第17話 オレタタじゃん!

――闘技場


 特技、スキル、魔法、とにかくなんでもよろしいので、とりあえず、何か出ないかなぁと、一生懸命ふんばってみる私……、


 出ないです!やっぱり何も出ないです!


「ギュギュ……ぺ?」

 なんとなくスライムも戸惑っている様子。


 ……えぇ、流石に自分でも分ってきました。たしかにこれは塩試合、RPGで例えると、物理攻撃だけで戦っているのと同じ、さらに私の場合、回避ばかりしておりますので、3ターンに1回だけ攻撃している感じでしょうか……うむ、なお悪い。


 すると……

「オーレタタ!ジャン!オーレタタ!ジャン!オーレタタ!ジャン!」


 観客席から一斉に謎の言葉の大合唱が!


「オーレタタ!ジャン!オーレタタ!ジャン!オーレタタ!ジャン!」


 ライカンのお兄さんも焦っています。

「あわわ……なんてことだッ!今日の観客20人はだいたいこの僕のファンの子たちなのにッ!それなのにッ!オレタタコールが始まっちゃうなんてッ!」


「オレタタコール……?」

「とにかく、今はなんとかしてできるだけカッコよくスライムを倒すんだ!」


「は、はいぃ……」


「オーレタタ!ジャン!オーレタタ!ジャン!オーレタタ!ジャン!」


――観客席


 青柳がそれはヒドい塩試合をしていたとき、オキュペテーは観客席にいた。

「あぁ、アオヤナギーったら、なんという無様な試合を……これでしたら、観客たちがオレタタコールをするのも無理もなりませんわね……」


 そこへ青柳を改造した一人、カラス天狗怪人、もといガーゴイルが彼女に声をかけた。

「オキュペテーさん、ここにいらしたか」

「あら、ガーゴイルさん、試合を観に来たのですね」


「このルーキーの改造に私も携わったのでな、気になって観戦に来たのだが……まさかデビュー戦でオレタタコールとは……」


「えぇ、それに相手はスライム、河川の環境を整えるだけの基本、無害な存在、その反面、あの恐ろしい姿はまさにデビュー戦にうってつけ……なのですがねぇ……」


「うむ。しかし、オキュペテーさん、私が渡した仮面はいかがしたのかな?彼は一向にそれをかぶらないで戦っているが……」


「仮面……」

「彼の改造で得たパワーを発揮するための仮面だ。……あぁ、なるほど、ピンチを演出するつもりかな?うむ、しかし、やはり納得できぬな。オレタタコールまで始まってしまっては演出どころではあるまいよ……」


 オキュペテーの額には急激に汗が流れ始めた。


 どどど、どうしましょう……仮面、渡し忘れましたわ。




 その後、収まらないオレタタコールの中、たまたま振った棒がスライムの急所に命中、塩試合のまま青柳の初戦は終わった。


 そして、待ち受けるのは、反省会である。


 ちなみにオレタタコールの意味も明かされるよ。

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