どこの世界におばあちゃんと一緒に魔王退治にいく奴がいる!

GT

第1話 彼らは冒険者

 とある異世界の森の奥。そこには、エルフと呼ばれる美しい容姿の種族が住んでいた。

 しかし、平和であったエルフの里に突如、魔物の一座が襲撃。里は火の海にかえられてしまう。


「た、たのむ!これ以上里を、我々を殺さんでくれぇ!」


 髭の蓄えた長と思われる男が、醜悪な外見の魔物を説得しようとする。すると、魔物中でも特にタッパがでかく、豪勢な鎧兜をつけた、リーダーと思わしき魔物がニタニタと笑いながら、条件を言ってくる・


「ならば、月に一度。エルフの娘を俺らに献上しろ。それで勘弁してやるよ。」


「そっ、それでは我々は滅んでしまいます。」


 エルフはそもそもの数が極端に少ない。そんなところにこんな条件吞み込めるはずがなかった。しかし、このままでは全滅だ。


「……くっ!」


 長はその条件を吞み込むしかなかった。それしか彼らの生き残るすべはなかった。

 それから数か月が、過ぎ、何人ものエルフの娘が彼らの元へ旅立っていった。そして今日、新月の夜。新たな娘が生贄としては出された。


 ────────────────

 約束の新月の夜。とある深い森のなかに麻袋をかぶされ、腕をロープで結ばれた少女が立っていた。

 そこに現れたのは豚のような顔にブクブクとデカくなった醜悪な肉体をもった、俗に言うオークと呼ばれる者たちであった。


「げひゃひゃひゃ!今度の娘っ子は随分と小さいのお!」


 娘を回収しにきた、魔物が下卑た顔を浮かべて嘲笑う。だが、実際その娘は本当に小さく、胸・腰・尻その全てが人並みであり、あのエルフの女とは思えぬ体格であった。魔物ほどの力あれば簡単に持ち上げられてしまう程の体格である。


「前のは、胸はまあまあだったが、尻はよかったのによぉ。質が落ちたな、エルフどももよぉ」


 少女は物静かであったが、静かに震えていた。頭には麻袋をかぶされ、麻袋の陰から見える銀色の美しい髪色をしていた。銀髪のエルフなどという王道中の王道属性は彼らの下卑情欲を誘った。

 担ぎ上げられてからしばらくして、奴らのアジトと思われる洞窟にたどり着く。

 そこには、十数頭の魔物が様々なひどく不衛生な環境下で女性たちを犯していた。エルフ以外にもヒューマンや獣人など、おそらくは他の村々から集めてきたであろう少女たちが全身を凌辱するクソの煮え溜めのような環境だった。


「酷い匂い……」


 連れてこられたエルフはそうぼそりと呟く。すると、癪に障ったのか、魔物のうちの一匹が、少女の腹めがけて、その拳を振り下ろす。


「うんじゃぁは、おめぇも染めてやるよ」


「おいおい!プレイ始めんにはと、はえーぞ!」「お手付きかよ!げひひ」「ボスの前に、おめぇが手を付けるのかよぉ!」


 野次馬どもはゲラゲラと笑う奴らは、仲間もろとも少女を襲う。少女の幼い肉体がけがされそうになった時、襲おうとした魔物の動きが止まる。


「あれ、おかしいな?」


「おいおいどうした!EDかぁ?」「萎えんなよ!」「おめぇのごりっぱ様をはやくみせつけろ!なぁ!」


「いや、いやおかしいんだよ。」


 男は自身のまたぐらをゴソゴソと探るが見つからない。


「……貴様のごりっぱ様とやらは私が奪った」


 入口の方から若い男の声がする。よそ者の声だ。女にかまけていたものたちも、みな、一斉にそちらの方を振り返る。


「誰だ!貴様はぁ!」


 誰かがそう言うと、その男は名乗る。全身を黒の装束でつつみ、首から上は陰になってしまい見えないものの、首に青いマフラーをたなびかせた男がそこにガッツリ決めポーズをバシッと決めながら立っていた。


