第四話一歩一歩前へ

第四話一歩一歩前へ


私と彩那はスマテンでたくさん買い物をしたので両手いっぱいのカバンに商品を入れて交代交代に錦秋通りまで運んでいた。

三十九分後

「はあ、はあさっき休憩したばっかだから体力回復したと思ったんだけど……さすがに買いすぎたかな……よいしょっと」

「愛海代わろうか?」

「だ、大丈夫彩那に持ってもらってばっかだから……もっと体力つけてれば良かったよ」

私が彩那に遠慮していると自動販売機の前に見知った顔の男性がいた

「お〜愛海ちゃんおはよー、今日も食べ物ないの?」

「高原さんおはようございます」

そうこの男性は私に会うたび食べ物を要求してくる『タカリの高原』として有名だと食べ物を渡したあとに知った。

「今日は……飴ならあるのでそれで我慢してください」

私は"優しい良い人"を演じたくなくてもつい演じてしまいタカられる前に食べ物や飲み物を渡してしまう

私が口をつけたペットボトルの水を飲まれたこともある

いつもは高原さんのペットボトルに水を入れていたのだが、その時は持ってないからと渡してしまった

本当は断りたいし出来ることならあまり関わりたくない

この街には『タカリの高原』『イビリの佐竹』『オゴリの松本』『ネタミの勝俣』の迷惑四天王と近所の人から言われている人間がいる。

私は『タカリの高原』に目をつけられた

……とその話はここまでにしようかな。

十分後

私は高原さんにはポケットに入れていたのど飴を渡した後錦秋通りに向けて歩き始めた。

「ごめんね彩那……私いつもあんな感じなんだ。彩那の前だと素を出せるんだけど、他の人の前だと"優しい良い人"を演じちゃうんだ。引いたでしょ」

すると彩那は怒ったような顔をして

「引くわけないでしょ!! 優しい良い人を演じることの何がいけないの!? 誰だって素を見せるのは怖いものだよ……愛海だけじゃなくて私だって本当は怖いんだよ」

「……本当に?」

「本当だよ……えへへ、怖がってるようには見えなかったでしょ」

「うん、いっつも彩那は周りを笑顔にしてたからさ(私彩那の表面しか見てなかったってことなのかな、それは嫌だな。やっぱり彩那のことは全部知りたい)」

「えへへ、私は愛海の前だと思えばいつもより強くなれるんだよ」

彩那がそう思ってくれてるなんて私知らなかった

私は彩那のもっと知りたいと思い

「ねえ彩那今日から交換日記してみない? 今度は演じず本音でちゃんと書くから!! さっき私もしかしたら彩那のこと表面しか見てないんじゃないかって感じて……思いつくのが昔彩那としたことのある交換日記ぐらいだから……ごめん嫌だよね」

「嫌じゃないよ!! それに愛海は私の表面しか見てないかもって言ってたけど誰だって心の奥の方までは分からないよ!! 分からない中でこうしたら喜ぶかなとか楽しいかなとか色々考えながら付き合ってるんだよ。交換日記のことだって愛海が私が喜ぶと思ってくれたんでしょ……私ね、愛海が私のために時間を使ってくれたことが嬉しいから、そんなに自分を卑下しないでほしいな。それで……いつ交換日記用のノートを買いに行く?」

「そう言ってくれてありがとう彩那……それなら一旦家に荷物置いてから牧場書店行ってノート買おうと思うんだけど……それで出来たらお揃いのノートにしたい。昔彩那が『ねえ愛海せっかく中学も一緒になれるんだからお揃いのノート買おうよ』って言ってくれたのに……あの時私お揃いって言葉に恥ずかしくなって、本当は買いたかったのに意地張って断っちゃったからさ……遅くなっちゃってごめんね」

「……そっか『本当は買いたかったのに恥ずかしくて意地張って断った』のか………えへへなんだか嬉しい(なにそれ、ほんとかわいいすぎるんだけど〜!! 今思えばあれ照れてたんだ……あの時私愛海が怒っちゃったって思って焦っちゃって帰ってからも怒った理由を聞こうとしたけど悩みに悩んで結局聞けないまま今日までズルズルと……これなら聞いておけば良かったかも。もっっっと好きになっちゃったんだけど、どうしようもう!!)」

「うっ、あの時はほんとごめんって……どうして彩那ニヤニヤしてるの?(彩那の笑顔って本当かわいい……ほんとずっと見てたいなんて……そう考える私っておかしいよね)」

「それじゃ愛海錦秋通りに向かおっか……行った後は日記を買うんだよね」

彩那はそういい私に微笑みかけた。

そして私と彩那はさっきの大荷物を持って錦秋通りに再び向かい始めた。

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