ドーナツとバウムクーヘンのトポロジーについて
川上水穏
第一部
第1話
まだ最高気温が高いままの九月。先々月にやっと合流できた私、
看板作家の鰐カラ先生が得意なサラリーマンBLのみを扱う。編集以外のサラリーマンの仕事ぶりを本社は探していた。
なにをどう間違ったのか、その矢は私へ当たった。以前はグループ会社でエンタテインメント系のデータ入力をひたすら行っていた。以前の上司は最初こそ驚いていたものの、私が鰐カラ先生の漫画好きと知っていたから、応援されながら送り出された。ほとんど誰とも喋らなくてもやっていけた業務から、こまめな連絡が必須な業務へと変わった。まだ作家さんに会ったことはない。今はメールやチャットシステムでほとんどの方がやり取りしている。
私はSNSの書き込みとウェブサイトの週報を任されている。SNSは関口さんと一緒に担当させてもらっている。関口さんは営業部から異動になった方で、他に新人漫画家さんの持ち込み日時調整を担っている。縁の下の力持ちだ。黒髪短髪でいかにもスポーツが似合いそうだけど、当人は相当の漫画好きらしい。電子も紙も積んでるのが悩み。でも年齢は十歳上で読んだ漫画はなかなか合わない。
「永原さん、鰐カラ先生から原稿取ってきて。浦川さんも連れていって」
「わかりました」
編集長から急に私の名前が呼ばれ、おろおろしながらも大好きな鰐カラ先生に会える嬉しさと、憧れの永原先輩と一緒に行動できる嬉しさで胸がいっぱいだ。
上着を着てカバンを背負うと、先輩から声をかけられる。
「浦川! 行くよっ!」
「はいっ!」
年齢が近いのは、神林さんと伊東さん。第三BL漫画編集部にいた副編集長が第四の編集長になったから、それぞれ第一BL漫画第二BL漫画編集部からの異動。いつも忙しそうにされていてあまり話したことはない。
メンターの永原先輩。この編集部ではだいたい真ん中ぐらいの年齢だけど、編集長に次いで編集業務が長い。以前は一般文芸を担当していたよう。第四ができると聞き、自分から異動願いを出されたと聞いている。一ヶ月に一回くらいしか面談してなかった大好きな永原先輩と一緒に出かける。
看板作家の鰐カラ先生は第四で唯一、編集部と対面のやり取りを希望されている。
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