第7話
ワイズから受け取ったメモを確認すると、この村では夏にトマト、きゅうり、ピーマン、なす、冬には白菜、ほうれん草、大根、ニンジン、ジャガイモを育てているらしい。
ちなみに今は春の後半。
だが—— 今年の収穫量の見積もりは、村民全員が今年を乗り切るには絶対に足りない量だった。
「やはりオークのせいで作物を育てるのが難しかったのか…… これは思った以上に厄介な問題だな。」
「は、はい。今年は特に厳しくて……全員が冬を乗り越えられるかどうかも分からない状態です……」
ワイズの声には、明らかな不安がにじんでいた。
俺は少し考え、次の質問を投げる。
「ワイズ、この村で特産品、育てれば一番量が取れる作物はなんだ?」
「えっと……夏はきゅうりで、冬はじゃがいもです。」
「なら冬はじゃがいもだけを集中的に育てろ。他の作物は作るな。」
「で、ですが、それでは栄養が偏ってしまって……! ただでさえ栄養不足な私たちが、生きていけるかどうか……」
ワイズが慌てたように言う。
俺はゆっくりと首を振った。
「今のまま去年どおりにしても、結局、死人が出る確率は高いままだ。」
「……」
「いきなり来て、分かった風なことを言われても信じられないだろうが、策がある。だから今は俺に従え。」
ワイズは迷ったように口を開いたが、何も言わずに、少し考え込むような顔をしてから頷いた。
「……わ、わかりました。」
「あと、動かせそうな男手を明日の同じ時間に全員連れてきてくれ。」
「わかりました!」
ワイズはすぐに走り出していった。
(……素直なやつだな。)
頼んだ仕事はしっかりやるし、決断も早い。
やはりこいつは将来有望かもしれない。
「……はあ、やることが増えたな。」
思わず頭を掻く。
食糧問題、オーク対策、村人の訓練……次から次へとやるべきことが見えてくる。
(でも、やるしかねぇか。)
この村を立て直すために。
そして俺が「本当はいいやつだったムーブ」をするために——。
俺は深く息を吐き、トーマスのもとへ向かった。
<次の日>
ワイズが動かせる男たちを連れてきた。
「コア様、これで全員です。」
全員で40人。思ったよりも集まった。
「トーマス、後は頼んだ。」
「は!」
トーマスは男たちを前に、一歩前に出ると、鋭い声を響かせた。
「これからお前たちは槍の訓練を受けてもらう!」
村人たちがザワつく。
「もしかしたら、オークの大群が襲ってきて、私たち騎士団だけでは対応できない状態に陥る可能性もある。」
「だから、お前たちを鍛え上げる!」
「…………」
沈黙が流れた。
村人たちの表情には、不安や戸惑いが浮かんでいる。
だが、少しずつ—— それが「覚悟」に変わっていく。
「……やります。」
一人の男が、槍を手に取った。
「俺たちは、もうただ襲われるだけの村人じゃない。」
「そうだ! 俺たちの村を守るために……!」
他の男たちも、次々に槍を取る。
(——これなら、いける。)
俺は静かに頷いた。
この男たちには、訓練だけでなく、いくつか雑用もしてもらうつもりだが—— 今は知らせる必要はない。
俺は、村人たちを見守るトーマスを横目に、再び土壁作りに取り掛かった。
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