第4話 珍しい材料
――異世界?
黒光りのロボットの横から現れたド派手なロボット!とにかく厳ついフォルムでした、まるでパンクな世紀末ヒャッハー世界のテイスト!
そのロボットが投げた網で捉えられてしまった私、今、必死になってジタバタと暴れておりますが、効果無し!
すると、ド派手ロボットから声が、
「大人しくしろ!今、檻を準備してんだからよぉ!」
「えっ!?獲物を捕まえたのに?」
「んあ?何だ?」
「檻の準備がまだ?」
「そうだよ」
そのとき、私の悪い癖が……。
「あ、あの〜〜」
私は迷いました……が、思い切って言うことにして、しまいました。
「檻は流石に捕まえる前に準備をしておかないといけませんよ。今度からは気を付けてくださいね」
「んあ!?なんだお前!」
「いや、あの仕事の手際というのは人それぞれですが、あまりに単純なことなので早目に指摘してあげることも大事かなぁと、普段はこんなこと言わないのですが、つい口を出してしまいました」
私、過去に新入社員さんを良かれと思って、放任したことがありまして、どんなミスをしても、いいよ、いいよと許していたのです。良かれと思って。
そしたらその子、すぐに仕事を辞めてしまいましてね。その理由が、もっとちゃんと仕事を教えて欲しかったって言ったんですよ。私、ショックでして、だから今、余計な事を言ってしまったのです。
「んあ?お前!つまり俺に説教したのか!?捕まえられてんの分かってんのか?揺らすぞ!」
「あ……す、すいません、揺らすのはご勘弁を。本当に、ちょっとやり方がまずいなぁって、思ってしまって……うわぁっ!!」
乱暴に檻に投げ入れられました。やはり若い人とのコミュニケーションは難しい……いや、声の印象だけなので、本当に若い人なのかは分かりませんね。いけないいけない。
「あ……!」
檻に投げ入れられた衝撃でなのか、顔のマスクが外れていました!怪我の功名?
「おい!お前!顔が取れてんじゃねぇか!?」
「……これは、ただの人間だ、つまらない」
なんだか、私を捕まえたお二人が残念がっておられます。しかし、しばらくしましたら……。
「……いや、これは珍しい……」
「急にどうしたんで?」
「今、魔力を測定したんだが、この異世界人、魔力が無いんだよ、これは貴重な材料になる」
「そりゃ良かった!」
とても不穏なワードが聞こえました……材料って……。
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