を眺めてアンニュイになっているちーちゃんを見る。

「クキィ、キッキ、クルル」

 ……聞いたこともない音を発していた。モトイは手を拭きながらちーちゃんに疑問をぶつける。

「その変な音、なにー?」

「謎ノ言語ワード……解析中ナノ……」

「……ふーん?」

 よく聴けば、猿の真似をしているようだと気が付く。お猿許すまじと言ったところだろうか?

 知海へのおみやげは、ちーちゃんの方がよっぽどあげたかったのだろう、とモトイは思った。彼は自分を作った彼女を本当に尊敬しているようだった。

 無意味に財布が軽くなったことにはむなしさはあるが、それはそれで切り替えなくては行けないだろう。帰り道にどこかで『さわりん』のキーホルダーが鍵から消えていたことも、落ち込みを引きずる原因になっていた。

 スーパーに出る前と何ら変わりの無い中身。一番下の段には水のペットボトルがたくさん寝かせられていて、その上の棚の中央に何故かなめたけが鎮座している。知海の冷蔵庫は不思議な冷蔵庫だ。この中身からはまともな人間生活を思い描けない。

「……なんくるないさー」

 鼻歌を歌いながらモトイは買ってきた袋を開ける。腕をまくり、小学生のときから使っている格好良いドラゴンのエプロンをすると、モトイは包丁を握った。憂うことは多かれど、腹が減っては戦はできぬのだ。

 よし、と気合いを入れた。


 野菜炒めを作るために包丁を使っていると、『ピンポーン』とインターホンが鳴って、手のふさがったモトイはちーちゃんに応対してもらうようにお願いした。ちーちゃんは思いのほかハイテクロボットで、知海の生活のほとんどは彼が補っていたことがモトイにはこの数日でよくわかった。始めに彼は残飯処理なら任せろと言ったが、料理は出来ないらしいので、モトイはその挨拶に少し得意げな顔をしたものだ。モトイにもこの家での役割があることを誇って、ちーちゃんには少し気持ち悪がられたのだった。どうやら自ら奉仕を好む人間というのが、ちーちゃんにとっては不可解な存在らしい。

「モトイ、ゴ近所サン! 回覧板!」

「ん、はーい!」

 タオルで両手の水気を切ってバタバタと玄関に向かう。廊下の向こうではちーちゃんとふっくらした人の良さそうな中年女性が朗らかな談笑をしていた。

「あら? どなた……?」

 訝しむような顔をする女性にモトイは人懐っこい笑みを向け頭を下げる。

「あ、チヒロのいとこのモトイッス。初めまして! 今年いっぱいホームステイ? に来てて……」

「あらあらあら! そうなの~! おばさん知海ちゃんの彼氏かと思ってどきどきしちゃった」

「かっ」

「田中サン! 回覧板!」

 ちーちゃんがすかさず声を張り上げる。田中さんと呼ばれた女性はそうだった、と言ってモトイに市報が上に乗せられたバインダーを手渡した。市報の表紙には愛くるしいオレンジ色の子猫が載っている。

「知海ちゃんは、また研究所に寝泊まり?」

「ッス、明日の朝戻って来ますけど……」

「ならひとつ伝言をお願いしても良いかしら?」

「……? どうぞー」


 黙々と夕食を食べるモトイの周りでは、田中さんと会話して機嫌を直したらしいちーちゃんが床をぐるぐる回っている。それが彼の床掃除スタイルらしいが、モトイにはその規則性がちょっとしたダンスに見えて少し愉快だった。とはいえ、モトイは先ほどの田中さんの伝言が頭から離れない。

『昨日から猿が山から集団で下りてるの、うちの子が見かけたらしくってねえ。きっと徒党を組んで、また悪さしに来とうのよね……本当に危ないわ~』

『……また?』

『そう、またよ! まあ人間が悪いっちゃけど……山に餌場がなくなってね、降りてきた街でゴミの味を覚えてしまったらしいんよ。それで猿がゴミ漁りしだして、めちゃくちゃやった時期がちょっと前にあったのよ~』

