第5話

ギルバードに聞くと、オール村はクトーマ領の北部に位置する人口500人ほどの小さな村らしい。




だが、その現状は最悪だった。




① 食糧難 → 土地が痩せており、作物がほとんど育たない。


② 交通・他の村との連絡手段が弱い → 街道が未整備で、交易が滞っている。


③ 魔物の被害 → 村の周辺に巣食う魔物のせいで、村人が畑にすら出られない。




(父上、これ……絶対「試してやる!」とか言いながら、ただ俺に押し付けただけだよな……?)




この村の統治、難易度が高すぎる。




だが、逆に考えれば、ここで成果を出せば「コアは内政ができる」と皆に認めてもらえる。




「アーク様から精兵1部隊を同行させるように言われています。好きに使ってやって下さい。」




「了解した。それと、出発前に白紙・オール村周辺の地形図・村の情報を調べて渡してくれ。」




「かしこまりました。」






この村の統治での俺の目標は2つ。




① 俺が内政をうまいと思わせること。


できれば1年以内にすべての問題を解決したい。


なぜなら、15歳になったら王国の学園に入学しなければならない からだ。


できれば5年のうちに伯爵領全体の内政を整えて、万全の状態でゲームの本編である学園に臨みたい。




② 優秀な人材を発掘すること。


アークがあんな感じの脳筋なので、俺に優秀な人材を回す考えも余裕もなかった。


今回護衛としてついてくる精兵も脳筋ばかり。


事務仕事を任せられるくらいの能力をもった人材を、この機会に見つけ出したい。




──そして、出発の日。




「魔物には気を付けてね。辛くなったら帰ってきていいからね。それから……」




母は、俺の髪をそっと撫でた。




「無理はしないで。あなたが無事でいることが、一番大事だからね。」




「母上、ありがとうございます! でも心配いりません。必ず成功させてみせますから。」




(この手の温かさ、俺は前世で感じたことがあっただろうか……)




転生してから約10年。




最初はゲームのキャラを操作している気分だったけど気がつけば、この世界の人々、伯爵領、領民……そして家族の存在が、大切なものになっていた。




俺はこの世界で生きていく。




大事なものを守るためにも、この最初の一歩を全力で踏み出すぞ!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る