第15話 これから
家に着いて、俺はヒスイをいつものソファの上に下ろす。ヒスイは運んでいる途中に寝た。頑張って運んでいるというのに、後ろから寝息をたてられるというのは少々うざく感じる部分がある。顔に落書きでもしてやろうかと思ったが、この整った顔に何か書くというのはなんだか気がひけるというか。それに書いたとしても反応も何も面白くないだろう。むしろそれをネタにされそうだ。ここは何もしないほうが吉だろう。俺も眠くなってきたし部屋に戻って寝よう。
*
「めぐるんおはよー」
耳元からヒスイの声が聞こえてくる。またこのパターンか。おそらくベッドに侵入して目の前で話しかけているだろう。ならば取るべき行動は一つ。後ろの下がってベッドから降りることだ。そう思って動くと、どんっ、となにかにぶつかりそのままベッドから転げ落ちる。
「いったー」
背中から声が聞こえる。ヒスイは前じゃなくて後ろにいた。驚きすぎて言葉が出ない。
「めぐるんそんな勢いよくぶつかってこないでよー」
「後ろにいるなんて思わないだろ。いるほうが悪い」
「そんな事言わないでさー。もっと優しくしてよー」
「優しくしない。それよりもあれを成し遂げたんだから能力開花は起きたのか」
「んー、わかんない」
「わかんないって。どうすればわかるんだよ。早く教えてくれ」
「そんな急かさないでよ。うーんとね、じゃあまた前見たく寝転がって。そこのベッドでいいからさ」
言われた通り、前と同じように寝転がる。これでわかるのか?
「寝たぞ。それで?」
「そのまま力を抜いて。そうそう。そしたら指先から何かが漏れていく感覚がない?」
力を抜いてみるが、何かが漏れ出るような感覚はなにもない。
「何もそんな感覚は無い。適当言ってるんじゃないだろうな」
「私は至って真面目よ。そうなると能力は開花してない可能性が高くはあるね。ああ、そんながっかりしないで。まだ、ゼロじゃないから。私の能力で見てあげるから」
「最初からそれで見ればよかっただろ」
「いやー、これは能力の有無しか見れなくて。さっきの方法だとそのまま能力使えて何の能力かまでわかるから」
ヒスイがじっくりと俺の身体を見る。仕方ないことといえ、こんなにジロジロと見られるのは落ち着かない。早く終わらんかな。
「見終わったよ。……能力は使えるようになってない。残念ながらね」
「能力無いって、殺したことが無駄だったってことかよ!」
「無駄というかなんというか……」
ヒスイは口ごもる。いくら殺すことに抵抗がなくなったとしても、無駄に殺すことはいけないように感じている。必要なら殺して良いという考えを持ってる時点で、もう普通じゃないが。
「でも、めぐるんがやったってことはばれないから」
「そういうことじゃねえよ! 無駄に殺しを行うことはだめだ!」
「もう一度しっかりと考えてやれば、絶対大丈夫だから」
「いや、俺は外に出てくる」
そのまま俺は外に飛び出した。頭が多少でも冷めることを願って。
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