第3話 不器用

 停電五日目。


 今日はエネルギー省発電局の見学だった。

 しかしエネルギー省も学校もそれどころじゃなく中止となった。


 父は寝坊し、母はパジャマで世界の朝は子供に支配されたようであった。


「お兄ちゃん、今日本当は校外学習だったよね…」

「ああ、でも中止になったよ」

「そう、カッコいい人とかいるんだってね…。この前のドラマって、整備部の技師の話しだったよね…」

 ドラマなんか見ないのに…


 一週間が過ぎた。

 大人達の顔は青くなり、有線放送は避難を勧めた。


 子供達はそれなりに半日授業を楽しんでいた。とにかく半日我慢すれば学校は終わるので、集中して勉強していた。体育もなくそれ以外の科目の遅れはないようだった。


「宿題も多いし…でも家に帰ってもそれ以外やることないしね…」

 タカはつぶやいた。


「勉強がすすむわけだよ…」

 本や参考書、問題集が売り切れた。

 誰か気楽な大人が言っていたな。

 暇になった体育の教師だ。


「子供のほうが順応力がある」

 違うよ、大人が不器用なだけなのに…。

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