003
目が覚めて、なぜか付けているアイマスクを外すと真っ白な部屋が目に飛び込んできて頭が混乱する。
「ああそうか、ダンジョンの中で寝たんだった」
立ち上がろうとしてまだ足が痛むことに顔をしかめ、朝の用事を済ませるとステータス画面を開いてみる。
「お、レベル2になってるじゃん。トノは頑張ってるみたいだな」
宙に浮かぶ半透明な画面には名前とレベル、力や敏捷などの能力値が表示されていて。最初に見た時より数値が上昇している。
すべての能力が2上がっていて、最大HPと最大MPだけが20と60上がっている。
「寝てるだけだったから戦闘方法の評価は全部MPに行ったんだな。怪我は関係無いのか」
ルールによるとレベルが上がるとHPとMPは10上がり、他の能力は1ずつ上がっていくらしい。
その他に戦闘方法の評価があって、殴ったら力に、防御をしたら頑丈に振られるポイントが2ポイントあるらしい。
俺が攻撃したのはスライム1匹、怪我はしたけど自傷でHPに変化は無かったので何もしていなかったという評価だったんだろう。
一応モンスターカードでの召喚で最大MPが10消費されているので、MPを使って戦闘しているという扱いなのかも知れない。
湿布を貼り直して見ると青くはなっていないし、思ったより動かしても痛みはない。
もしかしたらレベルが上がったおかげで治りが早くなったのかも知れない。最大HPとか頑丈辺りは影響がありそうだし。
時計を見るとすでに9時を過ぎているので買い物に出かけることにする。
怪我をした時用の消毒薬や絆創膏、テーピング用のテープなんかを今のうちに用意しておきたい。
あと武器だな、家には包丁はあるけど棒だのロープなんかはないし、包丁も出刃の様な丈夫そうな物が欲しい。
出来ればナイフなんかも欲しいけど、それは通販で買った方がいいだろう。
車でホームセンターに乗り付け、必要な物を順番にカゴに入れていく。
「そういや、トノも水飲むよな?コップじゃ無理だし犬用の皿でも買っていくか」
ペットコーナーで大きめの皿と寝床用のマットを手に入れて、一度レジで購入した後ダンジョンの準備部屋に荷物を置く。
便利だ、重い物を買ってもすぐに置けるし、もうでかい車もいらないかも知れない。
なんなら移動だけ出来れば良いんだからバイクでも良いかも。電動スクーターならダンジョンでも乗れるんじゃないか?
結構広いみたいだし良いかも知れない、後で車屋も寄ってみようか。
白い壁を誤魔化すための自立型のカーテンや仕切りを買った後、工具なんかが売っているコーナーへと向かう。
いつもなら斧やナタ、鎌なんかの並んでいた棚には在庫切れの文字が並び、閑散とした様子を見せていた。
チェーンソーまで売り切れているのは偶然だろうか?武器としては使い難いだろ。
残っているのは重たいハンマーやツルハシ、ピッチフォークやどぶ浚い用のシャベルなんかの武器としては使いにくそうな物ばかりだった。
ピッチフォークは槍として使えるか?一揆とかで使ってたしな。ツルハシも使いやすいかは知らないけど殺傷能力は高いはずだ。
とりあえずハンマーとツルハシを買っておくことにしよう。使うかは分からないけどいざという時に無いと困るし。
ダンジョンから魔物が出てくることは無いらしいけど、本当かどうか分からないし準備は必要だよな。
そういやシャベルも武器になるらしいし鉄製の物を買っておくか。野宿する事になったら何か掘るかも知れないしな。
つい楽しくなってしまって無駄な物まで買ってしまった気がする。
退職金が出て貯金に余裕があるせいで財布の紐が緩んでいるのかも知れない、気を付けないと。
アウトドア用品が売っている辺りを通ると電動キックボードが売っていた。
特価で5万円、安いのか分からないけど現品限りと書いてあるしすぐに持ち帰る事が出来るんだろう。
公道では使い物にならなくてもダンジョン内なら段差も無いし道も綺麗だった。
魔物にぶつかる危険性はあるけど速度を抑えていれば大丈夫だと思う。
意外と広いみたいなんだよねダンジョン、次の階まで30分とか1時間とか運動不足にはきついって。
8階までは魔物は襲って来ないし、一度次の階に行ってしまえば準備部屋から直接行けるようになるらしいから先に行って解放してしまいたい。
でもそれには5時間以上歩かないといけないわけで、面倒臭いことこの上ない。
まぁ自転車で良いんじゃないかって話もあるんだが、話題になってから一度乗ってみたかったんだよね。
ダンジョン内という私有地?でしか乗らないからナンバープレートもいらないし、自転車に2、3万出すならこっちの方が楽だろう。
あれこれと買い込んで10万くらい使った気がする。仕事を辞めて節約しないといけないはずなのに何をやっているんだろうか。
節約か、とりあえず部屋は解約するか。あの狭い実家に戻っても準備部屋があるから自室を持てるし、あんな防音性も無い部屋に5万も出しているのも馬鹿らしい。
会社の近くである必要も無くなったんだから引っ越しは早いほうが良いだろう。
家に帰ると早速電動キックボードのバッテリーを確認してダンジョン内で乗ってみる。
「思ったよりもスピードが出るけど意外と止まるな。床のグリップが良いからかな?」
ダンジョンの床には砂どころかホコリ一つ落ちていないし、レンガ模様なだけでレンガの継ぎ目も無いので全く滑ることが無い。
とりあえずこのまま2階まで行ってみようかな。
10階までのダンジョンの地図はルールと一緒に頭の中にあるし道に迷うことは無い。
道順は自分で決める必要があるけど、反対側の壁に2階への階段があるから方向さえ分かっていればいずれたどり着ける簡単な迷路だった。
わざとスライムを轢いて転びそうになった事以外は問題も無く、階段を見つけた俺は電動キックボードを担いで階段を登って行った。
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2日目開始時
奥里 進二(おくざと しんじ)30歳♂
種族:人間
Lv0→2
最大HP:10→30
最大MP:10→70(召喚-10)
力:10→12
頑丈:10→12
敏捷:10→12
器用:10→12
魔力:10→12
精神:10→12
残りポイント:0→2
スキル:
なし
装備:布の服、布の靴
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