第47話 カラスに対局相手の交代を尋ねたら
「そうか…福岡さんが、そう言っていたのか…」
番組の関係者に加えて、第3局の立会人である藤木九段、そして
番組スタッフが嘆く。
「特番のお好み将棋の番組だったら、リレー将棋ってのも一興なんですけどねえ」
リレー将棋とは2人以上の指し手が、交互や数手おきに入れ替わって指す将棋だ。組み合わせによって棋風が大きく異なる指し手が入れ替わるような状況では、不得意な戦法を指すことになったり、思惑とは違った玉の囲いになったりすることもある。そんなちぐはぐな状況を楽しむ面があるため、将棋の特別番組などで企画されて度々指されている。
「壬生先生につながりました!」
「ああ、代わるよ」
藤木がスタッフからスマートフォンを受け取る。
もちろん相手は日本将棋協会の会長である
「ええ、そんなわけで、どちらも囲いが終わって中盤の入り口で…」
状況を説明する。
「はい、周りにいたスタッフが『石川さんにお願いしたい』と聞いたそうです。ええ…」
藤木は壬生と話しながら、チラリと石川を見る。
「石川さんは引き継ぐのはOKだそうです。はい…」
藤木のやり取りを、すぐそばで聞いている石川が強くうなずく。
女流棋士からの代表を決める際、協会におけるあっち向いてホイ勝負で福岡に負けたのは心底悔しかった。
例え福岡の将棋を指し継ぐような形であっても、ぜひクロとは指してみたいと思っている。
「はい、はい、ええ、それでは」
壬生との話し合いを終えた藤木は、スマートフォンをスタッフに返した。
「クロの飼い主である馬場さんと鈴香ちゃんに了承を得られるか。そしてクロが相手が代わることを理解できるか。それをクリアできれば対局を継続する。ダメなら第3局は中断、とのことです」
スタッフもうなずいた。
「こちらとしては続けたいですが、その辺りが妥当ですね」
馬場と鈴香を呼びに行ったスタッフが、2人と、そしてクロを連れてくる。
藤木は2人に指し継ぐ条件を説明したうえで、対局者の変更が可能かを尋ねた。
聞かれた馬場は「さすがに自分では何とも判断できません」と鈴香の顔を見る。
「私は大丈夫だと思うけど、ねえ、クロはどう?」
鈴香はクロに尋ねる。
クロは「大丈夫だ」と言いたげに「クワア」と鳴いた。
「よく分からないけど、何だか良いみたい」
それを聞いた藤木九段が「じゃあ、やってみますか」と再開を決めた。
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