君がいるから、恋を知る。

ミナ

第1話 生徒会長の私

生徒会室の窓から見える校庭は、今日もにぎやかだった。昼休みになると、サッカーをする男子やベンチでおしゃべりする女子が集まる。そんな風景をぼんやりと眺めながら、私はため息をついた。


 ——また、告白されちゃったな。


 朝、生徒会室に行く途中で、1年生の男の子に呼び止められた。「ずっと好きでした! 付き合ってください!」って。もう何度目だろう。1ヶ月に3回は告白される私だけど、全部断っている。だって、好きな人がいるから。


 「彩花?」


 声をかけられて振り向くと、そこには雄也がいた。


 「お疲れ。今日の生徒会の議題、確認しておいてくれた?」


 「もちろん。」


 雄也——生徒副会長で、私の幼なじみ。そして、私が今、一番気になっている人。


 雄也とは小学校以来、中学で再会した。あの頃よりずっと背が伸びて、173cmになった彼は、文句なしのイケメンになっていた。成績優秀で、スポーツ万能。誰にでも優しくて、みんなの憧れの存在。そんな彼が、生徒会に入った理由は——「彩花がいるから」。


 最初にそれを聞いたときは、心臓が跳ねた。でも、彼のことだから深い意味はないんだろうなって、すぐに冷静になった。


 「じゃあ、昼休みが終わったら打ち合わせしよう。」


 そう言って、雄也は教室に戻っていく。その背中を見つめながら、私はそっと胸に手を当てた。


 「……私、どうしたいんだろ。」


 そんな私の気持ちを知ってか知らずか、親友の紗奈は今日も元気いっぱいに私のところへやってくる。


 「彩花! 今日、放課後テニス部来ない? たまには顔出してよ!」


 紗奈は私の親友で、テニス部のキャプテン。中2の頃まで私もテニス部だったけど、生徒会長になってからは忙しくて辞めてしまった。それでも、紗奈とはずっと仲がいい。


 「ごめん、今日は生徒会の仕事があるんだ。」


 「そっかー。でも今度は絶対来てよね! ……あ、そうだ。ねえ、雄也って最近誰か好きな人いるのかな?」


 ドキッとした。紗奈はずっと雄也のことが好き。彼の話になると、いつも真剣な目になる。


 「……さあ、どうだろうね。」


 適当に流すしかなかった。


 そこへ、もう一人の男の子が私に声をかけてきた。


 「彩花、次の風紀委員会の議題、決まったら教えてくれ。」


 健——私の元カレ。小学校の頃から私を好きでいてくれて、一度付き合ったことがある。でも、結局長くは続かなかった。今はただの友達だけど、彼の視線が時々切なそうに見えるのは、気のせいじゃないのかもしれない。


 「わかった。決まったら伝えるね。」


 「よろしく。」


 健はそう言って去っていった。その後ろ姿を見ながら、私はまたため息をついた。


 「好きって、難しいな。」


 私のまわりには、たくさんの人がいる。でも、私の心はたった一人に向いている。


 その気持ちに、雄也は気づいているのかな——?


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る