バイヤーMの電波的日常R

ミナトヤナツ

第一回「バイヤーMになる為にはーその1―」&第二回「電波的日記」

■第一回「バイヤーMになる為には―その1―」2004.6.28


中学生の頃の夢は、「某コミック専門誌で18禁マンガの批評を書くひとになりたい」でした。それから幾星曆、紅顔の少年はいつしか白面の青年に成長し、バイヤーMと名乗ってこうしてWEBぺージで連載コラムを持つまでに至ったわけです。


「18禁マンガの〜」という部分は、様々な説得、妨害、泣き落とし等の諸事情により成就しませんでしたが、いわばバイヤーMは子供の頃の夢をかなえた人生の成功者であり、トーマス・エジソンやジョージ・ワシントンに匹敵する偉大な立志伝中の人物として、多くの若者に夢や希望を与えたのは間違いありません。おそらく今も、第二、第三のバイヤーMを目指す少年少女たちが、ドリームズカムトゥルー〜夢はきっとかなう〜を合営葉に、たゆまない努力を続けていることでしょう。


そこで記念すべき第一回では、少しでも明日のバイヤーMを目指す若者たちの指針となるべく、いかにして私がバイヤーMになったのか、そしてどうすればバイヤーMになれるのかについて、実践的な用例を踏まえて解説していきたいと思います。

さて、あなたがある日バイヤーMになりたいと思い立った時、一体何をすべきなのでしょうか。


まずはコミゲー(編注:コミック情報に特化した号外チラシ「コミックゲ○マーズ」の事。マスコットキャラに名前をつけた途端、フロムゲ○マーズ本誌に吸収合併された)を作ることです。たとえフロムゲ○マーズというれっきとした情報誌があろうとも、予算がなくて一色しか刷れなくても関係ありません。文章経験も編集経験も一切ない状況で、デザイナーの女の子とたった二人で作るハメになっても、決して臆してはいけません。当然記事からコラムから全て一人で書くことになりますので、社内からは同人誌みたいとか、掲示板の書き込みレベルの文章だ、といった心ない言葉が投げかけられますが、本当のことなので仕方がありません。とりあえずはそれが味なんだと言い張っておきましょう。


自分で好き勝手できる媒体を手に入れたら、いよいよ本番です。今度はその誌面上で勝手にバイヤーMと名乗って自分のコーナーを作るのです。

醜い、目が腐る等の罵詈雑言を浴びせられながらも、キメキメに決めた自分の写真を無理矢理載せて、別に立ってもいないのにキャラクターが立ったと思い込みましょう。


そう、これであなたはもう8割がたバイヤーMになったも同然なのです。

簡単すぎてびっくりしましたか?


あとはスキを見つけては、メルマガ等のどんなささいな文章でもバイヤーMの署名を入れ、別に自分に依頼があったわけでもないのに、勝手にコラムを書いてはH.P.担当に送りつけたり、さも別の人間が書いた様に装って、WEBページでバイヤーMの話題を振ってみたりして下さい。また人と会う時は必ず自己紹介の冒頭に「バイヤーMでおなじみの…」と付けることも大切です。先方も何せ初対面ですから、たとえまったく知らなくてもとりあえずはあいまいな笑顔で「ああ、あの…」とか合わせてくれます。そうすれば一緒に同席した上司も、(こいつ意外と社外でも評判になってるのかも)と評価を改めること請け合いです。


そしてそういったことを積み重ねていく内に、いつしかあなたがバイヤーMであることに誰も疑念や異論をはさまなくなっていくのです。


もうこうなればしめたものです。


大事なのは頼んでもいなかったのに、別に必要じゃなかったのに、それでも構わずやっちゃったという心意気です。


確かに仕入れ担当としてのバイヤー能力には何の関係もありませんし、人間としてはただのダメな奴です。しかし、間違ってはいけません。あなたが目指しているのはバイヤーではなく、バイヤーMなのです。


