06 クエスト
「ええと、クエスト? それと、離脱って??」
思わず聞き返す僕に、シャルロットは
『“クエスト”とは、【
シャルロットの
『あなたは、現在発生中のクエストにおいて、
「は、はあ……」脳裏に浮かぶ
『はい、そうですニャ。そして、“離脱”は、このアサイン状態を取り消す事を意味しますニャ』
「………」
ダメだ、よくわからない……。
なんとなくの意図は読み取れるのだが、
うーん。たぶんこれ、最初から全部聞いてみない事には、理解できなさそうだ。
僕は、思いつく限り、シャルロットに質問をしてみる事にする。
「――ごめん。今の状況を、わかりやすく教えてくれるかな? つまり、――僕は、どうして魔法少女になってるの? クエストとか、魔法少女契約とかって何? それから、――僕はもとに戻れるの?」
『承知しましたニャ!』
そうして次には、
*
『――というワケですニャ』
「……うおお」呻きながら、
……だいぶゲンナリ、頭が痛いものの。
しかしようやく、状況をあらかた理解できた。
「えーと、シャルロット。いったん整理させてね」
『はい、もちろんですニャ』
僕は、ぐぬ~、と呻きながら、
まずはいったん、理解した内容が正確かどうか、シャルロットに確認しておきたいからね……。
――ゴホン。
さて、僕の理解は、次の通りである。
「まず、……僕は魔法少女になった、と」僕は、黒いロリータ衣装の
ちなみにこの衣装、改めて見ても、やっぱり可愛らしい。
高級感のある生地だけど、体を揺らすと、ほわほわとするんだよね~、――うん、それは置いといて。
『はい、そうですニャ』とシャルロットの肯定。
「オーケー」僕は、こめかみに手を当てる。「で、担当カラー【桃】、――ええと、ピンク色っぽい魔法少女かな。確か、“れーな”って名前だっけ? その子が勝手に、僕の代理で魔法少女契約を結んじゃって、僕を魔法少女にした、――ってコトだよね」
『おっしゃる通りですニャ!』
『補足として、――魔法少女契約とは、人を魔法少女として覚醒させ、変身できるようにする契約の事ですニャ~。これにより、えにし様は、魔法少女への変身と、【魔法】が使えるようになり、代わりに、人類の敵、――【
「うん、そこも了解。……で、【
『はい、そうですニャ。参加可能人数に空きがある限り、受諾した魔法少女が、対処担当としてアサイン、――つまり、対処する権利を
「うん、ありがとう」
よし。ここまで、理解に相違はなさそうだ。あとは――。
「……それで、僕はいま、数十分前に、
『はい、ご認識の通りですニャ』とシャルロット。
「なるほど、……ありがとう」
ちなみに、『アルトなんとかハブ』とかいう横文字については、よくわからなかったので、理解を放棄した。とりあえず、クエスト発行とか、その他
まだちょっと頭を整理中だけど、……とりあえず、シャルロットの言っている事の要旨くらいは、ざっくり頭に入った。
なんなら、一言で簡単にまとめちゃえるかもね。
『隣町に、【
さて、ようやく最後の確認だ。
そして、ここが一番大事な点である(僕にとってね)。
「クエストの、えーと、クエスト完了、失敗、離脱のいずれかで、――変身が解除される、つまり、
『はい、ご認識の通りですニャ! アサインされた担当は、『魔法少女への変身』が許可された状態となり、クエストの終了または離脱をもって、変身が解除され、もとの体に戻りますニャ』
「なるほど、……ありがとう」
全て、認識通りのようだ。
ようやく、あらかた納得がいった。
それに、クエスト離脱すれば、元の体に戻れるらしいね。一安心だ。
僕が、安堵の溜め息を
『――しかし、えにし様。現在、当該クエストの開始時刻から、
「う、うん――???」
75分?
60分?
位相?
またまた、シャルロットから述べられる言葉の
かろうじて、理解が追いつくような、そうでないような感じだが(たぶん、離脱についてかな?)、――言葉はまだまだ続く。
『えにし様。……現在の状況から推定されるクエスト成功率と、クエスト参加可能人数の上限、およびクエストの失敗に伴って発生するペナルティの観点から、クエスト参加状態の継続はおすすめできませんニャ。そういった理由から、ボクとしては、進行中クエストからの離脱をご提案しておりますニャ! 改めまして、――当該クエストから、離脱しますかニャ?』
「うう、ぬあああ~……」
思わず髪をわしゃわしゃとしながら、なんとかその話についていこうと努める僕。
おっ。この髪、細くて指通りが良くて、気持ち良いね~。
床に突っ伏したまま、しばらくサラサラな髪を堪能する。
……じゃなくて!
ちょっと全然頭に入ってこないけど、頑張ってかみ砕くと――。
えにしくん、キミ、対処担当のくせに、全然現場に来ないじゃん!!
やる気ないなら、クエスト離脱して、席を空けた方がいいんじゃないの?
――と、たぶんこういうコトかな??
で、“離脱”すると、魔法少女への変身が解除される。つまり、元の体に戻れるんだよね? であれば、離脱することについて、僕としては全然異論がないよ。
なんなら願ったり叶ったりですらある。
ということで、離脱する旨をシャルロットに伝えようと、顔を上げたところ――。
『なお、離脱する場合、
「――え、ペナルティ?」と、思わず訊き返す僕。
ちょっとドキッとするワードが出てきたぞ。
『はいニャ。当該クエストへの
制裁!?
「ぐ、具体的には――?」
『魔法少女契約に基づき、違約金がありますニャ。もし払えない場合、所持されている【
説明と共に、手元に表示される画面。
そこには、違約金として、6桁台前半の数値が表示されている。
正直、かなりお財布には痛い額だ。――けども、ま、まぁ払えない額ではない。
それに僕、別に魔法少女として戦う気は全然ないのだ。だから、今後、クエストを受諾さえしなければ、違約金が掛かるのは今回だけのハズだよね。
……あと、魔法少女契約とやらも、僕が契約したわけじゃないし、たぶん後で解約とかできるんじゃないかな? 制裁、という
そういえば、『アサインを承諾した』という点が若干気になるけど、……これも、ピンク髪の子が勝手に承諾してしまったのだろう。たぶん、離脱してしまえば関係ないハズ……。
というワケで、僕はやはり『離脱』をシャルロットに伝える事とする。
「オーケー。そしたら、離脱するよ」
『承知しましたニャ。それでは、画面を操作してくださいニャ』
声と共に、手元の表示が切り替わる。
――クエストを離脱します。離脱すると、以下のペナルティがありますが、よろしいですか?
――『はい』『いいえ』。
注意事項、ペナルティ、その他もろもろの説明にざっと目を通し、問題ない事を確認。
ハァ、よくわからな過ぎたけど、これでようやく一安心。
明日も仕事だし、早く、入ってご飯を食べて、お風呂に入って――。
そんな風に、安心しきった
『――なお』
シャルロットが、ふと言葉を発する。
『えにし様、クエスト離脱と、それに伴う変身解除にあたり、一点、ご警告ですニャ。……変身が解除されると、えにし様はおそらく、数分ほどで――』
……数分ほどで?
『
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