 離島の海辺近くで生まれ育ったモトイにとって猿は先ほどまで未知の生き物であった。田中さんの猿に対する半グレを見るような視線が忘れられない。

『……』

『猿が漁った生ゴミが街に散乱しとうこともあったねえ……ああ、子猿の死体がゴミの近くにあったときもあって……なんか変なもん詰まらせたっちゃろうね……』

 息を呑む。モトイの脳裏に、地面にぐったりと伏せた子猿を揺さぶる母猿の姿が浮かび上がった。

 田中さんは片手を頬に当てて、憂鬱そうにため息を吐く。

『本当にしばらくおとなしかったとよー? 十年位かしら……なんでまた急に増えたっちゃろうかねえ……』

 幼いころの悲しみの記憶が再び浮上してくる。小さなモトイはいつものように父親に連れられて、知海とその双子の弟と一緒に海に行ったのだ。そこでポリ袋を口に入れた状態の、死にかけのウミガメを見た。三人は助けようと思って近づこうとしたけれど、モトイの父がそれを止めた。ウミガメには触れてはいけないよ。三人はどうしてと父に詰め寄ったが、そのやりとりの間にウミガメは間もなく息を引き取った。ゆっくりと瞬きするウミガメの目から一粒涙がこぼれていくのを、四人は言葉もなく見ていた。

 父は言った。

『人が捨てたゴミで、野生動物は簡単に命を落とす。面倒だからとか、そういった理由であたりに捨てたゴミで、何も知らない動物たちが一番苦しむ羽目になる。だからモトイ、チヒロもチアキも……その悲しみと怒りを忘れるな。君たちのその気持ちは、君たちが自然の発する苦しみを聴くことが出来る、優しさと正しさを心に持っている証拠だからね』

 わんわんと泣きわめくモトイの横で悔しそうに顔をゆがめ、こぶしを握って耐えていた知海は、それからとりつかれたように勉強を始めた。それまでの知海は、お洒落と友達と遊ぶことに夢中の女の子で、勉強なんて少しも好きじゃなかったのに。

『最近は人間みたいにヒッタクリもするげな。きみも気をつけりいねえ……』

 目の前でぐるぐる回り続けるちーちゃんを眺める。あのときも父はウミガメを思って痛がるモトイの頭を優しく撫でていた。モトイ、お前はできるだけ優しくいようとつとめなさい。もし目の前でゴミを捨てる人が居ても、その心のありようを責めてはいけないよ。きっとみんな、私たちには解らない事情があるからね。

 父の青い目は、澄んだ沖縄の海とそっくりだった。父の環境保全活動を、その後成長していくことで、モトイも理解していった。決して自然には近づかない。直接その運命を変えることはないけれど、彼らが不必要な不幸に遭わないように、祈るような手を加えた。ゴミを拾い、外れた道からかえすような優しさだった。モトイはそんな父の優しさに憧れていた。父のまっすぐに伸びる大きな背中は格好良くて、頼もしかった。彼の側に居ると、自然と自分にもそういう使命があるはずだと思った。具体性は無かったが、だからモトイは募金や、献血や、人助けをする。どこかに誰かの困りごとがあると知っては、ジッとしていられないのだった。

「くゎっちーさびたん!」

 両手をパンと合わせてごちそうさまをする。モトイの使命。うっかりで応募してしまったこの地域交換留学では、一年間暮らす場所での『社会目標』を決める。その地域で、自分のなすべきコトを決めるのだ。

 痩せ細って小さな猿は大きなモトイを見て怯えながらもゴミ袋から手を離さなかった。ちーちゃんに追いかけ回されてきっと怖かっただろうに、気丈に逃げ去った猿も、小さな猿に餌を与えるために危険を冒したのだ。ズキズキと心臓が鋭く刺されるように痛んでいる。だからモトイは大きく笑って、ちーちゃんに声を掛けた。

「ちーちゃん、部屋の片付け手伝ってくれんねー?」

 それでようやく部屋が完成した。最後に机に置いた家族写真を、モトイは正面のベッドに腰掛けて眺める。笑顔のモトイに肩を回す父の青い目が、まっすぐこちらを射貫いている。

『noblesse oblige……お父さんにも、モトイにも、高貴なる者の役目がある。お父さんの役目は日本に来て沖縄のうつくしさを守ることだった。それと息子のモトイにも、同じように生涯の役目があると教えることだ。さあ……モトイの役目はなんだろう?』

 そっと目を閉じた。




「何をしている」

「おー! おはようチヒロ! おかえりー」

「何をしている」

「見ればわかるだろー? ゴミ拾い」

「何故?」

「ゴミが落ちとるからさー」

 知海は無表情のまま瞬きするとモトイを抜けて階段を上り、鍵が開いたままの玄関ドアを開ける。モトイは笑顔で大きく声を掛けた。

「朝ごはんはポーたまだよー!」

「朝からうるさい」

 直後に玄関は無情に閉まる。モトイは頭をかいて再び地面に視線を戻す。心なしか五年前より冷たさに鋭さが増しているような。

「……自分もそろそろ戻るか!」

 三時に起きて四時間、周辺をゴミ袋片手に歩き回っていた。袋を結んでちーちゃんの背中を押す。彼の身体から生えたゴミ箱に押し込んでスライドを戻す。地響きのような音がし出して、だけどこれがちーちゃんの身体が燃えている証拠らしいのだった。どういうわけか、ちーちゃんは町中で安全な焼却をするらしい。だけども知識が無いので、モトイには知海のすごさがいまいちピンときていない。

