【02】方向音痴
実は方向音痴なんです。
それも尋常じゃないくらい。
事情はあったのですが、千代田区にある訪問先に行くはずが、何故か目黒区に行っていたなんてこともありました。
今みたいにグーグルマップなどという便利なものがなかった時代ではありますが、あっても使いこなせなかったと思います。
仕事で出向く時は、前もって必ず地図で調べて行くのですが、最寄り駅に着いたら何故か反対方向に歩き出しているんですよね。
途中で気づいて、慌てて後戻りすることもしょっちゅうなんです。
なので仕事の時は、物凄く余裕を持って出かけることにしています。
約束の時間に遅れたら、洒落になりませんから。
そしてこれは前話同様、私が九州地方の病院を担当していた頃の話です。
当時担当していた大学病院は、結構古い建物が多かったんですよね。
しかも建て増し建て増しで内部が複雑になっていて、中には立体迷路のような病院もありました。
ある建物の2階が、別の建物の地下1階に繋がっているとかです。
その中の一つの病院は割と新しい造りで、中もそれ程複雑じゃなかったんです。
その病院には月に2-3度訪問していたので、内部構造も熟知していた筈なんです。
ところが迷うんですわ、これが。
しかも何故だか片道だけ。
行きはよいよい、帰りは恐いなんです。
行く時はちゃんと迷わずに行けたんですよ。
エレベーターで目的階まで昇って、病棟通って、医局棟に入って、面会相手の先生の部屋まで行って、無事面談を終えることが出来たんです。
毎回ちゃんと。
当たり前なんですけど。
ところが何故か、先生の部屋を出た途端に迷うんです。
迷うというよりも、何故か元来た道を戻れないんですよ。
来る時は病院の玄関ホールからエレベーターに乗って来るんですけど、返る時には何故か違うエレベーターに乗っていて、全然違う場所に降りてるんです。
不思議でしょう?
ちゃんと来た道を辿ってる筈なのに、エレベーターを降りたら「あれ?ここどこ?」となるんですよ。
しかも1回、2回じゃないんです。
毎回だったんです。
今思うと、あの頃の私は、先生の部屋を出る度に異界に入り込んでたんじゃないかなんて、真剣に思ったりします。
だってね。
行きは廊下で人とすれ違うんですけど、帰りは人と会った記憶がないんですよ。
変ですよねえ。
これ、混じりけなしの実話です。
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