凍りついた島国

カク セカイ

第1話 兄の行方


2023年5月10日


北海道知事石田誠二(いしだ せいじ)の息子であり、秘書の和真(かずま)が突如として行方を消した。


私の兄である。


和真は北海道東部、釧路の近辺に出張へ出かけ、それ以来札幌の自宅に戻ることは無かった。


兄が居なくなって1年になる今日、2024年5月10日。

北都工業大学の2年生になった俺、海人(かいと)はとうとう我慢出来なくなり、兄を捜しに行くことにした。


1年前のあの時……


兄の捜索がきちんと行われたようには、到底思えなかった。

知事の息子だというのに報道すらされず、警察の捜索も形式的なものだと感じていた。

自分の息子だというのに、父も本格的に捜すことはしなかった。


それよりも、父は何かを隠そうと必死になっている感じだった。


何かが怪しい。


直感的にそう感じた俺は父を何度も問い詰めたが、何も教えてくれそうには無かった。


だが、父は何かを知っている。


父は兄の失踪以来、秘密裏に何かをしている様子だった。

息子の失踪を悲しみ嘆く母とは対称的に、父はひたすらに焦って、その何かを解決しようとしていた。


毎日、誰かと連絡を取ってはどこかへ出掛ける。そんな日々が過ぎて、あっという間に失踪から一年が経過した。

相変わらず父は呆然と日々を過ごす母には目もくれず、仕事と何かに追われる日々を過ごしていた。


ただただ待たされる事に限界を感じ、俺は父の書斎にある膨大な書類を漁った。


1日、2日、3日……と父の出張中は、朝から晩まで父の秘密の手掛かりを探し、そして父が帰宅する4日目の朝に発見した。


父の本棚の裏に隠してあった封筒を…


やや興奮気味に封筒を開けると、その中には…とある島に関する書類と兄の情報が記載された書類が封入されていた。



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