「コンバンハ。ニンジャです。ガリュウ忍術使いの『ハザクラ・ニンジャ』だ。少女たち。君たちを救うために私はやってきた。オーク共。貴様を懲らしめるために私はここに赴いた。」


 余りにも、その場には似合わない異様ないでたち。そこにいたもの達はみな一同に呆然とそのニンジャ?とやらを見てしまう。。オークもエルフも関係ない、余りにも唐突すぎる。凌辱真っ最中の奴らもすっかり止まってしまっていた。


「このありよう。わが師より受け継いだ術。【ザ・サプライズ・ニンジャ】は。見事に決まったようでござるな。」


 サプライズニンジャなどという訳の分からない言葉を使うそいつにオークは若干の恐怖を覚えながらも静かに間合いを読もうとする。

「訳の分からんやつだ!KY野郎だがまぁいい、要はおめぇは俺らの敵なんだろ?」

 ニンジャはシュバッと独特なポーズを無駄に洗練された動きを決めると啖呵をきる。


「如何にも!拙者は貴殿ら討伐のためにここへ参った!覚悟せい!」


 すると、息子を奪われたオークがそこにいた銀髪のエルフの髪を乱暴に持ち上げ、そのばにあったナイフを突き付けニンジャを脅す。


「一歩でもそこから動いてみろ、この女をぶっ殺すぞ!息子の仇!とったるわぁ!」


 これには流石のニンジャも手を出せない。近づくことは、簡単だが、自身が一撃を入れる間に彼女は殺されるやもしれない。


「そう。貴殿に私は攻撃できない。今すぐここにいる少女たちを解放し、自分たちも真っ当に生きていくというならば、私は君たちに危害は加えないでござる。」


「笑わせんな!おめえ見てぇなクソガキの脅しに屈するほどやわじゃねぇよ!」


 その言葉にオーク達は軽く笑い飛ばす。自分たちの罪への意識などないかのように。

 ニンジャは顔を覆うマスクを外す。それと同時に僅かな月明かりが彼の顔を青白い薄くさらりとした光に照らされた。


「今のが最後通告だ。容赦はせん。」


 その髪色は優美な銀色であった。オークは今自身の持っている髪の色を思い出す。


「銀色の髪……まさか!」


 ふと下を見ればそこに手の鎖は粉々に砕け、女の手を包み込むように、青い稲妻が音を立てる。

 オークが最後に見たものは、少女の手のひらと青い稲妻だけであった。

 その稲妻はオークの顔面を焼き切り、一撃で仕留めてしまう。仕留めた後のひりついた返り血を顔面にあびたその顔は少女のそれではなかった。獲物を殺しにやってきた、強者の瞳をしていた。


「まっ、生娘って歳でもないがな」


 ぼそりと彼女はもう動かないオークに呟く。その場にいるオークのほとんどは、生物的な本能により、そいつがただの売られた女でないことを理解する。


「てめぇらグルだったのか…」


 その場にいたオークのうちの一体がそう愚痴をこぼす。二人は無反応であったが、外敵証拠から、間違いなくこいつらが組んでいることは明確であった。


「だからなんだい?あんたらが外道なように、こっちこっちで手段の選ばぬ口だっただけよ。己の因果を呪いなスケコマシ!いや、レディの扱いがなっていないからスケコマシ以下だねあんたら。」


女は乱雑に扱われた髪の毛を手でとかすように整えながらそう言ってきた。

 こいつらはなんだ。にんじゃ?はともかく、あの一撃でオークを鎮められるエルフはやっかいだ。女どもを取り返すように頼まれた、ただの始末屋だろうが、同じパーティーのメンバーか?いやしかし、銀髪などという珍しい髪色を対象から外すわけにもいかない。兄妹?親戚?はたまた親子?しかし、片方がエルフなことを考えると、そのどれもが十二分にあり得るライン。


