二股していた彼女から「アンタとは遊びだった」と言われ振られたが、俺は隠れ爆乳な美少女と思い出に残るデートをする事になった
譲羽唯月
第1話 彼女に振られた俺の人生の転機は突然すぎる⁉
けれども、今日の昼休みに振られてしまったのである。
なんで俺がこんな目に合わないといけないんだよ……。
今は誰とも付き合っていない状況であり、放課後の現在、柊は教室にて帰宅準備を整えている最中だった。
机の前に立っている柊の視界の先には、その彼女の姿が見える。
彼女は同じクラスメイトの
そんな彼女と一瞬視線が合うものの、柊は視線を逸らしてしまう。
咲菜は二股をしていたのである。
柊とは単なる遊びであり、最初から付き合う予定などなかったらしい。
そのセリフを彼女の口から直接聞いた時の絶望感は半端なかった。
つい最近まで普通に楽しく生活できていると感じていたからこそ余計に辛い。
今では話しかけてこないでといった視線を、彼女は柊へと向けている。
咲菜が本命として付き合っている相手は、この学校にはおらず、別の学校に通っている人らしい。
彼女が、その人とどういった流れで出会ったのかはわからないが、むしろ、そんな事を知ったとしても何の意味もない。
裏切られた辛さは今も拭う事は出来ず、柊は落ち込んだままリュックを背負い、一人で教室を後にするのだった。
咲奈と出会ったのは、今年の五月である。
告白してきたのは、彼女の方からだった。
咲奈とは二年生になるまで殆ど関わりはなかったが、柊からしたら告白されたこと自体が嬉しくてしょうがなかったのだ。
あの頃の柊は、調子に乗ってしまったところもあったのだろう。
まさか、単なる遊びで関係性が終わってしまうとは、告白された時は全然想定もしていなかった。
そもそも、突然接点の無い子に告白された時点で気づかなかった自分も悪いと思っている。
怪しいと感じなかった自分にも非はあるのだ。
普通に考えて、特に取り柄の無い人に告白してくる女の子などいない。
もう少し警戒した方が良かったと、今になって感じる。
彼女は欲しいけれども、今回の件があってから女の子に対する接し方がわからなくなっていた。
今思えば、どうすればよかったのか。柊は今後、どういう風に異性と関わって行けばいいか、それが最大の悩みになっていたのだ。
柊は今日あった出来事を振り返りながらも大きなため息をはき、通学路を歩いて自宅へと向かうのだった。
柊は孤独に道を歩いている。
昨日まで彼女と付き合い感じていた嬉しい感情はなく、本当に虚無的な時間を過ごしているかのような感覚。
急に一人になると、これほどまで空しい事はない。
刹那、遠くから足音が聞こえた。
それから誰かが息を切らしながら走ってくる音も聞こえてくる。
そんな時だった、柊が通学路の十字路のところで誰かと偶然ぶつかってしまったのは――
「きゃ」
「う、うわ」
一体、何事かと思っていると、目の前には眼鏡をかけた女の子がいた。
彼女は黒髪のポニーテイルで、スタイルは良いが少し胸は小さい感じである。
彼女は突然、柊と鉢合わせした事で少々目を丸くしていたが、すぐに現状を把握したかのような表情を見せていた。
「ご、ごめん」
柊は言った。
「えっと、私の方こそごめん……でも、ここいるのもよくないし、一緒に隠れてくれない」
それは突然の誘いだった。
「え? な、なんで?」
「どうしても!」
彼女は強引にも柊の腕を掴んで引っ張る。
そして、二人はとある草木の影にしゃがんで隠れるのだ。
「さっき、ここに居たような気がしたんだけど」
「だよな。もしかして、別の方に行ったのか?」
後から現れた二人組の男性は、二人が隠れている草木の周辺を見渡していた。
「まあ、いいや、俺らも時間もないんだ。別の方を探すか」
「その方がよさそうですね」
二人組は新しい作戦を立てると、そのままどこかへと立ち去って行く。
「あの人たちは、もうどこかに行った感じかな」
彼女は草木から立ち上がると、辺りを見渡して確認していた。
「さ、君も早く立ち上がって」
柊は言われるがままに、その場に立ち上がる。
「今からついて来てほしいの」
「い、今から⁉」
「時間はある感じ?」
「一応は、あるけど」
「じゃあ、問題ないね」
彼女は強引に柊の腕を引っ張って、その場から連れ出そうとする。
「それで、さっきの人は?」
「あの人ね。それについては別のところで話すから」
彼女は簡単に言うと、ひたすら柊をとある場所まで案内し始めるのだ。
柊が彼女から案内された場所は、とある喫茶店。
「ここなら、人通りも多くないと思うから、安心かもね。さ、早く入って」
彼女から背を押され、成り行きで入店する。
店内に足を踏み込むと、昔ながらといった感じのオーラが漂うお店。
洒落たレトロな掛け時計と、落ち着いたBGMが魅力的。
二人が、女性スタッフから席まで案内され、二人用のテーブル近くにあった椅子に向き合うように座る。
スタッフが置いて行ったメニュー表がテーブル上にはあり、柊がそれを見ようとした時だった――
「私、君に伝えたい事があるの」
「お、俺に?」
初対面の相手に、何を伝えたいことがあるのだろうか。
「簡単に言うとね、私、君と付き合いたいの」
「お、俺と? でも、今日あったばかりだよね」
何を言われるかと思えば、突拍子のない事だった。
柊は唖然として、空いた口が閉まらなくなっていたのだ。
「そうだけど。なんていうか、直観的に君となら上手く行きそうな気がするの。私、今まで誰とも付き合った経験が無くて。高校生の内に誰かと付き合っておきたいと思ってて。君なら、私との約束を守ってくれそうだし」
「なんで、そんなことがわかるの?」
「何となくっていうか、直観的にそう感じるだけよ」
彼女は意味不明な事を口にしていた。
「私は本気なんだけど」
「お、俺は……」
相手の事を何も知らないまま付き合ってしまうと、長谷部の時と同じような結末を辿りそうで怖い。
そもそも、目の前にいる子が、どういう子なのかもわからないのだ。
「君は誰かと付き合っているとか?」
「付き合ってるわけじゃないけど……今日、振られたばかりで」
「そうなの? それは大変だったね。そういう事があった後だと、やっぱりすぐには決められないよね。じゃあ、後でもいいし。次会った時までに決めておいてくれない? 自分なりに納得できる答えが見つかってからでもいいし。それから私と付き合お。今は友達ってことで、連絡先とか交換してくれないかな?」
「連絡先?」
「そうだよ」
彼女は積極的だ。
対する柊は消極的だった。
「そう言えば、私、自己紹介がまだだったね。私は、
――と言い、月渚は明るい笑みを見せてくれたのである。
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