第8話 私が家族を愛す理由
私は、両親の事が好きだった。父は、国で1番有名だったギルドのマスターをやっていて、母は魔術の名門校の教授をやりながら魔術についての研究をしている"魔学者"だった。
そんな両親の口癖は、「魔術を究めなさい」だったのだけれど、当時の私にはどういう事か分からなかった。いや、正直未だに言葉の意味を模索中だ。
私は、私の事が魔眼などを含めて好きだった。左目は大好きな父と同じ、青色の眼をしていて、右目は大好きな母と同じ緑色の眼をしているの。自分ではあまり分からないのだけれど、きりっとした顔つきは父に似ているらしくて、髪色は母と同じ真っ赤で綺麗な色。色んな事にチャレンジする精神や少し突っ走ってしまう性格は母に似て、料理が得意なところや運動が得意なところは父に似て……魔法の腕は、正直どっちも凄いから、どっちに似たのか分からないや。
……でも、あの日のあの事件から私は、青い眼をした父が、緑色の眼をした母が……
……2人から受け継いだ魔眼を持った私自身が、2人と過ごしたあの日常を思い出すのが嫌になった。
第8話 私が家族を愛す
「パパー!わたし、またあたらしいまほうおぼえたのー!」
当時7歳だった私は、まわりから見ても、魔法の事がすごく好きな子供でかなり熱心に自分なりの研究をしていたと思う。それは、父や母の影響もあるが、強制されていたとかではなく、単純な両親への憧れと、ちょっとした遊び感覚のものだったのだけれど。
それでも、両親に魔法を見せると褒めてくれて、それがとても嬉しくて……多分、そういう積み重ねが無意識に成長を促していたのかもしれない。
「おお!凄いじゃないかナナミ!これは将来立派な魔法使いになって最高のギルドマスターになれるかもな!」
「むー!わたしはパパのギルドにはいりたいのー!」
父は顔を赤くしながら、すごく嬉しそうにそっかそっかぁと照れている。こんなやりとりを父と私はよくしていた気がする。
母は研究が忙しく、ほぼ家に帰ってきていなかったが、必ずイベント事があると無理をして休んでくれたり、休みの日は極力私の魔法の成果を見て褒めてくれたりした。家族が揃ったときはお出かけに行ったりもしたなぁ……それが私の、我が家の日常だった。何不自由は無かった……
そんなある日、また、久しぶりに一家が全員休みで、我が家で談笑していた時に、一通の手紙が届いた。
「……ねえ、パパ。これって……」
母の深刻そうな顔を見て、なにか悪い事が起きたことだけは明確に分かった。
「ん?どうしたんだ、ママ?……なっ、これは……!!」
「……私も、きっと戦闘員として参加しなくちゃよね……」
「……ああ、だが、その場合この子は……なあ、ナナミ。これからとても大事な話をする。真剣に聞くんだぞ。」
その時の私は、いつも見ている真っ直ぐな父の瞳が、ほんの少しだけ濁っていたような気がしていたのを覚えている。そして、その瞳が微かに潤んでいた事も。
「……俺達はな……魔術協会に呼ばれていて、今から本部へ行かなくてはならないんだ。それもいつ家に戻って来れるか分からない。だから……しばらくナナミを1人にさせてしまう。その間、寂しい思いをさせてしまうかもしれないし……もしかしたらその……いや、どんな事があっても必ず戻ってくる。もし困った事があったら、父さんの知り合いのギルドの人たちに今から暫く面倒を見て貰えないか掛け合ってみるから、その人たちを頼りなさい。……良い子にしているんだぞ。」
「……?うん、わかった!パパとママがもどってくるまで、いいこにしてまってるね!」
当時、子供だった私は知らなかった。あの二人が魔術協会に呼ばれるということが、どういう意味を持っていたかを───────
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