「こっちが先に手を出してしまったでござるからな、降伏するか否かは貴殿らに任せるでござる。」


 その言葉を聞いて銀髪ガールは少し、イラついた、不服そうな顔を浮かべる。


「おい。こいつらはこれまでの幾つも村を襲って、そこから金も女も子どもも奪ってくろくでなしじゃぞ。情状酌量予知なぞないぞ」


 オークからすれば、この状況はチャンスだ。いままで自分たちが行ってきた悪行から考えればその場で処刑すら生温い。そこに来た、生きてここからされるチャンス。捕まずして、何がオークか。いくらでもやり直す方法はある。

 その場にいた、オーク共の大半はここで降伏を選ぼうとしていた。彼らは生き残る事に全力をかける。生き残れば、命一つあればいくらでも打つ手はある。


「派手なこんばんはだなぁ!お客さん!」


 奥の方からヒョイと顔をだした男の姿があった。そいつの種族はオークであったが、ほかのオークと比較しても体格は一回りはでかく、更にその肌は動脈を切った時のように濃い赤をしていた。


「ここの頭やってる。バガラってもんだ。うちの下の者が世話になったな」


 男の目線はニンジャではなく、自分の部下をついさっき殺した銀髪ガールに向いていた。


「来世で部下にいっときな、『女の子は丁重に扱え』ってさ。」


 オークはそれを聞いて、少し奥歯がガチリ、ガチリとならす。


「そいつはすまんかった。しかし、それを伝えるのは、俺からすればそっちの方が早いと思うぜ、BBA」


 この時。他のオーク達は自然とその手に武器を握っていた。群れの長がきた。リーダー・ヘッド。何でもいい。いまここに群れの全てを掌握するボスが現れた。彼らはそれだけで、今までの自分の考えなぞ変えられる。頭が黒と言ったら白でも黒なのだ。


「やはり、魔物は頭領が来ると変わるでござるな。いままで下衆な目の色しかしていなかった連中がもう戦士の目に変わっているでござる。」


「だからわたし言ったろ!さっさと仕留めろって!」


 そうな、二人の口論を背に、奴らは今にも攻め込んできそうな勢いでこちらを睨みつける。


「さぁ、おっぱじめようぜ?」


「いや!いきなりの戦闘はまったでござる!!」


 しかし、そこでニンジャがまったをかける。


「少々、私めのお話を一つ。いえいえ!退屈はさせませぬ。コホン。バガラ。パーネ地方で野党の頭をやっているオークの男……」

「活動は約三年前。主に小さな農村を襲い、そこから金品や売れそうな女・子供をさらい、凌辱し、人買いに売り飛ばす。」


 ニンジャが唐突に語った内容に噓偽りはなかった。


「この集団の中では、唯一魔法の使え、魔法の名称は不明。しかし、効果は自身の皮膚を鋼鉄へと変化、並大抵の魔法・武具による攻撃が通じなくなる。無敵の魔法……」


 するとバガラはにたりと笑い。ニンジャの話を遮り、自慢げに語りだす。


「よく、調べたな、ほいじゃぁご褒美に見せてやるよ。俺の魔法をよぉなぁ!」


 その一言と共に奴の体はみるみるうちに、鋼のボディへ変化を遂げる。


「この姿になれば魔法も攻撃も通用しねぇ!女!残念だったな!」


 ものは試しにと銀髪ガールがジャブで、手のひらの上で出した火の球を投げつけてみるが、全く聞く様子もなく。ケロッとしていた。


「残念ながら大マジよ!効かないのよ、これが!」


 チッ!と、銀髪ガールの舌打ちが響いた時。かしこまった様子でニンジャが最後に一言言いたげにバガラの方をみる。


「なんだ?」


「いや、最後一つだけ、バガラさんに言いたいことがあるのでござるよぉ」

 

