帰り道
サラが帰宅すると言うので、俺はサラを家まで送って行く事にした。
佐世に襲われた件があったばかりだし、さすがにサラを一人で帰らせるのは心配だからな。
再び二人きりで外を歩いているが、会話はあまり弾まない。
だけどサラはニコニコしていて機嫌が良さそうだ。
「サラ、その…… プリンを作ってくれてありがとう…… 美味かったよ」
「ふふっ、良かったぁ…… あっ、ちゃんとお義母様にもお礼してね?」
「ああ、言っておくよ」
自分だけじゃなく、母さんにも…… かぁ。
やっぱり…… サラはサラなんだな。
身勝手な俺のせいでサラをどれだけ傷付けたか痛いほど理解した。
それでも尚、一緒にいてくれて、俺の両親まで気にかけてくれる……
「どうしたのカイトくん? そんなに見つめられると照れちゃうよ」
「ご、ごめん……」
サラ…… 出来るのなら、許してもらえるまでずっとそばにいさせて欲しい……
「……お嬢ちゃん」
うわっ!! いきなり声がしてビックリしたぁ…… 背後霊の方のニャン太郎か……
「ニャン太郎ちゃん、お疲れ様…… やっぱり分からなかった?」
「ああ、しばらく様子を見ていたがダメだった、ところで…… 疲れたからちゅるりんペロペロを恵んでくれないか?」
「ふふっ、家に帰ったらすぐにあげるね」
「すまないな、お嬢ちゃん」
しばらく様子を、って…… ニャン太郎は別行動していたのか? だから姿を現さなかったのか。
「あっ、カイトくん、ここで大丈夫だよ」
サラの住むマンションの近くまでもう来てしまったのか……
あれ? 俺…… サラと別れるのを『寂しい』と感じている?
「あ、ああ…… サラ、また…… 明日な」
「ふふふっ、また明日ね…… あっ、でも私も寂しいから夜に電話してもいいかな?」
うっ…… 俺が寂しいと感じていたのがバレたのか?
「ああ、大丈夫だよ……」
「やった! じゃあ…… また後でね、カイトくん送ってくれてありがとう、気を付けて帰ってね!」
「ありがとう…… じゃあまた後で」
そしてサラがマンションに入っていくのを見送ってから、俺は自宅へと帰るために歩き出した。
◇
「うみゃいうみゃい…… ふぅっ、満足した…… お嬢ちゃんありがとな」
「ふふっ、どういたしまして」
自宅に帰ってからすぐ、お腹を空かせたニャン太郎ちゃんにちゅるりんペロペロをあげた。
カイトくんの家にいるニャン太郎ちゃんと同じで『美味い美味い』と言いながら食べるニャン太郎ちゃん。
渋い声だけど…… やっぱりニャン太郎ちゃんは可愛いな。
「ところでお嬢ちゃん、今日は力を使ったから疲れてるんじゃないか? 早く休んだ方がいいぞ?」
「そうだね…… ニャン太郎ちゃんも今日は頑張ったから疲れたでしょ? 早めに寝よっか」
「ああ、いつでも力を使えるようにしっかり休んでおかないとな」
ザーマの力を得た未来からの刺客がいつ現れるか分からないし、力が使えなかったら困るもんね。
でも、寝る前にカイトくんの声が聞きたいな……
◇
真っ直ぐ帰宅すると、仕事を終えた父さんが帰ってきていて、サラと母さんが作ったプリンを早速食べていた…… 母さんを膝に乗せて。
「んー、ママのプリンは美味いなぁ…… しかも今回は沙羅ちゃんと一緒に作ったんだろ? より美味く感じちゃうよー、えへへー」
「そうでしょー? はい、あーん……」
「それにママから『あーん』してもらいながら食べるプリンは世界一美味しいよ、あーん…… 美味い美味い! ママ、今度は口移しなんでどうかな?」
「やーん! パパったらぁー…… しょうがないわねぇ」
「た、ただいま……」
「「か、か、か、廻人!? 」」
しかも向かい合った、いわゆる対面なんちゃらみたいな状態で座り、母さんに『あーん』されながら食っていた……
「あ、あ、あら! 意外と早かったわね! てっきり沙羅ちゃんともう少し一緒にいるのかと思っていたわ!」
「ちゃ、ちゃんと沙羅ちゃんを送ってきたんだろうな? 父さんだったら遠回りして遠回りして送って行くけどな!」
「そうよ! パパと一緒に帰ったらなかなか家に着かないんだから! しまいにはまたパパの家に戻ってきた事もあったわ!」
「ちゃんと送ってきたよ…… はぁっ、俺は部屋に行くからごゆっくりー」
仲が良いのはいいが、良過ぎるのも息子としては困ったもんだな。
はぁ…… 今日は色々と濃厚な時間が多くて疲れたな……
そして今、一番気になっているのは未来の佐世が言っていた『神様』という存在……
サラに力を与えた神様とは別のようだが、未来の佐世が力を得た理由は…… 俺を○すため、という事はその神様も俺の命を狙っているのか?
サラは気にするなと言っていたが、やっぱり気になるよ……
んっ? スマホに着信が…… って、サラ? さっき別れたばかりなのに早いな。
「もしもし……?」
『カイトくん? ふふっ、カイトくぅん……』
サラ、だけど何か話し方がふにゃふにゃしているような……
『今日は大変な事もあったけどぉ…… 楽しかったよぉ……』
「そ、そうだな…… サラ、様子が変だけど大丈夫か?」
『大丈夫ぅ…… ちょっと眠たいだけだよぉ……』
「そうか……」
『私ね…… タイムリープしたけど…… 恐かったんだぁ…… カイトくんに酷い事をして…… 許してもらえないんじゃないかって……』
酷い事って…… 俺の方がサラに何倍も、何十倍も酷い事をしていたんだぞ? しかも一回だけじゃなく何回も、そして何年も…… 許してもらえないのは…… 俺の方だよ。
『でもね…… 最近…… カイトくんと一緒に…… 平穏に暮らせるようになってきて…… やっぱり私は…… カイトくんといられると幸せなんだなぁ…… って……』
サラ……
『カイトくん…… 私はカイトくんが…… やっぱり…… 世界中の誰よりも……』
「サラ! 俺…… 俺…… 今まで本当にごめ……」
『すぅ…… すぅ……』
「サラ?」
『…………』
もしかして…… 寝ちゃった?
「もしもし?」
『…………』
返事はなく、サラの寝息っぽい音しか聞こえなくなってしまった。
でも…… 顔を合わせず電話で謝るのは卑怯だし違うよな。
今のはサラに聞かれなくて良かったのかもしれない。
そして俺は少しの間、サラの寝息を聞いてから通話終了とタップした。
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