第21話 開花

 そこで目が覚め、身体を起こす。身体はソファにある。飛び降りたのは外だから、ヒスイが中に運んでくれたのだろう。身体を見回しても、触っても怪我している様子は無い。夢の中で、創造の力が目覚めたともう一人の俺が言っていたが、本当だろうか。身体に傷がないのがその証拠だろうか。あんな高所から落ちたんだから怪我はしているはず。あと考えられることは、ヒスイが回復または蘇生の能力を持っていてそれで生き返らせたかだろう。そうだとしたら見届けるという言葉は嘘だったということだ。ヒスイはそんな事するだろうか。


 「め、めぐるん? な、なんで起きて……」


 扉を開け、固まっているヒスイの姿がそこにはあった。


 「俺もよく分かっていない。ヒスイが生き返らせたのか?」


 「そんなのするわけ無いじゃん! それに生き返らせるほどの治癒能力持ってないよ。でも、なんで傷が治ってるの……」


 ヒスイの言うことが本当ならば、あの夢でもう一人の俺が言っていたことが真実である可能性が高い。ヒスイに言ってみる価値はありそうだ。色々知っているし。


 「なんでこんなことになっているのかについてなんだけど、夢の中で俺に創造の能力が開花したって」


「そんなことってある? 本当だとしたら……、ってああ、確認すればいいじゃん!」


 ぶつぶつ言っていたヒスイが急に大きな声を上げて、一気に俺のところまで近づいてくる。


 「ちょっと待ってて。……うん、見てみたけど何かしらの能力を持ってるね。私の見立てだと、めぐるんの言う通り『創造』だと思うんだけど。うーんと、じゃあここにテーブルをイメージしてみて」


 「分かったよ」


 俺は丸い、ベッドの横に置くサイズの小さいテーブルをイメージした。


 「イメージしたかな? そしたらそれが目の前にあるように強く考えて」


 ヒスイの言った通りに想像する。しばらくすると指先から何かが抜けでた気がした後、目の前にイメージした通りの机が出てきた。


 「ほんとに机ができた。ってことは俺に能力があるってことか」


 「やったねめぐるん!」


 「ああ。でも、自分が死んで能力開花したってことは、自分が一番憎い相手だったってことなのか」


 「……うん。今までに例外はなかったし、そういうことになるね」


 ならばやはり自分が憎かったということだ。夢の中でも『俺』はそんなことを言っていた。あいつは俺の良心だとも言っていた。憎い理由は己に聞けと言っていたが、あいつは知っているということか? もう一度会えば知れるかもしれない。いつも夢の中で会える。今日の夜にでも会えればいいんだが。

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