第14話

ちょっと短いけどユルシテ……ユルシテ……


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 放課後、玲奈と並んで歩きながら、俺はまだぎこちない感覚を覚えていた。昨日、初めて「恋人として」手を繋いだ。それだけのことなのに、今も意識してしまって、隣にいる玲奈を見るだけで胸がざわつく。


 玲奈も同じなのか、ときどき俺の方をちらりと見ては、視線を逸らす。その仕草が可愛くて、俺の心臓はさらにうるさくなる。


「……なあ、玲奈」


「ん?」


「今日も、手を繋ぐか?」


 俺が勇気を出してそう言うと、玲奈の頬がかすかに染まった。だけど、すぐに真剣な表情になり、ゆっくりと手を伸ばしてくる。


「……うん」


 昨日よりも、少しだけ自然に手が絡む。玲奈の指が俺の指の間にすっと滑り込み、優しく握られる。その瞬間、俺たちの距離がまた一歩近づいた気がした。


「……なんか、まだ慣れないな」


 俺が苦笑いすると、玲奈も少し笑って「同じ」と呟く。


「でも……こういうの、悪くないかも」


 玲奈が小さく微笑む。その笑顔が、どこか嬉しそうで、俺の心を温める。


「じゃあ、もっと慣れるために毎日手、繋ぐ?」


 俺が冗談めかして言うと、玲奈は少し考えた後、真剣な表情で頷いた。


「……うん、そうしよう」


 まさかの返事に俺は驚いたけれど、玲奈がそう言ってくれるなら、それが俺たちにとって自然な形なのかもしれない。


 そうやって、俺たちは少しずつ、「恋人としての距離」を縮めていくのだった。



 ▽▲▽▲▽▲



 翌日。


「玲奈、今日放課後って予定ある?」


 昼休み、俺は思い切ってそう切り出した。玲奈は少し驚いたように瞬きをして、箸を止める。


「今日? ううん、特にないけど……」


「じゃあさ、一緒に帰りにどっか寄ってかないか?」


 俺の言葉に、玲奈はしばらく考え込んだ。こういう誘い方は初めてだから、どういう反応が返ってくるかちょっと不安だったが、やがて玲奈はゆっくりと微笑んだ。


「……いいね。どこ行く?」


「んー、特に決めてないけど……カフェとかどうだ?」


「カフェ……いいかも」


 玲奈が嬉しそうに頷いたのを見て、俺は少し安堵する。こうして「どこかに行こう」と誘うのは、俺たちの関係にとって新しい一歩だ。


 ——そして放課後。


 駅前のカフェに入った俺たちは、向かい合って座り、注文を待っていた。


「……なんか、こういうのってデートっぽいな」


 俺がぽつりと呟くと、玲奈が一瞬動きを止めた。


「デート……」


 玲奈は口の中でその単語を繰り返し、それから俺の方をじっと見つめる。


「これって、デートなの?」


「え、違うのか?」


「ううん……私も、よく分からない」


 玲奈は少し照れたように笑う。俺たちはすでに付き合っている。でも、こうやって一緒にどこかへ行くことに対して、まだ”特別”な実感が湧かない。


「でも……悠とこうして一緒にいるの、私は好きだよ」


 玲奈の言葉に、不意に心臓が跳ねた。


「お、おう……俺もだ」


 ぎこちなく返す俺を見て、玲奈はくすっと笑う。その笑顔が可愛くて、俺は思わず視線を逸らした。


 まだ”デート”とは言えないかもしれない。でも、こうして二人でいる時間が増えていくたびに、俺たちは少しずつ恋人らしくなっていくんだろう。


 そんなことを思いながら、俺たちは穏やかに過ぎる時間を楽しんだ。

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