人生は常に「言った者」「名乗った者」勝ちなのだということを忘れないで下さい。

最後に処世訓のようなオチもついたところで、今週はこれぐらいで。

次回はそんな偉大なバイヤーMの人格が、いかにして形成されていったかに迫ります。


■第二回「電波的日記」2004.7.5


前回の吿知では、連続5週間に渡ってバイヤーMの生い立ちや半生をみっちりとお届けする予定でしたが、H. P.を読んだ方々からの「誰もお前の話なんて聞いてない」「あまりにも電波すぎる」等々の暖かいはげましや鋭いご指摘を多数頂きました結果、今回からはバイヤーMの一週間の出来事を中心に、日記形式でお送りする形に変更することにしました。

決して長い文章を考えるのが面倒くさかったわけでも、ネタが無くて困ったわけでもありませんのであしからず。


6月28日(月)

バイヤーMの電波的日常第一回更新。びっくりするぐらい非難轟々。以下寄せられた感想の数々を抜粋。

「ま、いいんじゃない。どうでも」(向かいに座るよろず仕入バイヤー・ベジタリアンF氏)「……(なぜか困った顔で苦笑い)」(直接の上司・A課長)「普段のお前と一緒じゃん」(日本でトップ5に入る関襟シャツの似合う男・H課長)「タイトルがダメね」(フロゲー担当・Kさん)「中学生でこんな夢を持ってる時点で人生ダメダメだよね」(商品開発のトップK女史)

極めつけが我が社のトップ中のトップのこの方の発言。

「キャラショーでバイヤーMのサイン会やるか。3人、いや5人ぐらい集まるだろ」

…何か逆鱗に触れたんでしょうか…。


6月29日(火)

後藤沙緒里さんと菜の花すみれ先生の全国イベントの企画書を提出するも、タイトル案が却下に。「ぶらり女ふたり旅・みにふぇあ2発売記念全国ツアー」いいタイトルだと思うんだが…。


6月30日(水)

あんなに煽ってておきながら、メルマガでGAあにまにあのタイトルを入れることを失念。今日配布分で訂正を入れることを約束するも、さらに忘れる。あ、向こうから商品開発のS女史が阿修羅の如き形相でチェーンソーを!?次回の季刊デジの吿知で必ず!必ず入れますから!!ああッ!(結果は水曜配信のメルマガで)


7月1日(木)

午前中、Y部長のお供で恵比寿のMーベラスエンタテイメントに。アレがアレでなんとアレがアレなんだってねー。いやー、言えねえ言えねえ。午後、K川書店の定例会に出た後、S年画報社に。フェアの話をした後、F編集長とマンガやアニメのよもやま話。前日たまたま読んでた「Dr.モローのリッチな生活」に出てくる、性欲魔人フ○タニンのキャラが頭の中をグルグル回る。いや、本当に立派な方です。尊敬してます。今度こそ一緒に行きましょう、バニーちゃんのいる店。


7月3日(土)

アニメーショングランプリ発売記念の飯塚雅弓さんのイベントで秋葉原の本店に。今まで飯塚さんが、ゲ○マーズでイベントを行ったことがない事を知って驚く。考えてみれば書籍で声優さんを呼んでイベントを開くなんてほとんどないからな一。イベント自体は盛況のうちに終了。帰りがけに「マリアナ伝説」「新・土曜ワイド殺人事件」「たかまれ!タカマル」「NHKにようこそ!」の新刊を本店で購入するも、精算時にカードが停止していることが発覚。本店書籍担当Mに金を借りて事なきを得る。本当に自分が全国20店舗を統括するチェーン本部の書籍仕入担当なのか疑問になる。


7月4日(日)

更新日前日。なんでこんな直前の話がここに載ってるんでしょう。ちなみに火曜入稿のコミゲーコラムも手つかずです。

ああ!今度はフロゲー情報ページ担当の新卒K娘が般若の如き形相で薪割り用の斧に手を!?


ではまた来週。

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