 みなが、頭に?を浮かべたとき。ニンジャは一言だけ言う。


「やはり、赤ちゃんプレイは流石に威厳も崩れるし、何より趣味が悪いかと……」


 それはバガラが、誰にも覗かせない部屋に監禁したお気に入りの女とだけやるプレイ。今まで誰にも知られたことのない。奴唯一の汚点。


「きっ!貴様ぁ!なぜそれを!」


「ニンジャの本懐は!密偵と情報収集でござる!」


 怒りに震えるバガラの声にもならない叫びと共に、オーク達はこちらに向かって、突撃してくる。その数20は超える。そんな数は二人にはさばけない。


「ニンジャに秘密を知られちゃ負けよ……くらえ!我が秘儀!我が叡智の結晶!魔道具!『針千爆』!」


 ニンジャが印を手で結び、それを唱えたときに術は発動した。その瞬間にここにいるオーク肉体が大きく膨張したかと思うと、そのまま膨張は大きくなり、限界点を突破した時、その体は粉微塵に吹き飛ぶ。


「針千爆。予め体内に仕込む針状の爆弾を一斉に爆発させる術。いくら肉体が鋼鉄だろうが内部まで変わらねばこの術はどうにもできまい。」


 そこには、体内がぐちゃぐちゃになりながらも、皮一枚で原型を保っている、いや粉微塵になれなかったバガラの姿があった。


「てめぇ、いつから……」


「随分と前から。それ以上は企業秘密でござる」


 ボスである自分の最大の秘密が漏れていた時点で警戒すべきであった。バガラは自らの愚行を笑い。それだけ聞くとがくりと首を落とし男は絶命した。野盗の最後なぞこんなものであろうがにしったて酷いやりようだ。


「サクラ。この術以後禁止よ」


 銀髪ガールは静かに死体のほうを見ながら、ニンジャにいう。ニンジャのほうは自分はサクラなどという軟弱ものではなく、ハザクラというエリートニンジャなどという妄言垂れたが、彼女の「……いい?」の一言の覇気におされ、渋々承諾していた。

 そんな、二人に近づく、何名かの少女たちのうちの一人であった。彼女らからすれば、こいつらもオーク共と同じように映っていたのかもしれない。自分勝手に自分らの運命を決めようとする存在。そんな者たちに彼女達は恐怖を覚えていた。


「………あなた達は、一体……?」


 そんな、少女の言葉にニンジャは特に気にする様子もなく、「正義の味方だ。」と軽く答えた。その後に付け足すように、銀髪ガールが「まだ半人前だけどねー」と軽口を叩いた。


「依頼できた一冒険者。それが拙者達でござる」


 風変わりな冒険者。それが彼らであった。





 ────────────────


「先日は本当にありがとうございました!村の娘たちを助けて下さり感謝しきれません!本当にありがとうございました!」


 とある、エルフの里にて、そこに住むエルフ総出で、礼を言われ、見送られる二人の陰があった。片方のは、ひとめ見た印象は子供ながらその立ち振る舞いに年季を感じる銀髪でエルフの少女。

 もう一方は少女より背丈は高いが、男性としてみると少し物足りないタッパで白っぽい色の髪色をし、ラフな恰好をしながら、その背には大きな自身より一回りはでかいであろう荷物を背負った、青年であった。しかし、青年は嬉しそうに、すこし弧を描く木をもってウキウキとしていた。


「サクラ~本当にそんなものでよかったのか?金…とまでは言わないが、もっといいもんあったじゃろう?」


 銀髪の少女がそう言う。どうやら青年の名前は「サクラ」というらしい。どうやら彼、サクラがもらってきたのは、ただの木の棒ではなかったが、どこか異国の地から流れ着いた一振りの剣であった。


「ばあちゃん。わかってないな~。こんな綺麗な状態の「ニホントウ」なんて滅多に見かけないぜ!それに、こいつを腰に指して、坂手持ちでもしてみろぉ!俺のニンジャレベルも上がるしいいじゃない!」


「まぁ、それはええが。戦闘中にあの変な衣装に着替えて変な語彙になるのどうにかできんのか?」


「ばあちゃん。わかってないなぁ!あの格好なのがいいのよ!


 そんな会話をしながら、彼らは今日も人助け。

 ニンジャみたいなアサシンの孫とロリッ子体系の万年成長期のおばちゃんの奇妙なパーティーの旅というのはここからスタートしていく。







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