 知海はきっと缶詰で疲れているから機嫌が良くないのだろう。


「はあ……」

 ――と、楽観視していたがどうやら違うらしい。ピリピリとした知海の態度にモトイはのんびりと目を向ける。彼女はモトイの差し出したポーたまを前に手を伸ばすフリも見せず、自分で煎れたコーヒーを飲んでいる。

「そういえば、チヒロー、おまえの冷蔵庫、あれなにさー?」

「あ?」

「水しか入ってないよー?」

「ああ……そうか。キミが住むなら、ウォーターサーバーの設置がいるな……」

「話の飛躍がすぎるさー!? ちゃんと食べてる? ってはなしをしてるのにー!」

 周囲ではかいがいしくちーちゃんが新聞をちひろに向けて開いている。知海はむずかしい顔をしながらそれを眺めていた。モトイの言葉は聞いているのか、いないのか。

「あ、あと田中サンから、回覧板と伝言。猿がでたんだって、おれも昨日見かけたんだけどー」

「そうか」

「……沖縄だけじゃないんだね、って思った。ウミガメとか、海鳥とか、魚も……猿と同じだ。人間の捨てたゴミで苦しんでる」

 モトイがしみじみと言うと、そこでようやく知海はモトイに目を向けた。さっきよりも少しだけ、表情が和らいでいる。モトイとの確かな血縁を感じさせる垂れた目は一気に柔和さを醸しだす。

「社会目標は決めたか? 書類を提出しなくてはいけないんだ、私が」

 それでもなお急かしてくる知海に、モトイは苦笑いした。

「知海はなんでもお見通しだね……」

 彼女は最初から、今日までにはモトイがするべきコトを見つけると知っていたのだ。知海は冷静な目で、モトイを見ている。その目の色は、どことなく父の目にある静謐さと似ているところがあった。

「おれのやることは、昔から、いつもとなんにも変わらないよ――」





 通学路には四角いバッグを持った学生が多い。モトイのようにリュックを下げている学生はどうやら少数派のようだった。周りの学生はちらちらと隣を歩くモトイを見る。突き抜けて背丈があることも目立ったが、一番はその手に燃えるゴミの袋を持っていることだろう。モトイは学校に向かいながらも、街中のゴミ拾いをしていた。

 モトイは人とすれ違う度に笑顔で挨拶した。そんなモトイにえらいね、立派だねと応援をくれる地元民は多い。からかうようにわざと手に持ったゴミを彼の前に捨てて『頑張ってね~』なんて茶化す若者もいたが、モトイはどの声にもはにかみながらありがとうと返す。

 通行人はみんな、モトイが気になるようだった。だけど大多数が声を掛けるまでには至らない。むしろどこか、距離をはかるように観察の目を向けていた。それでもモトイは何も気にすることもなく、せっせと街の清掃に励んでいる。


 この地域の燃えるゴミの日は、毎週月曜日と木曜日だ。次のゴミ出しが来るまでに、モトイは何袋の口を縛り、この町をどれだけ綺麗に出来るのか。

 教室に足を踏み込んだ瞬間から、生徒達はざわめいた。モトイは先生に言われるままに、軍手をしたまま黒板に力強く名前を書く。

「花城モトイです! 沖縄から来ました! 福岡での社会目標はこの街からゴミをなくすこと! ここから始めて、いつか世界中を綺麗にしたいと思っています! よろしくお願いします!」

 勢いよくモトイが頭を下げると、教室はあっけにとられたように静かになった。先生も隣で困ったような、微妙な顔をしている。マイペースなモトイの笑顔は、まるで冬の海を照らす太陽のように空気を読まずに明るい。彼はその善良さを全身でアピールするように、教壇の上、片手に持ったゴミでパンパンの袋を高らかに掲げた――その衝撃でゴミ袋の底が破けるとも知らずに。

「はんまよーッ!?」

 しなびた袋を持って硬直するモトイを、おだやかなチャイムが祝福するように降り注ぐ。そうして教室には絶叫が響き渡ったのだった。


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