第10話 ある女性の依頼/刑視隊隊長
「お、来たな」
道の向こうから多くの人を引連れて刑視隊が現れた。
「よ、刑視隊隊長様」
「その呼び方はよせ」
俺の声に反応したのは身長がかなり高く、それでいて若くてイケメンな男である刑視隊隊長のゾークさんだ。
「例の合図が見えたんでな、急ぎはせ参じた。今回も派手にやったようだな。岸尾、園田」
「いや、この破壊跡は俺らのせいじゃねぇよ、とりあえず今回の異世界転生者は捕縛しておいた。それよりも不安なのがそこら辺に転がっている人達だ、みんな衰弱してる」
「ああ、うちの隊の医療班に任せよう、なにか伝えることはあるかね?」
「話が早くて助かるよ。とにかく栄養と、マッサージしてやってくれ、飯を食えず無理に体動かされてボロボロのはずだ」
「わかった、伝えよう」
「にしても刑視隊は僕の合図を見つけるのがはやいよね」
「それはお前のために見張りをつけているからだ、園田。それに、岸尾から連絡は事前に受けている」
そう、ゾークさんはそういう男だ。いつも俺らの力になってくれる誠実な男。彼も異世界転生者であり、ギフトを持っている。獣化といい、獣の本能と技と能力をその身に宿す。
「本来であれば何でも屋の力を借りずとも私たちでどうにかしたいのだがね」
「そいつぁ無理だろうな、そもそも相棒がこの手の事件に向きすぎているし、刑視隊のギフトじゃあ、魔物討伐の方が向いているしな」
「私のやり方では殺すしかできんからな、私のギフトである獣化は強いが、護衛と捕縛には向かん。これからも頼りにしている。2人とも」
「異世界転生者なのに助かるよ、こちらこそ僕と晟をよろしく。ゾークさん」
「なに、前世も似たような仕事で使命を全うしていたのだ、造作もないさ」
「っ……あ……」
「お、目ェ覚めたか」
ローレが気絶から回復したようだ。
「私……縛られて……!くっ、こんなもの、私のギフトで……!ギフト、で……?」
そこで異変に気がついたらしい。
「なぜ、なぜだ。なぜ鎖が出ない!」
「悪いね、君のギフトはもう分解済みさ、これからは一般人、いや、ただの犯罪者として生きるんだ」
「なっ……!」
ローレはうなだれた。
「ローレ」
「シエル ……様……」
「あなたの愛は本物でしょうけど、悪いけど許すつもりはありません。牢屋で罪を数えてきなさい」
シエルさんがローレに言った言葉は、氷柱のように冷たく、ローレの心に突き刺さったようだ。
「連行する、いいかね?シエルさん」
「ええ、お願いします」
「シエル様……!」
ローレはゾークさん率いる刑視隊に連れていかれた。
「さて、事件をまとめに一度何でも屋に戻ろうか晟。シエルさんも着いてきてもらっていいかい?」
「はい」
俺ら3人は、何でも屋へと足を進めた。
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