第7話 完成
――手術室(改造室)
「♪〜〜」
カラス天狗怪人がスキップをしてコカトリスの鶏冠を片付けて戻って来ました。そんなに美味しいのでしょうか……。
と、とにかく、コカトリスの鶏冠の取り付けはあきらめていただけた様でなによりなのですが……、
しかし、ウキウキのカラス天狗怪人が余計な事を、
「グレムリンの筋繊維を移植してみるのはいかかでしょうか?」
「ほぅ……良いアイデアだ。グレムリンは素早く動けるからな……材料はあるのか?」
「はい。丁度良い小型サイズの個体を捕獲しております」
「よし、持って来い」
グ、グレムリン!?コカトリスに続いてメジャーなモンスターが登場しそうです!
グレムリンといえば、ゲームはもちろん、映像作品でも有名なモンスターですよ!深夜におやつあげてはいけないヤツ!
すぐにカラス天狗怪人が檻を運んで戻って来ました。
「キキキィーー!!」
え……グレムリン?これは、グレムリンというか……、
「キキキ、キキィーー!!」
猿じゃないのでしょうか、イッツ、モンキー!
だって、檻の中にバナナみたいな果物までありますもの。グ、グレムリン詐欺!
「おい!そのグレムリン生きているじゃないか!私は生きたモンスターは嫌いなんだぞ!」
「す、すいません、飼育している内についつい情が移ってしまって……すいません」
「ダメだダメだ!別の材料にするぞ!」
カラス天狗怪人の意外な一面……。
その後、私は、胸部に怪しげな宝石を埋め込まれた後、剛力無双牛というなんとも強そうなモンスターの筋肉を全身に移植されました。
「喜べ、これで腰痛は治るぞ」
ヘルニアが治ったのは、純粋に嬉しいのですが、モンスターの筋肉を移植されたので気分は複雑です。しかも、その後も改造手術は続く様ですよ。
どうやら今回の改造はモンスターと異世界人の合成がメインテーマの様で、その後も、いろいろなモンスターの名前が出て来ました。
スライム、サンドワーム、オーガ、リザードマン、マーマン、ワイバーン……。
意識もあいまいな感じでしたので、一体、どのモンスターをどうやって改造に用いたのか、そういうことは、ハッキリと観察はできなかったのですが……それでも……。
私は密かに興奮していました。出てくる単語が皆、ロールプレイングゲームです。改造されるというとんでもない状況ですが、私はあろうことか、だんだんと嬉しくなってしまいました。
おそらく、いろいろと上手くいかない人生を送って来たからでしょう、現状をぶち壊してくれる、こんなめちゃくちゃな出来事に憧れていたのかもしれません。
まぁ、あまりに多くのモンスターの名前が登場し……その内、
ジャイアントマイマイだとか、ジャイアントザリガニだとか、ジャイアントブラックバスだとか……、
ファンタジー感が薄い、日本の環境を脅かす外来種みたいなモンスターまで出てきたので多少は心配になりましたが……まぁ、いいのです。
「完成したぞ……」
「でも、何かまとまりがありませんね」
「……あぁ、そうだ。せっかくだからこの仮面を使おう」
「あっ、それいいですね」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます