マスカレードハーフムーン

星江点火

*1「雪まんじゅうの女の子」①

(お腹空いた…)


***


「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ…」


***


(あーしぬかも…)


***


「あっちだ!逃すな!」

「くっ…!」


***


(腹と背中がくっつく…)


私はスピカ。

お腹がへって大変だ。

その辺に落ちてた瓦礫を齧ってみた。


「うえ、おぇえ」


気持ち悪くなり、道の真ん中で倒れてしまった。

あ、もうダメかも…

ちくしょう…。


「はぁ、はぁ…ッ!?うわぁ!」


私の背中に重力がのしかかってきた。


「ぐは…!お腹が…潰れ、た…」

「あ、ご、ごめんね?こんな所で倒れてるなんて思わなくて…」


遠くから声が聞こえてきた。


「逃げ足の速いやつめ!」

「回り込んで捕まえるぞ!」


「ま、まずい、逃げないと…ぶつかってごめんね!それじゃ!」

「…」

「ちょ、ちょっと、服を掴まないで!」


白くて綺麗な足。

白くて肉付きが良い。

白くてふわふわ雪まんじゅう。


「そこ…隠れて…」

「え?」


指を刺した先に、ダンボール箱があった。



「う…うぅ…」

「くそ、見失ったか…」

「おい!そこの娘!金髪の女を見なかったか?」

「あ…う〜…」

「うん?あっちに行ったのか?」

「うん…」

「そうか、助かった。礼だ」


お金を渡された。

食べ物が欲しかった。

雪まんじゅうを追いかけてた男達は走り去った。


「あ、ありがとう。助けてくれるの?」


女の子がダンボール箱から顔を覗かせた。


「こっち、来て…」

「うん?」


女の子と向かい合う。


「ね、ねぇ…なんで私の足を見つめてるの…?」

「美味しそうな…雪、まんじゅう…」

「えっ?ちょ!ちょっと!」


雪まんじゅうに包まれて幸せな人生だった。

スピカご臨終です。

食えない人生だったッ…。

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